イネイブラー意味とは?
イネイブラーとは、問題のある人物の世話を焼くことで、かえってその人物の問題を解決不能に追い込んでいる人のことです。イネイブラーは「世話焼き人」と呼ばれることもあります。実際にどんな人か、具体的に見ていきましょう。
アルコール依存の家族
例えば、アルコール依存症の夫を持つ妻がいるとします。
その夫は毎日のように飲んだくれて時々暴力も振るってきます。そんな夫をイネイブラーの妻は面倒を見続けます。
端から見ると、「アル中依存の夫に振り回されるかわいそうな人」です。しかしイネイブラーにとって、この夫は自分の評価を上げるために必要な人物でもあります。
「あの人、アルコール依存で困っているの」と愚痴をこぼしながらも内心必要とされてうれしいと感じているのです。そのためイネイブラーの場合、アルコール依存の家族にお酒を買ってあげることもあるなど、行動に矛盾が出る場合があります。
ひきこもりの子供
ひきこもりの子供がいるとします。
ある日を境に、部屋から出てこなくなった子供をイネイブラーの母親はなんとかして外に出そうとしますが、内心「このままでいて欲しい」と思っている場合があります。
イネイブラーは、「この子がひきこもりを止めてしまったら、自分は必要とされなくなるかもしれない」という不安を潜在的に抱えているため、悩みながらも、安心しているフシがあるのです。
イネイブラーにとって、ひきこもりの子供は「自分は子育てを頑張っている」と思わせてくれる人形の一種なのかもしれません。
共依存の関係
イネイブラーだけが、悪人のように見えますが、実はそうではありません。相手の方も問題を抱えているのです。
問題を抱えたもの同士が、互いに必要とし合い、縛り合いながら抜け出せなくなっている共依存の関係となっています。
上に挙げたのは一例です。イネイブラーとの共依存に陥っていると思われる人間関係は、結構身近なところにあるかもしれません。
フロイト先生
イネイブラーは、相手のためを思って尽くしているつもりなのだが、本当は自分のために尽くしている。だから結果的に相手のためになっていない場合が多いのだ。
イネイブラーの語源
イネイブラーとは、英語でenablerと書きます。本来の意味は「目的達成を可能にする物や人・救済者」という意味です。
この言葉が心理学用語として定着し、「相手に尽くしているようで実は足を引っ張っている人」を指すようになりました。
イネイブラーの使い方や用例
イネイブラーと呼ばれる人物像が、なんとなく見えてきました。ここからは具体的な用例を見ていきましょう。
マイルド君
パチンコ行くから2万円くれよ
ノワールちゃん
はい、2万円。
(もう、私がいないとダメなんだから)
フロイト先生
ノワールちゃんはマイルド君を経済的に依存させる典型的な「イネイブラー」といえるじゃろう。
ノワールちゃんは、良かれと思って彼にお金を貸しています。しかしパチンコのためにお金を貸してしまっては、彼はどんどん泥沼にはまっていくでしょう。結局ノワールちゃんは、彼を自分なしでは生きていけないように縛っているのです。
世の中には、ダメ男とばかり交際してしまう女性もいます。表面的には苦しみながらも、本心では彼に依存されてうれしく感じている場合もあるでしょう。
スケ番
クソババア、早く金出せよ!
お母さん
あらあら、お金が欲しいの?ちょっと待っててね。・・・はい!1万円あげる。
スケ番
少ねえな!
フロイト先生
この母親はイネイブラーの可能性大じゃ。
イネイブラーは、一見非常に寛大で、忍耐強い人格者のように見えることもあります。しかしこの母親は、スケ番になってしまった娘のことを本当に考えてはいないようです。このようにダメ人間に甘いのがイネイブラーの特徴と言えるかもしれません。
「世話焼き人」とも言われるイネイブラーは、相手に自立してもらうよりも、自分の側でダメ人間のまま頼っていて欲しいのです。
イネイブラーの特徴【イネイブラー診断】
イネイブラーの特徴を箇条書きでまとめます。
イネイブラー診断
- ダメ人間と一緒にいたがる
- 常に褒められたいと思っている
- 人の評判が気になる
- 人の世話をしたがる
- 相手の失敗は自分の責任だと思う
- 甘えさせるが同時に虐待をする場合もある
- 相手の悪口を言う
- 自分と相手の境界があいまいになっている
フロイト先生
思い当たることが多いなら、イネイブラーまたは、イネイブラー予備軍かもしれぬ。
イネイブラーの意味のまとめ
イネイブラーは、複雑な思いを抱えた人たちです。他者を助けたい、支えたい、という思いが仇となり、周囲の人々に悪影響を及ぼしてしまうのです。
ダメ男に振り回されがちな女性や、問題児の親など、自分の周囲にトラブルメーカーが多い人は、自分がイネイブラーである可能性を疑ってみてください。