「石女」の語源
「石女」の語源には諸説ありますが、「石」が持つ意味からきているという説が一番有力だとされています。
「石」には「役に立たない」という意味があり、これが「子供を産めない女性→役に立たない女性→石女」となり、「石女」を「うまずめ」(産まず女)と読ませるようになったといいます。
石女の歴史
「石女」という言葉が常用されていた歴史は江戸時代にまで遡ります。
当時、結婚といえば「家が所有する土地や財産、血統を受け継いでいくための慣習」とされていました。そのため、当時の女性の役割といえば「家を受け継ぐ子供を産むこと」でした。
しかし、結婚後数年経っても子供ができないと「あの嫁は石女だ」などと周囲に囁かれ、その女性が蔑ろにされることも珍しくなかったといいます。
女性が石女となる原因として「前世の悪行」や「先祖が殺生をしたための業の報い」と噂されたり、「石女は縁起が悪い」と嫌悪されることもありました。
昔は不妊=離婚であった
男尊女卑の時代における女性の役割は「子供(跡継ぎ)を産むこと」です。その役割を果たせない女性は甲斐性なしと言われた上に、夫から三行半(離縁話)を突きつけられ実家へ追い返されることが常でした。跡継ぎを産めない女性は不要であるという考えが根付いていたためです。
子供を持たないという選択肢がある現代社会と異なり、当時はそれだけ子供を産むことが重要視されていました。
お母さん
この前あの家の奥さんが「うちの息子が石女を嫁にもらってしまった」と嘆いているのを聞いてしまったのよ。江戸時代じゃあるまいし、ひどい言い方よね!!
夫の母・トメさん
そうかい!? なんて縁起の悪い嫁だろう…そんな嫁には三行半を突きつけてやればいいのさ!
不妊の原因は女性だけにあるわけではない
医学の発展もあり、昨今では不妊症は女性だけでなく、男性もなりうることがわかっています。WHOの不妊症原因調査によると、女性のみは約40%、男性のみは約20%、そして男女ともは約20%であるという報告がなされています。
しかし、以前は医学が発展していなかったことや女性軽視の風習もあり、「不妊=女性の問題」が常識とされてきました。本来ならば夫婦で不妊に向き合うべきことなのに、当時は不妊に悩み苦しむ女性は多かったことでしょう。
まとめ
この記事では「石女」の意味や歴史について解説してきました。男女共同参画社会が築かれるようになった現代社会では耳にすることがなくなった「石女」という言葉は、男尊女卑の風習が常識で、女性に自由がなかった社会の存在を物語っています。
子供を産むことにとらわれない多様性を認めること、男女ともに不妊に向き合う姿勢が現代社会では必要と言えるでしょう。
「石女」まとめ
- 「石女」とは「子供ができない女性」を差別する言葉で、「うまずめ」、「せきじょ」と読む
- 石女は跡継ぎができないために嫌がられ、夫から三行半を突きつけられる時代があった
- 仏教では、生涯子供を産まなかった女性が堕ちる「石女地獄」もあるとされる
女神さま
最後までご覧いただきありがとうございました。
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