二枚舌の意味とは?
二枚舌(にまいじた)は「嘘を言う」や「矛盾したことを言う」などの意味を持っています。
舌を使い分けるようにコロコロと嘘をつき、二転三転と考えを変えることを指します。悪い意味で使われる言葉であり、信用を失う人の特徴とも言えるでしょう。
二枚舌より上の三枚舌とは?
二枚舌の上を行く三枚舌という言葉も存在します。
三枚舌は主に、外交や政治の政界において使われ、発端となったのは第一次世界大戦後です。当時、中東の問題に対処しているイギリスの姿勢が揶揄され、その言葉が「三枚舌外交」でした。三枚舌外交と言われたのはイギリスが「フランス」、「ユダヤ」、「アラブ」の三者に矛盾した約束をしたためです。
このことから、出会った人ごとにその場しのぎで出まかせを言い、合わせる人のことを三枚舌と呼んだりもします。
二枚舌の由来・語源
二枚舌の語源は仏教用語の「両舌(りょうぜつ)」に由来すると考えられています。
仏教には「十善(じゅうぜん)」と「十悪(じゅうあく)」という概念があります。「十悪」とは10種の悪事(殺生、偸盗、邪淫、妄語、綺語、両舌、悪口、貪欲、瞋恚、邪見)のことで、その一つに数えられるのが「両舌」です。ちなみに、「十善」とは10種の善行、あるいは十悪を犯さないことを言います。
「両舌」は2人にそれぞれに違ったことを言い、その2人の中を引き裂き争わせるという悪事を指しています。
つまり、両舌は単に嘘をつくのではなく、それぞれに違うことを言って両者の仲を悪くさせる行為を指した言葉なのです。「両」の字には「2つで1組」という意味があるため「両舌」が「二枚舌」と言われるようになりました。
二枚舌の使い方・用例
二枚舌の使い方や用例をいくつかご紹介します。
お母さん
彼は二枚舌を使うから信用しちゃいけませんよ!
課長
最近の議員は二枚舌の人ばかりで嫌になるな!
ボブ
君が二枚舌を使うような人だと思わなかったよ。非常に残念です。
二枚舌は他人を欺くために使うものです。ですから、悪事を働く人を表現する言葉として軽蔑や侮辱、残念に思う気持ちとともに使われます。また、他の人に対して「この人は嘘をつく、矛盾したことを言うから注意が必要」と警告を促す際にも使われます。
二枚舌の類語、対義語
二枚舌と似たような意味を持つ言葉は、以下のようにたくさんあります。
類義語 | 意味 |
二転三転する | 物事の動向が著しく変化する。 |
ご都合主義 | 主張や行動に一貫性がなくその都度態度を変える。 |
舌先三寸 | 口先だけの巧みな弁舌でごまかす。 |
一口両舌 | 以前言っていたことと異なることを言う。 |
八方美人 | 誰にでもいい顔をする。 |
ダブルスタンダード | 対象によって基準を変える。 |
二枚舌の対義語は存在しません。そのため、「嘘をつく」や「矛盾したことを言う」という意味の対義語を紹介します。
対義語 | 意味 |
真面目 | 律儀で実直である。 |
実直 | 律儀で正直である。 |
正直 | 嘘や偽りのない。正しい。 |
誠実 | 真面目で真心がある。 |
首尾一貫 | 考え方が最後まで変わらない。 |
二枚舌の意味のまとめ
二枚舌とは「嘘をつく」や「矛盾することを言う」などを意味しており、仏教用語が語源となった言葉です。
一人の人が二枚の舌を使うかのように正反対のことを言うことを指すのですから、良い意味では使われません。面と向かって二枚舌という言葉を使うのは、相手を叱責したり、糾弾したりするとき以外はNGです。また、二枚舌を使う人との付き合いは十分注意した方がいいでしょう。
二枚舌の意味まとめ
- 二枚舌の意味は「嘘をつく」や「矛盾することを言う」
- 語源は仏教用語の「両舌(りょうぜつ)」
- マイナスのイメージを持つため使い方には注意が必要
マイルド君
二枚舌は妖怪にもいると言われているんだ。
心妖怪シリーズに書かれている二枚舌、興味があったら読んでみてもいいかもな。