セレンディピティとは?
「セレンディピティ」によって大きな功績が挙げられた例は数多くあり、それ自体ノーベル賞受賞者や芸術家が好んで口にする言葉でもありますが、まだ日本では馴染みが薄い言葉でもあります。
ここではセレンディピティの意味やその語源について解説していきます。
意味・思いがけない幸運を手に入れること
セレンディピティという言葉は直接日本語に訳するのは困難ですが、大辞林第三版では「思いがけないものを発見する能力。特に、科学分野で失敗が思わぬ大発見につながったときなどに使われる」と説明されています。
偶然の発見が思わぬ成功や幸運に繋がった時によくセレンディピティという言葉が使われるため、「思いがけない幸運を手に入れること」という意味も含めて使われています。
語源・英語の「serendipity」で造語
セレンディピティは造語で、英国の作家ホレス=ウォルポール(1717~1797)著『セレンディップの3人の王子たち』が由来となっています。この本でのセレンディップとはアラビア語でのスリランカを表しており、スリランカの3人の王子、という意味です。
『セレンディップの3人の王子たち』の主人公には思いがけない発見を得る能力があり、そのことから本作のタイトルを取ってセレンディピティという言葉が生まれました。
セレンディピティとシンクロニシティとの違い
セレンディピティと似た言葉としてシンクロニシティがあります。シンクロニシティは心理学用語で「意味のある偶然の一致」という意味を持ちます。
セレンディピティが偶然の発見という意味を含むのに対し、シンクロニシティは偶然の一致という意味を含んでいます。
偶然、つまり意図的でないことは共通していますが、それによって何かを得る時はセレンディピティ、何かが同時に起こる(シンクロする)時はシンクロニシティという風に使い分けます。
セレンディピティを引き起こす方法
セレンディピティが引き起こされた実例は多く、有名な科学の発見もセレンディピティによって発見された例が数多くあります。その一つがペニシリンの発明です。
世界で初めて発明された画期的な抗生物質・ペニシリンは、実はそれとは関係のない研究での失敗によって発見されたのです。
フレミングという細菌学者がブドウ球菌の研究中に誤って青カビを発生させてしまうのですが、彼は青カビの周りでだけ菌が繁殖していないことを発見し、そこからペニシリンを発見したのです。
このようにセレンディピティは思いがけない幸運や成功を掴む鍵になります。ここではそんなセレンディピティを引き起こすためにすべきことを紹介します。
セレンディピティを理解する
セレンディピティは予期せぬ幸運を掴むことと、そのための能力という両面の意味を持ち、積極的な行動の過程で偶然の発見を得た結果、予期せぬ幸福を掴むことを指します。
セレンディピティは「棚から牡丹餅」のようなものを指しません。まずはセレンディピティを正しい意味で理解することが重要です。
①積極的に行動する
セレンディピティの意味には幸運を掴むことと、幸運を掴む能力の両方の意味が含まれています。
つまりセレンディピティはただの幸運ではなく、自ら行動する中で得られる思いがけない幸運を指すのです。
そのためセレンディピティを引き起こすためにはただ偶然を待つのではなく、自らが積極的に行動していることが重要になります。
②適所に自分の身を置く
セレンディピティを起こすには身の回りの環境も重要で、自分にとって適した場所に身を置くことがポイントになります。
適した場所とは自分がセレンディピティを起こしたいと思う分野や物により近い場所を指すので、例えば科学研究の分野でセレンディピティを起こして何かを成し遂げたいのなら科学研究により関わりの深い仕事をすることがおすすめです。
③適度に休む
ひらめきの多くは何にも集中していない時に降りてきます。そのため一つのことに集中し過ぎていては偶然の発見やひらめきを得るチャンスを逃がしてしまいます。
自分が取り組んでいるものに集中する合間に適度な休みを挟むことで頭が整理されるので、よりセレンディピティを引き起こしやすくなります。
④言い訳をしない
セレンディピティを引き起こしたいなら言い訳は禁物です。
セレンディピティを起こすには自ら積極的に行動することが必須なので、行動を起こす前からそれが出来ない理由を探しているようでは何も始まりません。
面倒くさいことや大変そうなことでも、それをしなくて済む言い訳をするのではなく、どうした出来るかを考え、前向きに捉えることでセレンディピティが起きやすくなります。
⑤よく観察してチャンスをつかむ
セレンディピティを起こす上では偶察力(ぐうさつりょく=偶然のなかで幸運をつかむ力)も必要になります。つまり物事を正確に見抜いたり、有益な情報に気付いたりするために日頃から観察の目を持つことが偶然のひらめきに繋がるのです。
同じような環境で生活していても人によってひらめきの数や質は異なり、その差は何気ない日常から気付きを得る観察力にあります。
⑥ 「セレンディピティエンジン」を使う
セレンディピティエンジンとは、ふとした偶然やひらめきを得るチャンスを増やすためのツールを指し、ブログやSNS全般を指して使われることもあります。
ブログやSNSを活用すればオフラインのみの場合に比べて圧倒的に多くの人や情報に触れることが出来るため、その分ひらめきを得るチャンスも格段に広がります。
⑦ひらめきを感じたら積極的に出す
もし何か思いがけないひらめきがあったら、それこそがセレンディピティを起こすチャンスです。その時はひらめきに従って積極的に行動しましょう。周囲に対してそのひらめきをアウトプットすることも大切です。
ただひらめくだけではなく、それが有益なひらめきだと察知して行動することで当初は予期しなかった幸運に繋がるのです。
⑧身の回りの人にもセレンディピティが起こるように動く
自分一人だけではなく自分の周りの人にもセレンディピティが起こるように働きかけると、格段にセレンディピティが起きやすくなります。
「三人寄れば文殊の知恵」というように、複数人が集まった方がそれだけ多くの情報を共有できるため、一人では得られなかったひらめきを得ることが出来るのです。
相性の良さそうな人同士を会わせる
周囲の人を巻き込んでセレンディピティを引き起こすためには、相性の良さそうな人同士を引き合わせることがポイントです。
お互いに有益な情報を持っている、あるいはお互いを尊敬出来るような人同士が集まるとより関わり合いが活発になり、セレンディピティが起きやすくなります。
セレンディピティのカギは『洞察力とひらめき』
セレンディピティを引き起こせるかどうかは、日常生活でいかに洞察力をもって物事を見つめ、そこからひらめきを得られるかにかかっています。
何気ない日常の中にも気付きのチャンスは隠れています。それを見つけるための洞察力を養うことと、得られたひらめきを元に行動を起こせることがセレンディピティを引き起こすための鍵と言えます。
番長
「いろいろな本を読むことによってセレンディピティを引き起こそう!」と勧めている本はこれだぜ。
読書は心の栄養だ!