俳句とは
俳句とは、季語を入れた五七五の十七音から成る日本固有の短い詩のことをいいます。もともと「俳諧(はいかい)の句」と呼ばれていたものを略して俳句と呼ぶようになりました。
有名な俳句に正岡子規の「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」という詩があります。「かきくえば・かねがなるなり・ほうりゅうじ」と確かに五音・七音・五音のかたまりで、「柿」という秋の季語が入っていますね。
俳句の歴史は?定着されたのはいつ?
俳句の歴史は古く、もともとは俳諧・発句(ほっく)と呼ばれていました。その由来は鎌倉時代に流行した、身分の高い人々が読む連歌(五・七・五・七・七音)にありました。その連歌の発句(五・七・五音)の部分だけを庶民が読み、遊び始めたことから始まります。
そしてこの発句を明治時代に俳句として成立させたのが、前述の正岡子規でした。正岡子規は、俳句の源流を薫風と呼ばれる作風で俳句に芸術性を与えた松尾芭蕉に求め、自らの起こした文学運動の中で発句を俳句として成立させたのでした。
俳句の作り方やルール
ここからは、俳句の作り方や決まりについてご紹介したいと思います。
17音の決まり
俳句は基本、五・七・五の十七音で作ります。しかしこの決まりは絶対ではありません。この十七音より多くなってしまったものを「字余り」少なくなってしまったものを「字足らず」といいます。基本的には十七音に収めるのが望ましいですが、「字余り」「字足らず」の作品も多くあります。
近年、海外でも俳句を楽しむ人々が増え、海外で詠まれる俳句には五・七・五の形がとられていないものも多く見られます。ルールにこだわるのではなく、俳句を楽しむ心が大切です。
季語を使用する
俳句では季語を使用することが決まりです。季語は俳句、連歌などの中で季節を表す言葉で、時候を表す季語の他に、天文、地理、生活、行事、動物、植物などがあります。季語が入ったものを「有季定型」と呼び、季語が入っていれば俳句として成り立ちます。季語が2つ以上入ってしまうことを「季重なり」、季語が1つも入っていないと「無季定型」として「無季俳句」と呼ばれます。
また、風刺が特色の「川柳」もありますが、こちらには季語が入っていません。「自由律」や行末以外で節や文を区切る「字跨り」などが見られ、十七音の規律にとらわれない言葉遊びがみられます。俳句の世界でも、無季俳句や自由律俳句を積極的に詠む人も多く、その中には名句と呼ばれるものも残されています。
「無季俳句」と「川柳」の明確な区別はありません。
俳句で読まれる季節ごとの季語10選
こちらでは俳句で読まれる季節ごとに、よく使われる季語を紹介します。
暮れや新年の季語一覧
暮の季語 10選
年の瀬・歳晩・歳末・年の果・年末・歳暮・年詰まる・年の暮・大晦日・煤払い
新年の季語 10選
賀状・鏡開き・初詣・松の内・年玉・初夢・元旦・門松・こま・新年
春の季語一覧
春の季語 10選
うぐいす・つばめ・梅・桜・山笑う・茶摘み・春雨・春一番・たんぽぽ・芽吹く
夏の季語一覧
夏の季語 10選
金魚・かぶとむし・万緑・風薫る・五月雨・こいのぼり・風鈴・五月晴れ・あやめ・牡丹
秋の季語一覧
秋の季語 10選
赤とんぼ・さんま・柿・天の川・十六夜・稲刈り・彼岸花・夜長・残暑・名月
冬の季語一覧
冬の季語 10選
さざんか・鶴・落ち葉・霜柱・師走・節分・炭火・水仙・大根・木枯らし
知っておきたい有名な俳句
こちらでは知っておきたい有名な俳句を季節ごとに紹介します。
春の俳句
山路来て 何やらゆかし すみれ草(松尾芭蕉)
春の海 ひねもすのたり のたりかな(与謝蕪村)
菜の花や 月は東に 日は西に(与謝蕪村)
夏の俳句
五月雨を あつめてはやし 最上川(松尾芭蕉)
万緑の 中や吾子の歯 生え初むる(中村草田男)
青蛙 おのれもペンキ ぬりたてか(芥川龍之介)
秋の俳句
柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺(正岡子規)
うつくしや 障子の穴の 天の川(小林一茶)
名月を とってくれろと 泣く子かな(小林一茶)
冬の俳句
いくたびも 雪の深さを 尋ねけり(正岡子規)
遠山に 日の当たりたる 枯野かな(高浜虚子)
咳の子の なぞなぞあそび きりもなや(中村汀女)
暮れ・新年
ともかくも あなた任せの としの暮れ(小林一茶)
大晦日 定めなき世の さだめかな(井原西鶴)
元旦や おもへばさびし 秋の暮(松尾芭蕉)
萌え袖ちゃん
俳句を詠んでみたくなりましたか?さらに俳句の世界の奥深さを知って傑作を生みだしましょう!
俳句とは?のまとめ
- 五・七・五の十七音で作られ、季語が1つ入った詩のことをいいます。
- 季語が入っていないものを「川柳」「無季俳句」といいます。
- 十七音より多くなってしまったものを「字余り」少なくなってしまったものを「字足らず」といいます。
俳句とは