節制の基本的な意味
リーディングのキーワード
大アルカナ14番目のカード「節制(temperance:テンペレンス)」のtemperは「気質」を意味します。
人間の体にはいろいろな「気質」が存在しており、これらのうちの1つが優勢になるなどしてバランスが崩れると、病気をする・おかしな行動をとるようになると、中世ヨーロッパの人は考えていました。
気質のバランスを一定にすること、つまり精神と肉体、理性と感情といったものをバランスよく保つことが大切であることを、この節制のカードが示しています。
- 冷静さ、平常心。
- 極端な偏りのないバランスの取れた状態。
- 感情のコントロール。
- 中毒や依存症、誘惑に陥らない心の強さ。
関連した数字
天使の胸元の三角形は、錬金術で重要視されている3つの物質「三原質(硫黄・水銀・塩)」を意味しています。四角形は四大元素(火・風・地・水)を示し、3(三原質)+4(四大元素)=7という数字が出現します。
節制のカードは大アルカナ14番目のカードで7の倍数です。他にも7の倍数である、大アルカナ7番目の「戦車」・21番目の「世界」の3枚のカードは、勝利を示すカードとして解釈されます。
節制の寓意画について
ライダー版の大アルカナ14番目「節制(テンペレンス)」のカードに描かれている天使は、大天使ミカエルと解釈されることが多いです。頭に付けている円盤の飾りは太陽を象徴するもので、西洋占星術の太陽の記号と同じ形です。
胸元の三角形と四角形は「関連した数字」でも触れていますが、この三角形と四角形のモチーフのすぐ上には、ヘブライ文字の聖なる四文字が描かれています。
手にしているカップからカップへと現実ではあり得ない形状で水が流れていることから、通常ならあり得ないような奇跡の可能性を示していると解釈されることもあります。
さらにこの水は「お酒」を示しているとも解釈され、中世において節制のカードは禁酒を意味していると、みなされることが多かったようです。
天使は片足を水の中に、さらにもう片方の足は岩の上に乗せています。水は感情を、岩は地に足をつけて現実を見据えることを示しています。感情に溺れることなく、現実を見据えた行動が「勝利」に導くと解釈できるでしょう。
画面の左側には山から昇る太陽、そして山に至る道が描かれていますが、私たちが理想とする境地に至る道でもあります。
一方で画面の、右側には2輪のアイリスがあり「誓い」を意味します。バランスを取り戻すための新たな決意や献身といったものを象徴しています。
自分の夢・希望といった物をかなえるために必要なものの象徴が、この1枚のカードの絵柄にちりばめられているといって良いでしょう。
節制の意味の解釈
節制が正位置で出たときの意味
節制(テンペレンス)のカードが正位置で出た時には、次のような意味があります。
- 精神と肉体、理性と感情のバランスがとれている状態。
- 自分の欲望をコントロールすることができている。
- 感情的にならずに、冷静な判断が下せる時。
- 自分の考えと他人の考えが異なっていても、両者の意見をバランスよく取り入れて最適な解決策を見出す。
- バランスの取れた収入と支出。
- 状況が改善するように努力する。
- 献身的な活動を行う。
節制が逆位置で出たときの意味
節制(テンペレンス)のカードが逆位置で出た時には、次のような意味があります。
- 精神的・肉体的な不健康。
- 理性と感情がアンバランス。
- 感情的あるいは激情的になることで、うまくいくこともうまくいかなくなる。
- 現実逃避する(アルコール・ギャンブルなど)。
- 無駄遣い・浪費。
- バランスを欠く極端な行動。
- 偏った考え方。
天秤が水平になっているようにバランスがとれている状態