インナーチャイルドの意味とは
インナーチャイルドという言葉を聞いたことはありますか?インナーチャイルドとは、「幼い頃に抱えた負の感情」のことを言い、自分自身の“内側にいる子どもの心”という意味があります。インナーチャイルドとは、誰もが抱えているものではなく、子どもの頃ある環境にいた大人たちが抱えているケースが多いです。
ここでは、インナーチャイルドという言葉の由来や、インナーチャイルドが抱える負の感情について解説します。
インナーチャイルドの由来
インナーチャイルドという言葉は心理学用語のように思われますが、実はそうではありません。「インナーチャイルド」という言葉が浸透するようになったのは、あるアメリカの動物学者がはじめて提唱し、執筆した一冊の本がきっかけとなっています。
著者自身が子どもの頃、自分の生い立ちに悩み、苦しんだ過去をもとにこの本は執筆されました。辛い経験を乗り越えて大人になった彼は「インナーチャイルド」を提唱し、そして癒す方法を生み出しました。その過程が書籍としてまとめられています。彼はインナーチャイルド療法を確立した人物でもあります。
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では、どうしてインナーチャイルドは負の感情を抱えているのでしょうか。それは、子どもの頃のトラウマが原因となっています。
子供の頃のトラウマがインナーチャイルドの傷となる
インナーチャイルドは、機能不全家族で育った人たちが抱えやすい心の傷です。機能不全家族とは、家族としての機能や役割を果たしておらず常に緊張状態にあった家庭のことを言います。
本来なら家族や家庭は、愛に満ちた安心できる場所であることが理想です。しかし、虐待やネグレクト、過干渉など、家庭の中で個人としての尊厳が失われ、自分の感情を押し殺さなければいけない環境にあったのではないでしょうか。
子どもにとって、親は世界の全てであり、命綱です。機能不全家族の中で過ごすうちに「親の前では良い子にしなければ生きていけない」と刷り込まれ、処世術として身に付けてしまいます。その結果、本来の自分ではない姿のまま大人になり、心には当時のトラウマを抱えたインナーチャイルドが存在し続けます。
このインナーチャイルドが抱えた心の傷は癒えることなく大人になった今でもしこりとして残り、生きづらさを感じるようになるのです。
インナーチャイルドとアダルトチルドレンの関係
ここでは、インナーチャイルドとアダルトチルドレンの関係について解説します。アダルトチルドレンとは「成人してもなお、子どもの頃に受けた心の傷(インナーチャイルド)に苦しみ、生きづらさを感じている人々」のことを言います。インナーチャイルドは、アダルトチルドレンが抱える幼少期の子ども時代をイメージ化させた存在です。
アダルトチルドレンは、一般的に機能不全家族の中で育ちます。つまり、アダルトチルドレンとなってしまう環境と、インナーチャイルドを抱えるきっかけとなる環境は同じなのです。幼少期に親の愛情を受けるため、本来の自分を押し殺さなければいけない環境にいた大人が、アダルトチルドレンです。自尊心や自己肯定感が育たず、結果として生きづらさを感じるようになってしまいます。
人間関係の不安定さ
幼少期の体験から「自分には価値がない」と思い、しかし奥底では誰かに認めてもらいたいと願っています。そのため、人間関係が不安定になりがちです。人を信じたい一方で本当に信じて良いのか試したくなってしまいます。猜疑心との葛藤により、本人はとても苦しみます。そして、試される周りの人も心穏やかではなく、結果としてなかなか良好な人間関係が築きにくくなるでしょう。
インナーチャイルドと向き合うことで、人のどういう言動パターンが自分を不安にさせるのか気づくきっかけになります。猜疑心を持つようになった過程でインナーチャイルドは深く、たくさん傷ついていますので、まずはギュッと抱きしめる感覚で安心感をもたせてあげましょう。
インナーチャイルドを癒やすための方法とは?
ここでは、インナーチャイルドを癒す3つの方法についてご紹介します。自分に合ったインナーチャイルドの癒し方を見つけ、インナーチャイルドを克服しましょう。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネスとは、自分の潜在意識を引き出し、思考回路を上書きしていく作業を言います。インナーチャイルドを抱えている人々には、ある思考のクセが存在します。
- 誰に何を言っても受け入れてもらえない
- 自分が幸せになってはいけない
ほんの一例ですが、このように生きづらさを感じる原因となる思考のクセがあります。このクセをなくすために新しい思考回路を生み出し、上書きすることでインナーチャイルドを癒していきます。
瞑想とは「気づき」や「観察」を行う作業です。心身共にリラックスした状態で自分と向き合います。自分の思考パターンに気づき、その思考がどこから来るのか観察します。すると、思考の根底にいるインナーチャイルドを見つけることができるのです。
見つけたインナーチャイルドの苦しみは、偏った思考によって生まれたものです。そっと労わるように声をかけてあげることで、新しい価値観や思考が生まれてくるでしょう。
グリーフセラピー
グリーフセラピーとはもともとは親や配偶者など、愛する人を失った悲しみを克服するためのケア方法のことを言います。では、どうしてインナーチャイルドを癒すのにグリーフセラピーが有効なのでしょうか。それは、インナーチャイルドとお別れすることで、その別れの悲しみを克服しようというケア方法だからです。
過去という時間には戻らないように、幼少期にあった出来事はもう変えることはできません。それならば過去にとらわれずに、今を懸命に生きようという提案です。変えられない過去を嘆くより、変えられる可能性のある現在と未来を大切にし、インナーチャイルドと決別することが大切なのです。
別れにあたって、インナーチャイルドが受けた悲しみを一緒に嘆いても構いません。悲しみをノートに書き連ねて、悲しみを吐き出すこともいいでしょう。そして最後にはインナーチャイルドの存在を受け入れ、今を生きる活力に変化させましょう。
好きなことだけをしてみる
インナーチャイルドを抱えている人々は、良い子を演じることに精一杯で、自分がやりたい事を全て後回しにしてきています。そのため、好きなことに打ち込むという経験をほとんどしたことがないのではないでしょうか。
「やりたいことがあったけどできなかった」と達成感を得られなかった悲しみは、インナーチャイルドが抱え続けていることでしょう。この悲しみを癒すためにあなたが今やりたいこと・好きなことだけをしてみましょう。
一見、インナーチャイルドを癒すことと関係ないように感じられますが、これも現在を大切にする作業の一環です。幼少期に感じられなかった達成感を得ることが、インナーチャイルドを癒すことに繋がるのです。
インナーチャイルドを癒して、本当の自分を見つけよう
今まで抱えていた心のしこりや生きづらさは、自分の中に眠っていたインナーチャイルドの叫び声です。インナーチャイルドの声にしっかりと耳を傾けて、そっと労ってあげましょう。
インナーチャイルドを見つけることは、本当の自分を見つけることと同じです。もし、自分ひとりでインナーチャイルドを見つけ癒すことが難しく感じるのであれば、インナーチャイルドに関する書籍を参考にしたり、インナーチャイルドを癒すためのセラピーやグループに参加したりするのもいいでしょう。
インナーチャイルドを見つけ出し、癒すことで、本当の自分を取り戻して生き生きとした未来を掴みましょう。
インナーチャイルドの意味と特徴・癒やす方法
- インナーチャイルドとは、「幼い頃に抱えた負の感情」のことを言い、自分自身の“内側にいる子どもの心”
- インナーチャイルドを抱えていると自己肯定感や自尊心が適切に持てず、生きづらく感じる
- 癒す方法はマインドフルネス瞑想やグリーフセラピー法などがある