ハイランダー症候群とされる人物のほとんどは、老齢でありながら二十歳前後の容姿を保っているのが特徴です。美容や健康に長年気を遣っていればある程度の若さは保てるものですが、後述するイザベルさんや荒木飛呂彦さん等の容姿は若作りの範疇を超えており、病気を疑われるのも無理はないでしょう。
またハイランダー症候群にはもう1種類あるとされており、それが幼少期に成長が止まり子供の姿のまま一生を終えるタイプです。ハイランダー症候群と近い症状で有名な症例が成長障害(Growth Disorders)があります。
しかし「子供にしか見えない大人」として出回っている画像にはデマも多く、また症状自体も従来の成長障害との区別が難しいので、新種の病気として立証することは難しいでしょう。
100万人に1人が発症するといわれている難病「小頭性原発性小人症(しょうとうせいげんぱつせいしょうじんしょう)"MPD"と酷似。成長が著しく遅い部分は似ていますが、ハイランダー症候群は病気であるとはっきり証明はされていません。
ハイランダー症候群の由来
ハイランダー症候群という名称の由来については、映画の『エスター』または『ハイランダー』の登場人物が基になっているという説が有力です。
「ハイランダー」とは、1986年に公開されたアメリカ・イギリスのファンタジー映画で、クリストファー・ランバートが主演を務めました。映画は、不死身の戦士たちが、永遠の生命と力をかけて戦うという物語です。映画内では、何百年経っても歳をとりません。
主人公のコナー・マクラウドは、スコットランドで生まれた不死身の戦士で、彼は16世紀に戦いで死んだ際に、不死身の力を手に入れます。その後、コナーは歴史を渡り歩き、不死身の戦士たちと戦いながら、他の不死身の戦士たちと共に、最後の1人となる「高地の者」と呼ばれる者になるために戦います。
映画は、異なる時代と場所でのシーンが交互に登場し、現代のニューヨーク市での最後の決戦が描かれます。映画は、アクション、ファンタジー、ロマンス、ドラマの要素を組み合わせた作品で、シリーズ化もされています。
2つの映画には共通して主人公が年を取らないという特徴があり、ひとたび視聴すればハイランダー症候群の何たるかを分かりやすく学ぶことができます。
『ハイランダー』は首をはねられない限り不死身となった主人公が爽快アクションを繰り広げる作品であり、誰でも気軽に楽しめることでしょう。
『エスター』は名作との呼び声も高い作品ですが、ジャンルがサスペンスホラーなのでご視聴の際はある程度心の準備が必要です。
また『悪魔のリドル』という漫画にもハイランダー症候群について架空の病気として登場します。 肉体が老いず長命となる奇病でこの病気を患う『悪魔のリドル』の首藤涼は明治時代から変わらぬ外見で生き続けているという設定。
ハイランダー症候群の主な特徴
本項では、ハイランダー症候群の主な特徴を3つ紹介します。
ただし病気の存在そのものが立証されていない以上、特徴やその原因にまつわる話は全て仮説であることをご理解ください。
癌になりやすい
「症候群とはいっても、老化が止まるのだからむしろ健康になっているのでは?」という疑問を抱く人も少なくないでしょう。しかしハイランダー症候群の最たる特徴は身体が成長しないことであり、これは体細胞が分裂や増殖の過程で何らかの異常をきたしていることを意味します。
異常をきたした細胞が増殖することは癌の発生メカニズムそのものであり、以上のことからハイランダー症候群の人は普通の人に比べて癌を発症しやすいといえます。
短命の場合が多い
「身体の成長や老化が止まれば、不老不死とまではいかずとも寿命は大分伸びるのでは?」と思う方も多いことでしょう。しかし症状がどうあれ、細胞に異常をきたす病気が長生きにつながることはありません。
ハイランダー症候群の人は細胞が異常な速度で分裂するとされており、臓器や骨肉の形成が正常になされないために様々な病気のリスクを負うことになります。
また人間の細胞は分裂できる回数がおおよそ決まっているので、人より早く細胞分裂の限界に達してしまう分、ハイランダー症候群の人は短命といえるでしょう。
姿に変化がない
ハイランダー症候群の人は肉体の成長や老化が止まるだけでなく、容姿も死期を迎えるまで変化しないといわれています。美容という観点ではむしろ良いことのように聞こえますが、「寿命を縮め、健康上の大きなリスクを抱えてまで美貌が欲しいか」と聞かれ、首を縦に振る人はほとんどいないでしょう。
また死の数日前から急激に老化するという説もあり、これが事実なら死に方としてはかなりショッキングです。なにせ容姿の変化が死亡予告そのものとなるので、精神的に安らかな最期を迎えることは困難でしょう。
ハイランダー症候群になる原因は不明?
ハイランダー症候群の原因として最も有力視されていたのはホルモンバランスに関わる内分泌系の障害ですが、近年の研究でこの説はデマで誤りであることが分かっています。
他にも細胞活動の異常や遺伝子レベルでの欠陥など様々な説があるものの、ここまでのところ確定的な情報はないようです。
ただし身体の成長に関わり、かつ細胞の異常が原因の病気そのものは実在します。
その代表例がウェルナー(Werner)症候群(早老症)であり、この病気は「異常な早さで成長・老化する」という症状なので、真逆の病気となるハイランダー症候群についても何かヒントが隠されているかもしれません。