臥薪嘗胆の読み方や意味は?
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)とは、目的を達成するために苦心し努力するという意味を持つ中国の故事成語です。
古くは、中国の歴史的背景が色濃く表れた「復讐を心に決めてあらゆる苦難に耐えること」の意味で用いられていました。現代では、復讐心の意味が薄まり「苦心して努力すること」に焦点が当たった意味として、座右の銘などで使われています。
華ちゃん
臥薪嘗胆って「努力して目標を達成すること」よね。じゃあ私、今アイドルになるために臥薪嘗胆中ということかしら?
お母さん
あらあら、小さく短期間の苦労の場合は臥薪嘗胆は使わないわね。それにいつもニコニコしてて、臥薪嘗胆を使うには必死さが足りないかな?臥薪嘗胆の由来を見てみると、どのような思いの人が使うのかよくわかるわよ。
臥薪嘗胆の由来
臥薪嘗胆の由来は、古代中国の春秋時代の故事です。紀元前6世紀頃、呉と越の国は長い間敵対していました。呉の国王は、越から攻め込まれ戦死する時に息子に敵をとるよう遺言して息絶えます。
息子は父の仇を討つ決心を鈍らせないため、硬い蒔(まき)の上に臥(ふ)して痛い思いをしながら寝ていました。「臥薪」の言葉はここから発生しています。その後、呉は越に攻め入り勝利を収めました。
一方降伏して屈辱を感じた越の国王は、苦い肝(きも)を嘗(な)めながら復讐を誓い、その後復讐を成し遂げたのです。ここから「嘗胆」が生まれ、「臥薪」と「嘗胆」が一緒になって「目的達成のために今辛酸をなめる」という意味の言葉が生まれました。
臥薪嘗胆が日本に広まった三国干渉
臥薪嘗胆が日本でスローガンとして国民の間に広まったのが、明治時代の三国干渉のときです。
日本は、日清戦争で勝利した後遼東半島の領土を獲得していました。ところが、ロシア・ドイツ・フランスの三国が遼東半島を清に返還するよう迫ったため、明治政府は三国の圧力に屈して還付しています。
このとき明治政府の政治的判断に憤慨した国民は、当時のロシア帝国に対する復讐の意味で臥薪嘗胆をスローガンとして使っていたようです。この国民の思いは、後の日露戦争の原動力となりました。臥薪嘗胆を使っていた国民の思いは、国を動かすほどの大きな力があったことが伺えます。
臥薪嘗胆の使い方・用例
臥薪嘗胆は目標達成のための非常に強い覚悟の表れで、悲願であったり念願であったりと強い意志がある場合に用いられます。長い辛い時代を乗り越える場合に相応しい言葉で、誰もが普通に行う努力や苦労に臥薪嘗胆を使うことは正しくありません。例文を通して臥薪嘗胆の使い方を見てみましょう。
臥薪嘗胆する
オタクくん
臥薪嘗胆の3年間だったが、そのおかけで希望の大学に合格することができた。
ボブ
夢だったプロ野球にやっと入れた。子供の頃から臥薪嘗胆してきたことは間違いなかった。
若手社員
世の中いいことばかりは続かない。臥薪嘗胆を座右の銘として頑張ろう。
臥薪嘗胆の末
DATSUさん
臥薪嘗胆の末、闘病生活から復活できた。これから心機一転頑張るぞ。
課長さん
諦めない気持ちは大事だね。臥薪嘗胆の末彼はとうとう悲願のエベレスト登山をやり遂げたよ。
臥薪嘗胆の気持ち
課長
プロには、何事も臥薪嘗胆の気持ちがないとなれるものではない。
厨二くん
長い間低迷から抜け出せずにいたけれど、臥薪嘗胆の気持ちが今回の優勝につながった。
議員
夢を諦めず臥薪嘗胆の思いで頑張っている息子を、誇らしく思う。
臥薪嘗胆の類語
自分の気持を奮い起こさせる言葉は、四字熟語や格言に多く存在します。臥薪嘗胆の意味とよく似た四字熟語をご紹介します。
四字熟語 | 読み方 | 意味 |
座薪懸胆 | ざしんけんたん | 目的を達成するために苦労に耐えて機会を待つこと |
漆身呑炭 | しっしんどんたん | 復讐や仇討ちをするために大変苦労をすること |
堅忍不抜 | けんにんふばつ | 困難に心を奪われず、我慢強く耐え忍ぶこと |
捲土重来 | けんどちょうらい | 一度敗退した者が再び勢いを盛り返すこと |
臥薪嘗胆の意味のまとめ
臥薪嘗胆は、より良い人生にするために自分の心のあり方を教えてくれる四字熟語です。概ね苦労のない目標達成や向上はありません。臥薪嘗胆の由来を通して見てみると、苦労から逃げずに努力を続けて復讐という目標を達成しています。つまり、苦労から逃げないことは、目標達成できるもしくは近づくという意味と捉えることができるでしょう。辛い気持ちになり逃げたくなったら、臥薪嘗胆を一度思い起こしてみてください。