「ぎる」の意味とは
「ぎる」とは、「盗む」「くすねる」という意味の方言です。知らない人には意味の分かりにくい言葉ですが、窃盗や万引き、かっぱらい等の犯罪行為の隠語でもあり、現在も中高生などの若い世代に広く使われています。
動詞として盗むという意味で使うより、何かを盗まれた場合に「ぎられた」と受動形で使うことが多いようです。なお自転車が盗難にあった場合などには、盗まれた自転車のことを「ギッチャ」(ぎられたチャリ)といいます。
「ぎる」は北海道や茨城の方言
「ぎる」は、北海道や茨城県を中心に使われる方言です。また東北地方でも使われていて、北海道弁や茨城弁だけではなく、東北弁の中にも「ぎる」が含まれています。さらに北海道から遠く離れた九州の鹿児島県の一部でも、「ぎる」は同じような意味で使われているそうです。
「ぎる」の由来は、「握る」という言葉が略されたものと言われています。具体的には、業者が中間搾取として労働者の賃金をピンハネすることを「握る」と表現したことが語源で、それが「盗む」「かっぱらう」「くすねる」といった犯罪行為の隠語として使われるようになりました。
昔からヤンキーや不良たちは「ぎる」を「盗む」の隠語・俗語として使っていました。そのほか「ぎる」と同じような意味で使われる言葉としては、「パクる」「がめる」などがあります。
「ぎる」の使い方の例
「ぎる」は主に北海道弁や茨城弁として使われていますが、実際の会話ではどのように用いられるのでしょうか。ここでは「ぎる」の例文を2つご紹介します。「ぎる」を使うシチュエーションをイメージしながら参照してみてください。
「あ、私のぎったんじゃない? ひどい、返してよ!」
「あ、私のぎったんじゃない? ひどい、返してよ!」は、実際に窃盗の被害に遭った人が怒りながら言いそうなセリフです。
厨二ちゃん
「あ、私のぎったんじゃない? ひどい、返してよ!」
(盗った)
番長
「悪かったっぺよ。出来心でやっただけだから。でも少しは融通利かせてくれてもいいだろ?」
「お店の物だから、ぎるのはダメだよ。わかるでしょ?」
「ぎる」を使うシチュエーションとしては、ほかにも「親が子供に諭すように注意する」ような場合が挙げられます。次の例文のように使います。
萌え袖ちゃん
「お店の物だから、ぎるのはダメだよ。わかるでしょ?」
上京君
「すみませんでした。もう二度としません。反省します。」
- 「ぎる」の意味は、「盗む」「かっぱらう」「くすねる」などである。
- 「ぎる」は北海道や茨城の方言だが、実際には東北・九州など広範囲で使用されている。
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