堕天使・リリス
「神様トンボ」とは?
昆虫や草花には正式名とはまた別に愛称で親しまれているものが特にたくさんありますが、神様トンボもそのひとつです。
神様トンボは正式名ハグロトンボ(羽黒蜻蛉)といいます。それがどうして神様トンボと呼ばれるようになったのでしょうか?
それは、トンボの中でも、特に神秘的な雰囲気を持つ美しい存在として感じる人がたくさんいたから、というのがはじまりのようです。そして、羽を開閉させる姿が、まるで人間が神様に合掌をしている様子を連想させるからだといわれています。
「神様トンボ」と呼ばれるハグロトンボ
DATSUさん
僕も黒いんだけど、神様に立候補していいだろうか?
ハグロトンボはその名の通り、オスメスともに羽の黒いトンボです。しかもメスは羽だけではなく体全体が黒いトンボで、胴体は黒褐色といってもよいほどです。
トンボの羽は透明かそれに近いものが多いため、黒というだけで珍しく神秘的なイメージです。ですがハグロトンボはそれだけでなく、さらに不思議な感覚を多くの人に与える特徴をいくつも持っています。
それでは、神様トンボの特徴をみていきましょう。
林の中で成長する神様トンボ
ハグロトンボはカワトンボという種類に属します。水辺で誕生し一生のうち多くは何らかの水辺で暮らしますが、幼虫から成虫になった当初はなぜか薄暗い場所を好み、水辺を離れて陽が当たりにくい林などの中に移動します。
そのような生態を知らない人にとっては、薄暗い林の中を歩いていたら羽の黒いトンボと出会った!という出来事があると、これは現実?もしや神様からのサインか、もしくはトンボになった神様か?などと感じたのでしょう。それで神様トンボと呼ぶようになったという説があります。
蝶のように飛ぶ神様トンボ
ハグロトンボが神樣トンボと呼ばれる由来は飛び方にもあります。トンボの多くは、羽を素早く細かく動かしてまるで風のように素早く飛んだり、ヘリコプターのように空中で静止したりできるものですが、ハグロトンボはまるで蝶のように羽をひらひらさせて空中をゆっくり優雅に飛ぶのです。
しかも、何かに止まっているときはやはり蝶のように羽を閉じてじっとしています。トンボらしからぬその姿を見た人は、神に祈る人間の姿を連想しそこにも神秘性を見出したようです。そこから神様トンボと呼ばれるようになったという説もあります。
堕天使・リリス
早速神様トンボの羽を動画でチェックしてみるわ
お盆と田んぼと神様トンボ
林の中などで成長期を過ごしたハグロトンボは、お盆の頃になると成熟し水辺に戻ってくるようになります。田んぼでもハグロトンボを多く見かけるようになるため、田の神様の化身か?思われるようになりました。トンボは害虫を食べてくれるので、農家にとってはまさしく神様です。
しかもお盆といえばご先祖様が戻ってきます。田んぼに現れたハグロトンボにはご先祖さまの魂が宿っていると感じた人は、大勢いたと思われます。そこに神様トンボと呼びたくなる心理が働いたのかもしれません。
子供たちと神様トンボ
優雅にゆっくり空中を舞うハグロトンボは、子供でも簡単に捕まえることができます。ハグロトンボを捕まえて殺生することも簡単です。そのような行為をエスカレートさせてはいけないと考えたのか、大人は子供たちにハグロトンボは神様の使いなのだから、捕まえて殺すようなことがあってはいけないと教え込んだようです。
ハグロトンボが神様トンボとなることで、生命の大切さを教えるための教材としても役目も果たしたのです。
堕天使・リリス
神様トンボは人間に大切にされているんだね。ちょっとうらやましいかもしれないなあ。
トンボは縁起がいい虫
農作物の害虫を食べてくれ、五穀豊穣を手助けしてくれるトンボは、人間にとってとてもありがたい益虫です。秋になりたくさんのトンボが田畑にやってくると、昔の人々は幸運が舞い降りてきたように感じたことでしょう。まさに縁起の良さを象徴した存在です。
また、トンボは前にしか飛ばない習性を持っていますが、その決して後には引かない姿に、昔の戦国武将たちは縁起の良さを感じていました。トンボを勝ち虫として、鎧かぶとや旗などの図柄に採用された例はたくさんあるようです。
神様トンボって黒いのよね。私も黒いんだけど、もうじき神様になれるかな・・・