闇の存在「XXX」
怖い話「朽縄様」のあらすじ
2chに投稿された、日本のとある村(今は郡)の怪奇話です。
その村の山の上には、古い御霊神社がありました。祀られているのは通称「朽縄(くちなー)様」と呼ばれる神様で、骨を司る神様として崇められておりました。妊婦や小さな子供を連れて参拝すると、丈夫な身体に育つと言い伝えられていたのです。
朽縄様は蛇や女性の姿に化け、人里に降りてくることもあるため、村では蛇は神様の化身として畏れられていました。ある時、村の金持ちの放蕩息子が、自分を袖にした娘の家の畑に、嫌がらせのために生きたままの蛇を串刺しにして刺すという、恐ろしいことをしでかしたのです。
怒りと畏れに震えながらも、手厚く蛇を葬った娘の家には何事もありませんでしたが、放蕩息子には罰が下されました。突然全身の骨がギシギシと痛み、三日三晩悶絶した後、骨が溶けたかのようにグニャグニャに変形する奇病にかかってしまったのです。
医者も両親も頭を抱える中、四日目に、激痛と骨の変形で一人では動けないはずの息子は、いつの間にか家を抜け出し、蛇を刺し殺した畑で、奇怪にグニャグニャと蠢いていたそうです。その姿を見た両親も、とうとうおかしくなってしまったということです。
話はここで終わりではありません。
なんと投稿者の祖父は少年時代、朽縄様に会ったことがあるというのです。
祖父は、子どもだけで近づいてはいけないと言われていた朽縄様の祀られる神社のある場所に行き、朽縄様を見てしまったために小指の骨を持ち去られてしまいました。しかも朽縄様から、その夜に迎えにくるから待っていろと言われます。朽縄様に気に入られ、餌として狙われてしまったのです。
幸い神社の神主様の尽力により、祖父はどうにか難を逃れましたが、相当怖い一晩を過ごしたことが書かれています。そして、その話の投稿者である孫が見たところ現在も、その小指の先の骨は戻ってきていないのだそうです。
嘘かホントか、投稿者の祖父は「あんたに骨抜きにされてもうたわ!」と、小指の先を披露するのが鉄板ネタでると、明るく締められています。
「朽縄様」は妖怪?神様?
結論から言うと、朽縄様は神様です。
神様と妖怪は、元を辿ると同じものであると言う説もあります。昔の人にとって自然は、今よりもっと身近で不思議なものでした。現在では科学で解明され常識的に知っているようなことでも、昔はすべて不思議で人智の及ばない力が働いていると考えられていました。
その人智の及ばない力を、畏怖をこめて、物の怪、妖などと呼んできました。これが妖怪の始まりであると言われています。そのうち幸福をもたらす存在は神様として崇められ、不幸をもたらすものは妖怪として祓われるようになっていくのです。あるいは、神様が零落した姿が妖怪だと言う説もあるようです。
地元では朽縄様は骨を司る神様として信仰されてきました。朽縄様は、蛇や女性の姿に化けて村に降りてくることもあり、投稿者の祖父が出会ったときも、瞳は縦に細く閉じた爬虫類特有の目だったと語っており、女性の蛇神様であると推測されます。
「朽縄様」の神社とは?
村にあった朽縄様の神社は、いわゆる「御霊神社」であったと語られています。
御霊神社とは実際にいた人物が祀られているもので、祀られている人物が怨霊にならないよう魂を鎮めるために造られた神社のことです。
昔は強い恨みを持って死んだ人たちが怨霊となり、人を脅かしたり、天災や疫病を発生させると考えられました。そんな人智の及ばない災害や不幸を回避するため、恨みを鎮めようと建立された神社が御霊神社であり、御霊信仰です。「怨霊」を鎮めて「御霊」とする事によって、平穏や繁栄を祈念する信仰といえます。
御霊神社として有名なのは九州にある太宰府天満宮です。権力争いに敗れ、太宰府に出向させられ失意の中、亡くなった菅原道真公の呪いは憎い相手のみならず、都にまで及んだと言われています。朽縄様も御霊神社に祀られていることから、もとは人であったのかもしれません。
ネットから広がった都市伝説や怖い話は多数存在するけど、「朽縄様」もネット由来の洒落にならないほど怖~い話だぞ。