重畳の読み方や意味は?
重畳は「ちょうじょう」と読み、2通りの意味があります。
- 「幾重にも重なること」で、「物や事が重なること」を表します。
- 「大変喜ばしいこと」で、「満足している」ことを表すこともあります。
重畳の由来
2通りの意味を持つ「重畳」には、それぞれの意味に対して別々の語源があります。
・「幾重にも重なること」「重ね重ね」の意味の場合……重畳の「重」と「畳」の漢字には、どちらも「重なる」という意味があります。同じ意味合いの漢字を2つ組み合わせる重複表現により「いくつも重ねる」という意味を表すようになりました。
・「とても喜ばしいこと」「この上なく満足であること」の意味の場合……「畳」が昔は貴重で高価な品であったことから、良いものめでたいものが重なって「大変喜ばしい」という意味に転じました。
女神さま
同じ言葉なのに、意味が全く違うなんて不思議ね!
重畳の使い方・用例
重畳は、普段使われることのほとんどない言葉ですが、主に以下のような場面で使われています。
- 文章中やおごそかな場面
- 電気回路の専門用語
- 時代小説や時代劇の中の言葉
文章中やおごそかな場面で使う
重畳的・重畳たる
「重畳的・重畳たる」とは、「重なっているさま」や「同じことを繰り返してややこしいさま」を表すときに使われる言葉です。
主に文章の中で使われる言葉で、山が幾重にも重なる様子を「重畳たる連峰」と表現するなど壮大な景観を表す際にも使われます。
厨二ちゃん
説明が重畳的でイライラするわね…
女神さま
重畳的を「ややこしい」という意味合いで使った例文ね!
罪科重畳
「罪科重畳(ざいかちょうじょう)」とは、罪がいくつもが重なっていることです。
「重畳的」を使った法律「重畳的債務引受」というものもある!
- 重畳的という言葉を用いた「重畳的債務引受」という法律があります。債務引受方法の1つで、「債務者以外の第三者が債務者と連帯して同等の債務を引き受ける」方法になります。主に相続問題などに用いられます。
電気回路の専門用語として
重畳の理
「重畳の理(ちょうじょうのり)」は、電気回路で使われる専門用語です。
「重ね合わせの理」とも言われており、複数の電気回路の計算をする際に単純化するために用いられる手法・定理の呼び名です。
フロイト先生
ほかにも、物理系では「重畳原理」「重畳積分定理」なんて言葉もあるんじゃ。調べてみたまえ。
時代劇や小説の中の言葉として
重畳至極
「重畳至極(ちょうじょうしごく)」とは、目上から目下の者に対して使われる「大変喜ばしいこと」という意味合いの言葉です。時代劇でよく使われる「余は満足じゃ!」という言葉と同じ意味合いになります。
「至極」という漢字は「極めて・もっとも」といった意味なので、重畳至極とは「極めて」と「大変喜ばしい」が組み合わされたものであり、「喜びの感情を表す最上級の言葉」になります。
番長
重畳の至りじゃ!!
女神さま
「大変喜ばしいこと」を意味する言葉だけど、どちらも「目下の人に対して」使うという決まりがあるから使うときには要注意よ!
重畳の類語
重畳の類語にも、2つの意味合いのものがあります。
重畳の「重ね重ね」という意味合いに似た言葉として挙げられるのは、「複数の層が重なるさま」である「重層」や「何度も繰り返すさま」を表す「再三・たびたび」などです。
「とても満足である」の意味での重畳の類語もいくつか挙げられます。「めでたい」は「賞賛するさま」や「素晴らしい」といった意味合いを持つ言葉で、「結構・満足」は「申し分のないこと、十分良いこと」の意味です。そのほか、祝い事を表す「慶事」も類語といえるでしょう。
重畳の意味のまとめ
「重ね重ね」と「大変満足であること」の2つの意味をあわせ持つ「重畳」ですが、話し言葉として使われることはほとんどないため知っている人は少ないかもしれません。もしも、重畳についてもっと知りたいと思ったら、時代小説などを読んで見識を深めてみてはいかがでしょうか。