時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは、挨拶状で最初に書く文章で、季節を表す言葉が用いられる礼儀文です。
挨拶状冒頭の「拝啓」の後ろに付く、「〇〇の候」や「〇〇みぎり」と言った文章が時候の挨拶になります。
四季の移り変わりを表し、相手の様子を気づかう意味で使われている、日本で昔から受け継がれてきた挨拶状の習慣です。
現在では、結婚や弔辞(ちょうじ)、仕事や日常に関する手紙などでも、文章の冒頭部を彩る挨拶として使用されています。
季節を表わす言葉や季語を使う
時候の挨拶には、季節を表す言葉や季語を使います。
季語とは、俳句で季節を表現する際に用いられる詩語です。
例えば、4月なら「春」や「花(桜など)」などの文字が入ります。
この季語を、時候の挨拶に用いることによって、相手に共感性を呼び起こします。
ただし、必ずしも季語を加える必要はなく、春の行事や街の様子、旬の食べ物の名前など、花の名前、自分の身近にある春に関するものの名前を使って独創性にあふれた時候の挨拶を楽しむことも可能です。
俳句でも使われる4月の季語
季語とはもともと、季節を表現するために用いられる言葉です。
4月の季語は、俳句でもよく使われています。
【季語と俳句】
- 穀雨(こくう)
- 桜狩(さくらがり)
- 初桜(はつざくら)
- 花の雨(はなのあめ)
などがあります。
この他にも、様々な俳句がありますが、花の名前である桜を表すものが多い傾向にあります。
萌え袖ちゃん
他にも、「桜餅」「風光る」「木の芽」「花曇」「花冷え」「春風」など、春の情景がありありと見えてくるような季語が多く存在します。
他にも季語について詳しくお知りになりたい、興味がわいた方には、俳句の作り方やルールについての関連記事をおすすめします。この記事と併せてご覧下さいね。
4月の手紙で書き出しに使える季語や例文
ここでは4月の手紙で書き出しに使える季語や例文をご紹介します。「4月の時候の挨拶に季語を使うのは分かったけど、どうやって使えばいいのかな?」とお困りの方は、手紙を書く際、ぜひ参考にしてみてください。
4月の季語を使った書き出し例文
手紙の書き出しは、季語を最初に持ってきて、次に「いかがお過ごしでしょうか?」などの安否を気遣う言葉を持ってきます。
【例文】
- 暖かい春の風が心地よい季節になりました。いかがお過ごしでしょうか?
- 春の色が街中に感じられる季節ですが、お元気でしょうか?
- 暖かな春の陽気に、朝寝が心地よくなって来ました。お変わりありませんか?
- 花冷えの日々が続きますが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?
萌え袖ちゃん
季語を加えると、表情豊かな挨拶文を作ることができます。
ビジネスなどでも使える4月の時候の挨拶(漢語調)
ビジネスなどでも使える4月の時候の挨拶(漢語調)を見てみましょう。
時候の挨拶には、「〇〇の候」や「〇〇のみぎり」など、漢語調と呼ばれる挨拶分があります。
特にビジネスで使用する時候の挨拶は、「〇〇の候」後に「4月に入り暖かさが感じられる季節になりました。お元気ですか?」などの季節の挨拶は必要ありません。
また、挨拶によっては、特に「桜」を使う場合は、上旬・中旬・下旬を意識して使い分ける必要があります。
ここでは、4月全般で使える書き出し、4月中旬から下旬で使える書き出しをご紹介します。
4月全般で使える書き出し
4月全般で使える書き出しをご紹介します。
- 陽春の候(ようしゅんのこう)…陽気が満ちる温かい春
- 春暖の候(しゅんだんのこう)…春の暖かさが感じられる時期
- 春爛漫の候(はるらんまんのこう)…花と光の満ちた季節
- 桜花の候(おうかのこう)…桜の花が咲く時期
- 花冷の候(はなびえのこう)…春の一時的な寒い時期
- 春眠の候(しゅんみんのこう)…心地よい春の眠り
萌え袖ちゃん
この他、早春の候・桜花爛漫の候などがあります。
4月中旬から下旬で使える書き出し
4月中旬から下旬で使える書き出しをご紹介します。
- 春粧の候(しゅんそうのこう・しゅんしょうのこう)…花が咲いて周囲が春の装いを感じられる時期
- 桜端の候(おうたんのこう)…桜の花が咲く時期
- 清明の候(せいめいのこう)…植物が芽吹く清々しく明るい季節
- 春和の候(しゅんわのこう)…穏やかな春の日
- 春風の候(しゅんぷうのこう)…穏やかな春の風が吹く時期
以下、4月下旬に使える書き出しをご紹介します。
- 惜春の候(せきしゅんのこう)…過行く春を惜しむこと
- 晩春の候(ばんしゅんのこう)…春も終わりに近づく時期
- 穀雨の候(こくうのこう)…穀物を育てる雨が降る時期
- 若葉の候(わかばのこう)…若葉が芽吹く新緑の時期
萌え袖ちゃん
4月も下旬になると、5月の緑の季節でも使える書き出しが入ってきます。
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【シーン別】4月の時候の挨拶例文
シーン別で4月の時候の挨拶例文を見ていきましょう。
上の章でご紹介した、漢語調の書き出しを使って、ビジネスやお礼状、招待状の挨拶例文をご紹介します。
ビジネスの挨拶例文
ビジネスの挨拶例文をご紹介します。
- 桜花の候、貴社におかれましては益々のご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 春和の候、貴社ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます。
- 穀雨の候、貴社一層のご清栄のこととお慶び申し上げます。
萌え袖ちゃん
基本的に、「頭語(拝啓や謹啓)」+「時候の挨拶」+「結びの挨拶」+「結語(敬白、敬具、謹白)」の形に当てはめて書きます。
お礼状の挨拶例文
お礼状の挨拶例文をご紹介します。お礼状の挨拶には、様々なシチュエーションがあります。
【結婚祝いのお礼状の例文】
- 春粧の候、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。この度は、お心遣いを頂きまして、ありがとうございました。
- 陽春の候、〇〇様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。この度は、私どもの結婚に際して、結構なお祝いを賜り、心よりお礼申し上げます。
- 春風の候、皆様にはお元気でご活躍のことと存じます。この度の私の入院中は、大変ご迷惑をおかけしました。
萌え袖ちゃん
こちらも、時候の挨拶+お礼の言葉に当てはめて書くことができます。
招待状の挨拶例文
招待状の挨拶例文も見ていきましょう。招待状にも様々な種類があります。
【自分の誕生会に相手を招待する例文】
- 清明の候、皆様におかれましては、お元気でお過ごしのことと存じます。さて、来る〇月〇日をもちまして、私も〇〇回の誕生日を迎えることになりました。
【同級会の招待状の例文】
- 惜春の候、皆様お変わりございませんか?さて、毎年恒例のクラス会を開催することになりました。
萌え袖ちゃん
送る相手やシチュエーションによって文章は変わりますが、時候の挨拶の後に、内容に沿った本文が来ることは変わりありません。また、あまり堅苦しくならなくても、オリジナリティあふれる書き出しを添えると、相手に良い印象を与えます。
時候の挨拶に桜の花を使うときは注意が必要
時候の挨拶に桜を使う時には、注意が必要です。
桜は、地域によって開花の時期が異なります。南の方では既に桜が散り始めているのに、「桜花の候」などを使うと、受け取った相手が違和を感じてしまいます。送る相手の桜の開花時期を把握してから時候の挨拶を記載した文章を送る心遣いをすると良いです。
萌え袖ちゃん
いかがでしたか?4月の時候の挨拶をご覧になって、俳句の世界に興味をお持ちになった方には2つの関連記事もおすすめです。ぜひ、この記事と併せてご覧下さいね♪
4月の季語と時候の挨拶文例のまとめ
- 時候の挨拶とは、拝啓などの後につく、季節を表す挨拶文です。「〇〇の候」や「〇〇のみぎり」などが使われます。
- 4月の時候の挨拶には、風光る・桜・花冷え・花の雨・桜餅などの季語が入ります。「桜が咲きほころび、街の様子も春めき立ってきました」などと使います。
- 時候の挨拶に桜を使う場合は、地域の開花予想を把握して、送る相手の住む地域の桜の様子を把握してから文章を送ると良いです。
時候の挨拶とは