「般若湯」とは?僧侶はなぜお酒をそう呼ぶのか・理由や由来を解説

「般若湯」とは?僧侶はなぜお酒をそう呼ぶのか・理由や由来を解説

「般若湯」は、僧侶の間で使われる隠語で「酒」を意味しています。鬼を連想してしまう「般若」という言葉を含みますが、ここでは「智慧・叡智」という意味で用いられています。「智慧のお湯」と書かれる「般若湯」はどのようにして生まれた言葉なのか、理由と由来を紹介します。

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  1. 1「般若湯」とは?
  2. 1.1「般若」の意味
  3. 2「般若湯」と仏教の五戒
  4. 3「般若湯」という言葉の語源・由来
  5. 3.1なぜ「般若湯」?
  6. 3.2高野山の般若湯
  7. 3.3落語「蒟蒻問答」
  8. 3.4「般若湯」まとめ
若手社員

若手社員

般若湯」って何っすか? 何だか怖そうな…鬼の温泉とか!? 

ガネーシャ

ガネーシャ

全然ちがーう!! これは仏教の僧侶が使う隠語じゃ。では「般若湯」について教えてあげるから、しっかり聞いておくのじゃぞ。

「般若湯」とは?

Photo byxiaochi1989

般若湯」は「はんにゃとう」と読み、僧侶の間で使われる隠語で「お酒」(日本酒)のことを指します。

「般若」と聞くと仏教の経典『般若心経』や恐ろしい鬼のお面を思い浮かべる方が多いかも知れませんが、「般若湯」の「般若」は、鬼とは全く違う意味を表しています。

「般若」の意味

フリー写真素材ぱくたそ

「般若」には2つの意味があります。

1つ目は、「女の鬼」という意味です。伝統芸能である能で用いられる般若のお面は「般若面」といい、憤慨や嫉妬などを表現しており、見た目も恐ろしいお面です。

若手社員

若手社員

般若って、ただ「鬼」のことだと思っていたけど「女の鬼」だったんですね! よけいに怖くなりました。

「般若」の2つ目の意味は、「智慧(ちえ)・叡智(えいち)」です。

「知恵」という言葉と読みは同じですが「智慧」は仏教の教えのもとで修行を積んで煩悩を消し去り、悟りを開く働きを示しています。「叡智」は深く優れた知恵という意味です。

「般若湯」の「般若」はこちらの意味になります。
 

「般若湯」と仏教の五戒

Photo bytruthseeker08

「般若湯」を語る上で欠かせないのは「五戒」です。「五戒」とは、「仏教徒が守るべき5つの戒め」のことを指します。
 

仏教の五戒

  • 不殺生戒(ふせっしょうかい)
    「生き物を殺してはならない」
  • 不偸盗戒(ふちゅうとうかい)
    「盗みをはたらいてはいけない」
  • 不邪淫戒(ふかいんかい)
    「不貞行為を行ってはいけない」
  • 不妄語戒(ふもうごかい)
    「嘘をついてはいけない」
  • 不飲酒戒(ふおんじゅかい)
    「酒を飲んではならない」
ガネーシャ

ガネーシャ

ここで、注目して欲しいのは5つ目の不飲酒戒じゃ。

「不飲酒戒」では、お酒を飲んではならないとありますが、これは飲酒そのものを禁じているのではなく、飲酒によって、前の4つの戒めを守れなくなるという理由で定められました。

様々な仏典の中でも飲酒を厳しく禁じている記述が見られます。

ガネーシャ

ガネーシャ

飲酒によって興奮状態になってしまうと、修行にも身が入らなくなりそうじゃな。

若手社員

若手社員

僧侶じゃなくても、勤務中にお酒なんて飲んでいたら仕事にならないですよね。

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「般若湯」という言葉の語源・由来

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