お神酒とは?
お神酒とは神様にお供えする酒のことを言います。
お神酒に使われるのは主に日本酒で、神様へ供えるお神酒の正式な方法としては「しろくろでいせい」といって、白酒・黒酒・泥酒・清酒の4種の酒を奉るのが正しい供え方です。しかし現在ではこの方法を行っているのは皇室と伊勢や出雲といった限られたところだけで、一般的には清酒1種のみをお神酒として奉ります。
お神酒はその土地の土や水から作られ風習や言い伝えから発生したものもあり、神社によっては日本酒以外をお神酒として奉るところがあります。
例えば、福岡県の太宰府天満宮では「飛梅」の伝説にちなんで梅酒がお神酒として使われ、ブドウの栽培が盛んな山梨県の一宮浅間神社ではワインが奉納されています。また、大阪府の誉田八幡宮では赤ワインが正月三が日に振舞われています。
お神酒の意味・定義
神様への供物のことを御神饌(ごしんせん)と言います。御神饌には海の幸や山の幸・旬の野菜や主食である米などが用いられます。そしてその米で作られた酒も御神酒(ごしんしゅ)と呼ばれて新米と一緒に供えられ、翌年の豊穣祈願をしたことがお神酒の始まりと言われています。
お神酒は神社の祭礼の後に振舞われることが多く、奉った酒には神様の力が宿るといわれています。神様と同じものを口にすることで神様の恩恵やご加護を頂き、無病息災で過ごせるよう願って飲まれているのです。
また神仏に供える前と後ではお酒の味も変わると言われています。
神様に供えられた酒は甘くまろやかな味に変わり、生前お酒が好きだった故人の仏壇に供えられた酒は味が薄く変化しているという人もいます。
お神酒の読み方
お神酒と書いて「おみき」と読みます。
実は、神様にお酒を供える際は「御神酒(ごしんしゅ)」と呼ばれ、神様に供えた後で人間がお下がりとして頂く際には「お神酒(おみき)」と呼び名が変わります。
ちなみに神事の後に、神饌を神事に参加した者全員で頂く行いを直会(なおらい)と言います。
お神酒の語源
お神酒(おみき)の「み」は神仏や天皇に対して用いる尊敬を表す接続語であり、「き」は酒を表します。この「みき」は酒の美称であり、「みき」に接続語である「お」を頭に付けて「おみき」と呼ばれるようになりました。
また古い文献によると、神酒のことを「みわ」と書き記しており「おみわ」と呼ばれていました。他にも古事記では「くし」・沖縄では「うぐす」と記されているものもあります。これは「奇(くし)」からきていて酒の効能が霊妙で不思議という意味があります。
お神酒をいただく作法
お神酒をいただいたとき、どのような方法で飲むと良いのかご存知でしょうか?
せっかくいただいたお神酒を無作法に飲むよりも、正しい作法を知り神様へ礼を尽くして飲むことで大人としての振る舞いもスマートに見えますし、ご利益も増大することでしょう。
ここでは、神様からお下げしていただいたお神酒を飲む方法についてご紹介したいと思います。
神社でのいただき方
神社によって多少の違いはありますが、一般的なお神酒のいただき方を説明します。
1.まずは神社の宮司さんや巫女さんがお神酒を注ぎにやってきたら「いただきます」という意味で1回だけ手を叩きます。これを礼手(らいしゅ)と言います。
2.杯を取ってお神酒を注いでもらいます。この時の杯の持ち方としては親指が杯の飲み口の部分に来るようにして、残りの4本の指は杯を下から支えるように持ちます。決して杯を傾けたりしないようにしましょう。
3.お神酒を飲み干します。この時、お神酒を3口に分けていただくのが一般的です。
4.杯の口を付けた部分を指を使って拭き取ります。親指・人差し指・中指で飲み口を挟むようにつまんで拭います。
5.杯を静かに置きます。
自宅でのいただき方
お神酒を自宅でいただく場合、前述した神社などで飲むような決まりは特に無いのでリラックスして飲んでも大丈夫です。
ですがお酒には賞味期限があるため、早めに飲み切る方が良いでしょう。
お酒が飲めない人は?
せっかくお神酒をいただいても、お酒が全く飲めない方もいると思います。神様からいただいたお酒が飲めないからといって落胆する必要はありません。
そんな方は是非、お神酒を料理に活用しましょう。神様からいただいたお神酒を使って料理をすることで神様と共に食事をするのと同じになりますから有難く料理としていただきましょう。
お神酒を神棚にお供えする方法
・前述したように神様に供えていたお神酒をお下がりとしていただいた場合、もう一度神棚に供えるという行為は神様に対して失礼に当たるという人もいますが、絶対ダメだというわけではありません。
・神様から頂いたお神酒を足元などの見降ろす位置に乱雑に放置するよりは、一時的にでも目線より上となる神棚に置く方が良いと言えます。
・お酒にも賞味期限があり、長く供えていると傷んでしまいます。さらにお神酒はいただいてきたその日が最も神様からのパワーが詰まっていると言われており、ご利益があります。ですから神棚に挙げたお神酒はその日のうちに有難く頂戴して飲み切りましょう。
ちなみに神棚にお神酒を供える場合、御神酒徳利(おみきどっくり)と呼ばれる同じような色・形をした一対の徳利に入れて供えます。この御神酒徳利はいつも一対であるその様から、仲の良い二人を比喩する言葉としても使われています。
お神酒の処分方法
お酒が飲めない人やいただいたお神酒が飲み切れない場合、いただいたお神酒を家族や親せき・知人などに分けてあげましょう。お神酒には神様のパワーが詰まっているので、大切な人にも分けることであなた自身のご利益も増大します。
他にも家の庭で、人があまり通らず踏みつけてしまう心配のない場所にお神酒を流す方法もあります。そうすることで家を清められ、外からの災厄を防ぐ効果があります。
ご利益があるからといってガブガブと飲むものでもありません。お神酒をいただく際に忘れてはならないのが神様への尊敬の念と感謝の気持ちです。
お神酒と共に神様からのご利益をいただきましょう。
お神酒の意味や読み方・お神酒をいただく作法についてのまとめ
- お神酒(おみき)は神の力が宿るものであり、いただくことで神様のご加護や恩恵を賜ることができる。
- 作法にのっとり、神様へ礼を尽くすことでご利益も増大する。
- お神酒をいただく際は神様への尊敬の念と感謝の気持ちを忘れない。