生命の樹を意味する「セフィロトの樹」とは?
生命の樹を意味する「セフィロトの樹」とは、旧約聖書の創世記に記された、エデンの園の中央に植えられた木のことです。10個のセフィラと22個の小径を体系化した図で表現される、セフィロトの樹についてご紹介しましょう。
カバラ神秘主義で美徳の性質を持つ
セフィロトの樹は、カバラ神秘主義で美徳の性質を持ちます。近代以降の西洋魔術では生命の樹をタロットカードに結びつけて研究が行われていました。
セフィロトの樹は、さまざまな樹々の姿に変わりながら、久遠の時を越えて現代にまで光輝き続けているのです。これらは、私たちの内に息づく生命のシンボルであり、生命の力や聖なる力、また大いなる力、愛の力、覚醒させる力などを示しています。
またセフィロトの機は上下が逆さまの樹でもあり、天に根を広げて霊力を吸収します。それを各セフィラへ行き渡しながら下部の物質世界へ降りていき、地に枝を伸ばしていくのです。
セフィラは上方から段階的に下方へ流出していきますが、この流出過程を逆さにたどることによって、神の叡智へと到達することができると言われています。
セフィロトの樹は、宇宙全体から人体、精神世界から物質世界を象徴させる懸念を投影しているのです。
カバラ神秘主義とは
カバラ神秘主義とは、ユダヤ教をもとにした神が世界を作って運行するために放出される、神からの恵みを受けてより高度な存在になろうとするための思想のことです。
またカバラ神秘主義における悪の勢力として、クリフォトというものがあります。クリフォトは邪悪な樹に図式化され、セフィラの最下位であるマルクトの下方に伸びています。
つまり、生命の木を逆さまにした構造を持っており、邪悪な樹の各球体にも、様々な悪徳と悪魔が対応しているのです。
セフィロトの樹を構成する10個のセフィラとは
セフィロトの樹を構成する10個のセフィラには、それぞれ意味や対応している神や天使たちがいます。また象徴している宝石などもあります。ここでは10個のセフィラについて詳しく見ていきましょう。
セフィロトの樹を構成するセフィラが持つ意味
セフィロトの樹を構成するセフィラが持つ意味、宝石、象徴しているものなどは以下の通りです。
数字 | 名前 | 意訳 | 色 | 物質 | 天体 | 守護天使 | 神名 | 象徴 |
1 | ケテル | 王冠 | 白 | 金剛石 | 海王星 | メタトロン | エヘイエー | 思考・創造・王の横顔 |
2 | コクマー | 知恵 | 灰 | トルコ石 | 天王星 | ラツィエル | ヨッド | 父性 |
3 | ビナー | 理解 | 黒 | 真珠・鉛 | 土星 | ザフキエル | エロヒム | 母性 |
4 | ケセド | 慈悲 | 青 | 青玉・錫 | 木星 | ザドキエル | エル | 正四面体・王座に座る王 |
5 | ゲブラー | 峻厳 | 赤 | 紅玉・鉄 | 火星 | カマエル | エロヒム・ギボール | 五角形 |
6 | ティファレト | 美 | 黄 | 黄玉・黄金 | 太陽 | ミカエル | エロハ | なし |
7 | ネツァク | 勝利 | 緑 | 翠玉・銅 | 金星 | ハニエル | アドナイ・ツァバオト | 裸婦 |
8 | ホド | 栄光 | 橙 | オパール | 水星 | ラファエル | エロヒム・ツァバオト | なし |
9 | イェソド | 基礎 | 紫 | 銀 | 月 | ガブリエル | シャダイ・エル・カイ | 裸夫・精神世界 |
10 | マルクト | 王国 | 黒・黄・オリーブ・小豆 | 水晶 | 地球 | サンダルフォン | アドナイ・メレク | 物質世界・王座に座る娘 |
また以上の10個とは別に、隠された11個目のセフィラとして、ダァトというものがあります。そんなダァトについて以下で詳しくご紹介します。
隠されたセフィラ「ダァト」
ダァトは隠された11個目のセフィラとされており、ダートと呼ばれることもあります。これは天王星を象徴しており、知識と訳されます。どのセフィラともパスでつながっていない次元の違うセフィラと言われており、直感と意識の観念を表しています。
ダァトは決して樹には表されず、いかなる神の名も天使の軍勢も割り当てられていません。他の全てのセフィラが持っているような惑星や宇宙象徴も持っていないのです。神秘の扉、宇宙と繋がる回路のような言葉に象徴される神秘性の高いセフィラです。
セフィロトの樹の3柱が表わすものとは
セフィロトの樹を左と中央と右の3ブロックに分解したものを柱と呼びます。3つの柱がそれぞれ表す意味について解説します。
- ビナー、ゲブラー、ホドからなる左の柱は、峻厳の柱と呼ばれる。
- コクマー、ケセド、ネツァクからなる右の柱は慈悲の柱と呼ばれる。
- ケテル、ティファレト、イェソド、マルクトからなる中央の柱は均衛の柱と呼ばれる。
セフィロトの樹と4つの世界
セフィロトの樹から神が創造した4つの世界があります。互いに重なり合う3つの世界と、その上にセフィロトの樹として描かれることのない、神に対応するもうひとつの世界の存在です。そんな4つの世界は以下の通りです。
- アツィルト(流出界):神のいる完全な世界で、神聖と火の属性を持つ。
- ブリアー(創造界):大天使の支配する個性や他者の存在が生まれる世界。霊と風の属性を持つ。
- イェツィラー(形成界):天使の支配する性別を持つ世界で、エデンの園はこの領域に存在すると言われている。魂と水の属性を持つ。
- アッシャー(物質界):魂が肉体と感情を持つ人間の世界。悪魔も同時に存在しており、体と地の属性を持つ。
この4つの世界は重なり合いながら存在しているため、意識を拡大させることによって、大天使や天使の住む、他の世界からメッセージを受け取ることができます。私たち人間がいるセフィラは、4つ目のアッシャーに存在しており、そこから生命の樹を登り高みを目指し始めるのです。
セフィロトの樹のまとめ
- セフィロトの樹は10個のセフィラと22個の小径から構成されている。
- セフィロトの樹には3つの柱である、慈悲の柱、均衛の柱、峻厳の柱がある。
- セフィロトの樹にはアツィルト、アッシャー、イェツィラー、ブリアーと呼ばれる4つの世界がある。