漢方の冬虫夏草(とうちゅうかそう)とは?効能や成分についてご紹介!

漢方の冬虫夏草(とうちゅうかそう)とは?効能や成分についてご紹介!

「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」は、古くから重用されている生薬です。その奇妙な名前の通り、冬虫夏草はとても珍しい生物です。生態や薬理作用などに謎が多く、解明のための研究が日夜続けられています。今回は、この冬虫夏草について、効能や成分などの情報を紹介します。

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  1. 1冬虫夏草(とうちゅうかそう)とは?
  2. 1.1冬虫夏草の名前の意味とは
  3. 1.2冬虫夏草は古来より不老長寿の秘薬とされている
  4. 2冬虫夏草の成分は?
  5. 3冬虫夏草の効能は?
  6. 4冬虫夏草は日本で採れない?

冬虫夏草(とうちゅうかそう)とは?

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冬虫夏草はその特徴的な見た目や名前から、虫か草の一種だと勘違いされやすいのですが、実際は「キノコ」の一種として分類される生物です。上の画像が「冬虫夏草(とうちゅうかそう/ふゆむしなつくさ)」です。
冬虫夏草についてきちんと理解するために、まずは「キノコ」について説明します。
植物(野菜)だと勘違いしそうですが、実はキノコは植物ではなく、細菌や真菌と同じ「菌類」です。キノコには、「子実体(しじつたい。人間が食べる部分)」という部分があります。キノコは、この子実体で形成した胞子を飛ばし、他の生物(死骸も含む)に寄生して成長します。
どの生物に寄生するかは、キノコの種類によって異なりますが、「冬虫夏草」は、蛾(ガ)の一種である「コウモリガ」の幼虫に寄生するキノコ(コルディセプス・シネンシス)のみを指す名称です。

冬虫夏草の名前の意味とは

群生しているキノコ
Photo byEngin_Akyurt

「冬虫夏草」はどのような意味で名付けられたのか、とても不思議な名前です。
昔のチベットでは、この菌類について、冬に虫だったものが姿を変え、夏に草となる様子をそのまま名前にしたとされています。それを日本語に直訳した「冬虫夏草」は、日本でも親しまれる名前となりました。
現在でも研究が続けられている冬虫夏草ですが、昔の人にとっては、より不思議で奇妙な生き物と感じられていたと想像してみると、他に言い表しようがなかったと考えられます。

「冬虫夏草」と「冬虫夏草属」の違いは?

冬虫夏草と似た言葉に、生物の分類の1つである「冬虫夏草属(ノムシタケ属とも)」というものがあります。実はこれは、「オフィオコルジケプス属」に含まれる「冬虫夏草」とは別のものなのです。
冬虫夏草属には、「サナギタケ」をはじめとする、昆虫やクモに寄生する一部のキノコが含まれます。この冬虫夏草属も含めた「バッカクキン科」の菌類には、虫に寄生するものが複数あります。中医学ではこれらを区別するために、冬虫夏草以外を虫草(蟲草)と呼びますが、日本ではこれらも広い意味で「冬虫夏草」と呼んでいます。冬虫夏草と名称や形状が類似していても、漢方の薬効の点では全く異なるものです。

冬虫夏草は古来より不老長寿の秘薬とされている

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冬虫夏草には、人々の健康に関わるさまざまな効能があるとされています。
大量生産できないということもあり、古来、人々の精力源、不老長寿の「秘薬」として珍重されてきました。秦の始皇帝は冬虫夏草の栽培施設を作ろとし、世界三大美女に数えられる楊貴妃は、毎日の食事に冬虫夏草を望んだといわれます。現在でも高価なものが多く、貴重な生薬として知られます。

冬虫夏草の成分は?

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ここでは、冬虫夏草に含まれる成分と、期待される作用をいくつか紹介します。

  • 「マンニトール(Cordyceptic acid)」
糖アルコールの一種。体内の浸透圧の調整作用、利尿作用があるとされる。
  • 「エルゴステロール(ergosterol)」
ステロールの一種。日光でビタミンD(骨の強化のために必要)に変化するため、骨粗しょう症の予防につながると考えられる。
  • 「コルジセピン(cordycepin)」
抗生物質の一種。細胞のがん化抑制作用があるとされる。
  • 「β-グルカン(β-glucan)」
多糖体の一種。免疫を活性化させる作用、細胞のがん化抑制作用があるとされる。
  • 「メラトニン(Melatonin)」
体内で生成されるホルモンの一種。体内時計を整え、睡眠の質を向上させる作用があるとされる。

冬虫夏草の効能は?

砂浜に立っている人の手
Photo byantonika

冬虫夏草の効能は幅広く、上記の成分の他にも、様々な有効成分が含まれると考えられ、研究が進んでいます。それらの有効成分の働きにより、冬虫夏草には、多くの効能があるとされています。
その一部をここで紹介します。

  • 細胞のがん化抑制(免疫力向上)
  • 滋養強壮
  • 耳鳴りの症状緩和
  • 喘息の症状緩和
  • 生活習慣病や糖尿病などへの働きかけなど

冬虫夏草は日本で採れない?

天秤棒を担いで川を渡るアジアの人
Photo byGregorius_o

冬虫夏草となる菌が寄生するコウモリガの幼虫は、中国・チベット・ネパールの高地に見られ、日本には存在していません。そのため「天然物」と呼ばれる冬虫夏草を日本で採ることはできませんでした。
しかし、日本でも広義の意味での冬虫夏草の生産に取り組んでいます。国内では、島根県鹿足郡津和野町が、冬虫夏草培養の特許を取得しています。その他にも、国内で冬虫夏草を生産・培養している企業がありますが、その生産量はまだ少なく、国内で購入できる商品の多くは輸入されたものです。主要な輸入先は、チベット、中国各省です。

冬虫夏草(とうちゅうかそう)のまとめ

  • 冬虫夏草(とうちゅうかそう/ふゆむしなつくさ)は、コウモリガの幼虫に寄生するキノコの一種である。
  • 古来から不老長寿の秘薬とされ、免疫力向上や滋養強壮、耳鳴りや喘息の症状緩和など、さまざまな効能があるとされている。
  • 冬虫夏草の原産地はチベットや中国だが、日本国内でも生産されている。

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