着物ちゃん
「鏡餅」を正月に飾る理由は?
「鏡餅を飾ること」は、正月に歳徳神をお迎えし、一年間の家内安全を願う行事として、長く日本に伝えられてきたお正月に行う儀式です。
日本では昔から一年間の恵みや幸福を与えてくれる「年神様(としがみさま・新年の神様)」の存在が信じられてきました。年神様は鏡餅をよりどころとし、鏡餅に「御魂(みたま)」が宿るとされているため、どこの家庭でも年の初めには鏡餅を飾って一年の幸福と家族の無病息災を願います。
昔は年末になるとそれぞれの家庭から餅つきの音が聞こえてきましたが、現代では店舗に並ぶ鏡餅を買って飾る人が主流となっています。鏡餅を準備する方法は昔と変わってきましたが、鏡餅を飾って一年間の平穏無事を願う気持は昔から変わらず、今に引き継がれています。
鏡餅の意味とは
鏡餅の丸い形は、銅鏡に由来したものです。
鏡は日本神話の中でアマテラスオオミカミがニニギノミコトに授けたとされる三種の神器の一つであることから、鏡に神様の魂が宿ると考えられ、伊勢神宮初め多くの神社では神霊が宿るご神体として丸い鏡が祀られています。
そのことから餅を鏡に見立てて「鏡餅」と呼び、年神様の神霊が宿る場所として各家庭で鏡餅を飾り、年神様をお迎えするようになりました。
鏡餅の正しい飾り方とは?
鏡餅の正しい飾り方には地方独特の風習もありますが、一般的には「三方(さんぽう)」の上に四方が紅色で縁取られた和紙である「四方紅(しほうべに)」を敷き、その上に裏白(うらじろ)や譲り葉(ゆずりは)を置いて鏡餅を乗せます。鏡餅の上に御幣(ごへい)や橙(だいだい)を乗せて完成です。
地域によっては縁起を担いで、昆布やするめ、串柿、伊勢海老などを飾るところもあります。
ちなみに、鏡餅が丸い餅の2段重ねになっているのは「夫婦円満に年を重ねる」の意味があるとされ、「太陽と月」や「陰と陽」を表しているともいわれています。
鏡餅の飾りの意味
鏡餅の飾りの意味を詳しくお知らせしましょう。
- 三方:神事に使われる台です。
- 裏白:裏面の白さから「後ろ暗さがない」意味で清廉潔白を表します。また葉が対になって成長することから夫婦円満や長寿を意味します。
- 譲り葉:古い葉は新しい葉が出た後に散ることから、親から子へと家系が続いていく意味があります。
- 昆布:「よろこぶ」の意味やこんぶを「子生(こぶ)」として子宝に恵まれる意味をもっています。
- 橙:「代々」と書いて代々家系が続いていくことや、果実は熟しても落ちにくく何代も同じ木に果実がなることから長寿家族の繁栄を意味します。
- 串柿:柿は「嘉来」に通じ、三種の神器「鏡(鏡餅)・玉・(橙)・剣(串柿)」を表します。
- 御幣:繫栄と魔除けの意味があります。
- 四方紅:一年間の繫栄を願います。
お正月には鏡餅を飾るけど、鏡餅を飾ることにはどんな意味があるのかしら?