慇懃無礼の読み方や意味は?
「慇懃無礼」は2つの意味を持つ四字熟語です。
- 丁寧過ぎてかえって失礼にあたること
- 表向きの態度は丁寧だが、心の中では相手を見下していること
あまり目にしない難しい漢字がならんでいますが、読み方は「いんぎんぶれい」です。
フロイト先生
それぞれその過程は異なるものの、相手に対して失礼であるということは共通しているのじゃ。
慇懃無礼の語源
元々「慇懃」と「無礼」は別々に使われることも多い言葉です。
- 慇懃・・・「真心のこもっていること、非常に丁寧なこと」を意味します。「慇」は「心のこもった、丁寧な」という意味です。「懃」は「勤」という字の旧字で「非常に気を遣うこと、気を配ること」を表しています。この2つの字が重なった言葉である「慇懃」はただ単に丁寧であるというだけでなく、異常なほどに丁寧である様子を表しています。
- 無礼・・・は「礼儀のないこと、礼儀を欠いている様子」という意味です。
このように真逆な意味の2つの言葉がくっつき、「慇懃無礼」という言葉になったのです。
慇懃無礼の使い方・用例
では「慇懃無礼」を実際に使った例文を見ていきます。普段の生活で使用する際の参考にしてみてくださいね。
意味①「丁寧過ぎてかえって失礼にあたる」の例文
お母さん
あなたは良いと思って言っているのかもしれないけれど、相手からしたら慇懃無礼な態度に感じると思うよ。
課長
何度も謝罪メールを送ると先方からは慇懃無礼だと思われるぞ。
スケ番
良かれと思ってやったことが慇懃無礼だと取られて、相手の怒りを買ってしまったようだ。
意味②「丁寧な対応だが内心見下していること」の例文
課長
あんな慇懃無礼な態度を取られては、とてもじゃないがうちの社とは取引きできない。
不敵くん
マニュアル通りの対応しかできない慇懃無礼な接客の店では、長くは続かないであろう。
上京君
一見さんお断りの店では慇懃無礼に入店を断られることがある。
慇懃無礼の類語・対義語
「慇懃無礼」にはいくつか類語や対義語があります。順にみていきましょう。
慇懃無礼の類語① 慇懃尾篭(いんぎんびろう)
「慇懃尾篭」は「いんぎんびろう」と読みます。意味は「丁寧に対応しすぎたり、親切にしすぎたりすることで、かえって相手を不愉快な気持ちにすること」です。
「慇懃無礼」の1つ目の意味である「丁寧過ぎてかえって失礼にあたること」と同じような意味合いになります。
子供
敬語を使いすぎると、慇懃尾篭だと相手に取られることがあるので注意して使った方が良い。
慇懃無礼の類語② 礼も過ぎれば無礼になる
「礼も過ぎれば無礼になる」は「慇懃無礼」と同じような意味を持つことわざです。意味は「礼儀もやりすぎると、相手へのお世辞となり、みっともない」ということです。慇懃無礼の1つ目の意味と似ています。
お母さん
あの店は礼も過ぎれば無礼になるの典型で、居心地が悪い。
慇懃無礼の類語③ おためごかし
「おためごかし」とは「人のためにふるまっているように見せかけて、実は自分の利益のために動いていること」を表します。「慇懃無礼」の2つ目の意味と似た言葉です。
不敵くん
あの人の振る舞いは今度の選挙のためのおためごかしの親切だと思う。
慇懃無礼の対義語:横柄親切(おうへいしんせつ)
次に慇懃無礼の対義語です。「横柄親切」は「おうへいしんせつ」と読みます。この意味は「一見思いやりのない不躾なふるまいだが、実は周囲のことを思っていること」です。
「横柄」とは「図々しい態度、尊大な態度」を意味しています。そこに、「相手に対して優しくふるまう」という意味の「親切」が合わさった四字熟語です。
慇懃無礼とはまさに逆の意味の言葉になります。
番長
あの人は威張っていて苦手だと感じていたが、実は横柄親切なタイプで内面は優しいということがわかった。
慇懃無礼の意味のまとめ
ここまで「慇懃無礼」について解説してきました。一見難しい言葉のようですが、意味を理解していればビジネスはもちろん、普段の会話の中でも使える言葉です。サイトの中にはほかのビジネス用語や四字熟語も解説していますので参考にしてくださいね。
慇懃無礼という言葉
- 意味①丁寧過ぎてかえって失礼にあたること
- 意味②一見丁寧な対応だが、実は相手のことを見下していること
- 類語は「慇懃尾篭」「礼も過ぎれば無礼になる」「おためごかし」
- 対義語は「横柄親切」