時候の挨拶とは
9月の季語は、9月に手紙を送る際、手紙の冒頭に書く時候の挨拶に必要不可欠なものです。
時候の挨拶とは季節の風情の移り変わりなどを用いた言葉で、その後に続いて手紙を送る相手の近況や体調などに寄り添った言葉を書きつづります。
これから9月の季語やその用例、実際に使える時候の挨拶の例をご紹介していきます。
季節を表わす言葉や季語を使用
9月の季語や季節を表す言葉をご紹介します。時候の挨拶には季語を使う決まりがありますが、9月といえば夏から秋に移り行き、過ごしやすい季節になってくる頃です。その一方でまだ夏らしい日もあるため、手紙を出すその時々にあった言葉を選んで書き出しにしたためましょう。
俳句でも使われる9月の季語
9月の季語のうち俳句でも良く使われる季語を一覧でご紹介します。9月は暦の上では季節が夏から秋へと変わっていく時期でもありますが、実際に暑い日もあります。そのため上旬と下旬では使う季語も変わっていきます。
- 上旬の季語…「鈴虫」「梨」「秋刀魚」「十五夜」「ケイトウ」など
岩田涼菟の俳句:椽側に さし入る月や 蘭の花
夏目漱石の俳句:鶏頭の 黄色は淋し 常楽寺
- 下旬…「コスモス」「萩」「台風(野分)」「三日月」など
横井也有の俳句:晴てけさ 空はよごれぬ 野分哉
加賀千代女の俳句:三日月に ひしひしと物の 静まりぬ
9月の手紙で書き出しに使える季語や文例
9月の手紙で書き出しに使える季語や文例をご紹介します。9月の季語にはどんなものがあるのでしょうか。
9月の季語を使った書き出し文例
9月の季語を使った書き出し文例をご紹介します。
- 「新涼の候 ようやく過ごしやすい季節となりましたが、体調はいかがですか」(季語:新涼)
- 「初秋のみぎり 秋風が涼しい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか」(季語:初秋)
9月は暑い夏の日々から暮らしやすい気温へと変わっていく頃です。季節の変わり目には体調にも変化がありますので、気遣いの心を手紙の文頭に入れると喜ばれるでしょう。
ビジネスなどでも使える9月の時候の挨拶(漢語調)
ビジネスなどでも使える9月の時候の挨拶(漢語調)をご紹介します。ビジネス文書として書く手紙では漢語調という「~候」や「~の折」、「~のみぎり」を文頭に使用する手紙を作成します。
9月上旬で使える書き出し
11月上旬で使える書き出しをご紹介します。
- 「秋涼(しゅうりょう)の候 皆様、ご健勝でいらっしゃいますか」
- 「清涼(せいりょう)のみぎり お健やかに過ごしていらっしゃいますか」
9月中旬から下旬で使える書き出し
9月中旬で使える書き出しをご紹介します。
- 「秋冷(しゅうれい)の候 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」
- 「秋冷(しゅうせい)の折 皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか」
9月の結びの挨拶文例
9月結びの挨拶文例をご紹介します。時候の挨拶は締めとして結びに書くことも可能です。ビジネス文書やお礼状などを書く際の参考にしてみてくださいね。
- 「初秋(しょしゅう)の折 まだ暑さが続いておりますのでご自愛くださいませ」
- 「孟秋(もうしゅう)の候 まだ夏らしさが残っておりますので体調にお気を付けくださいませ」
- 「たま 白露(しらつゆ)のみぎり 皆様にとって実りある秋となりますように」
【シーン別】9月の時候の挨拶文例
9月の時候の挨拶文例をシーン別に一覧でご紹介します。ビジネスやかしこまったお礼状などは漢語調を、親しみのある雰囲気を入れたい場合の招待状などは口語調を用いた方が良い場合があります。結びの文章では更なる活躍や繁栄を伝える言葉を選びましょう。
【例文】
「清涼のみぎり 貴社(○○様)の益々のご発展をお祈り申し上げます」
「秋冷の候 貴社(○○様)の更なるご多幸をお祈り申し上げます」
ビジネスの挨拶文
9月に送るビジネスの挨拶文では、書き初めに季語を入れた後、続けて体調などを気遣う心をしたためましょう。
【プライベートなどで使える口語調の例文】
- 「露霜の秋晴れ 清々しい日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか」
- 「台風が過ぎて一気に秋らしくなりましたが、体調はいかがでしょうか」
- 「爽秋(そうしゅう)のみぎり 貴社のご健勝とご多幸を拝察しております」
- 「仲秋(ちゅうしゅう)の候 貴社益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます」
お礼状の挨拶文
9月に送るお礼状の挨拶文として、季語を用いた時候の挨拶を書き出しに入れて、感謝の気持ちを伝えましょう。お礼状を送る相手によって口語調か漢語調かを選びます。
【プライベートなどで使える口語調の例文】
「いり夕月夜 秋の訪れを感じさせる季節となりました。○○様(さん)はいかがお過ごしでしょうか。先日は私の○○式に参加いただき、ありがとうございました。」
【ビジネスなどで使える漢語調】
「拝啓 爽秋の折 平素は格別のご厚情を賜り厚く御礼申し上げます。先日はご多忙中、弊社の○○会に参列いただき、誠にありがとうございました。…敬具」
※プライベートなどで使える口語調の例文にある「いり」は夕月夜の枕詞となります。
招待状の挨拶文
9月に送る招待状の挨拶文をご紹介します。こちらもこれまでと同じように時候の挨拶の後に本題へと入っていきます。
【プライベートなどで使える口語調の例文】
「ひさかたの空 秋色に染まってきました。○○様(さん)はいかがお過ごしでしょうか。〔案内内容記入〕」
【ビジネスなどで使える漢語調】
「拝啓 早秋の候 日頃は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございます。〔案内内容記入〕…敬具」
※プライベートなどで使える口語調の例文にある「ひさかたの」は空の枕詞となります。
9月の季語と時候の挨拶のまとめ
- 時候の挨拶とは手紙の文頭に入れる季語を含めた言葉のこと。結びに入れても可。
- ビジネス文書やお礼状、招待状にも時候の挨拶を取り入れられる
- 枕詞を使用した時候の挨拶を作成することもできる
時候の挨拶とは