雲水とは?禅宗の修行僧とその服装・雲水行脚について

雲水とは?禅宗の修行僧とその服装・雲水行脚について

「雲水」とは雲や水のように一か所に止まることがないようすを指しますが、現在では主に禅寺の修行僧を意味する言葉として使われています。ここでは禅宗の修行僧である「雲水」の日常生活と四字熟語「雲水行脚」について解説、「雲水体験」ができるお寺も紹介します。

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  1. 1「雲水(うんすい)」とは
  2. 1.1「雲水」の日常は厳しい?
  3. 2「雲水」の服装
  4. 2.1作務衣とは
  5. 2.2旅用の服装
  6. 3「雲水」の体験ができる永平寺
  7. 4日常生活でも使われる四字熟語「雲水行脚」
  8. 4.1使い方
  9. 5まとめ
修行僧・雲水

修行僧・雲水

雲水に興味を持っていただきありがとうございます。修行は厳しいといわれていますが、感動も多い世界ですよ。

「雲水(うんすい)」とは

雲水とは、仏教の修行僧を意味する呼び名の一つです。

広くは、中国・朝鮮・日本などで修行のために各地を巡る僧のことを指しますが、日本では一般に禅寺の修行僧禅宗の行脚僧のことを言います。

禅寺とは修行に禅を取り入れている宗派の寺です。総称して呼ばれることも多いのですが、禅宗には曹洞宗、臨済宗、黄檗宗などさまざまな宗派があります。それら宗派の寺で修行する僧侶たちが、現代の雲水の象徴的な姿といえるでしょう。

「雲水」の日常は厳しい?

雲水にとっては、日常生活のすべてが修行といわれています。各宗派によって詳細な部分では違いがあるようですが、基本的には夜明け前に起床し夜半前に就寝する中で、座禅、読経、作法に則った食事、掃除などを行いながら規則正しい日常を送ります。

このように俗世とはかけ離れた暮らしを続ける大変厳しい世界といえるでしょう。中には続かない雲水も居るようですが、ただひたすら厳しいだけでははありません。四と九の付く日は、頭を剃ったり入浴をしたりする安息日になっています。

それでは、雲水修行の中から代表的なものを、臨済宗と曹洞宗で比較しながら、解説していきます。

座禅

曹洞宗では壁に向かって座禅を組みます。ひたすら禅に徹して自分の中に仏心を見出すことを目的としています。

一方、臨済宗では禅座を組む者同士が対面します。また師から問題が出て、それを考え抜くことが禅の目的です。ちなみに臨済宗では住職になる者はこの修行を3年間積む必要があるといわれています。

経典

禅宗には根本となる経典はありませんが修行でよく使われる仏典はあります。

曹洞宗では『法華経』『華厳経』『般若経』など、臨済宗では『金剛経』『観音経』『般若心経』などです。とはいえ、どちらの宗派も伝えるべき教えは、心から心に働きかけるものであるという考え方です。

食事

食事は1日3食で、行鉢(ぎょうはつ)と呼ばれる修行になります。朝食は粥、昼食は一汁一菜、夕食は一汁二菜ですが、臨済宗では夕食におじやが出る修行場もあります。また曹洞宗では、正式な食事は朝と昼であり夕食は特別なものという考え方で薬石と呼びます。

行鉢では各自専用の食器を使い、曹洞宗では応量器(おうりょうき)、臨済宗ではる持鉢(じはつ)と呼ばれています。

掃除

雲水たちにとって掃除は重要な修行です。朝食後に寺建物内の掃き掃除と拭き掃除を、その後には作務(さむ)と呼ばれる、寺内外の環境整備のような労務を行います。その内容は季節により違いますが、お寺とその敷地内を清潔かつ美しく保つために必要なことのほとんどは雲水の修行です。

托鉢

托鉢(たくはつ)とは、雲水たちが修行する寺を出て市街地などに出向き、経文を唱えながら食べ物や金銭を鉢で受け取る修行です。

乞食行(こつじきぎょう)ともいわれていますが、雲水が要求することはしません。俗世の人々が自主的に施す場合に、両者にとって功徳があるといわれる修行です。

修行僧・雲水

修行僧・雲水

もちろん、修行はこれだけではないんです。覚えなくてはならない作法もたくさんあります。ですが、身につくとそれが自然体になるんですよ。不思議なことです。

「雲水」の服装

雲水が禅寺で修行をする際の日常着には作務衣(さむえ)を着用するのが一般的です。托鉢など外出の際は、雲水行脚と呼ばれる旅支度に準じた服装となります。

作務衣とは

作務衣とは、掃除などの作務を行う際に着用する上下に分かれた作業着です。本来は決まった形はありませんでしたが、時代の流れとともに機能性を重視したものに変化してきました。現在一般的になっている作務衣は、昭和40年代に原型が出来上がったといわれています。

旅用の服装

雲水の服装として最も象徴的なのは、小袖の上に墨色の直裰(じきとつ)を重ね着し、足元は脚絆と草鞋で、網代笠を被った旅支度の服装でしょう。

実際の旅では、風呂敷に包んだ応量器を胸のあたりに下げ、行李(こうり)を背負うなどして、旅に必要な最低限の装備品を身につけています。

このような修行僧に出会うと、思わず合掌や会釈をしてしまうという一般人は多いようです。

修行僧・雲水

修行僧・雲水

それでは、雲水の日常を体験できるお寺を紹介しましょう! 

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「雲水」の体験ができる永平寺

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