「リョウメンスクナ(両面宿儺)」とは?
両面宿儺(リョウメンスクナ)とは、4世紀後半から5世紀頃の第16代天皇である仁徳天皇の時代に実在したとも言われる、四本の手に四本の足、頭は二つで首はないという異形の怪物です。
両面宿儺の存在は「日本書紀」の記述として、また、現在の岐阜県にあたる飛騨から美濃地方の民間伝承として伝えられています。
しかしその内容は大きく異なり、日本書紀では悪賊として描かれていますが、飛騨・美濃地方に伝わる伝承では、異形の姿にも関わらず地域の英雄的な存在として描かれています。
DATSUさん
両面宿儺の呼び名の中の一文字の「儺」は、訓読みでは「おにやらい」と読み、読み方のとおり鬼を払うという意味があります。そしてこの字を用いた鬼を払う儀式を追儺(ついな)と呼びます。
また、同時に儺という文字には追儺で払われた鬼そのものを意味する場合もあるため、両面宿儺にも善と悪が両面に宿っているという意味として捉えることもできます‥。
「リョウメンスクナ(両面宿儺)」の怖い話
両面宿儺の怖い話は2005年頃に、インターネット上の掲示板2chに掲示され、そのストーリーをまとめると以下のようになります。
1.岩手県のとある古い寺院を解体している建築業者が古い文字の張り紙がされている箱を発見した。
2.その木箱を寺の住職に伝えると「絶対に開けるな」と言われるが、バイトの中国人作業員二人が開けてしまった。
3.開けた木箱の中にはシャム双生児のような頭が二つある異形のミイラが入っていて言葉をなくすほど驚いた。そして、駆け付けた住職に「開けてしまってはもう終わりだ」と言われる。
4.住職は息子に対して「リョウメンスクナ様は京都の◯◯寺に送ったのではないのか」とひどく怒鳴った。
5.住職にはかかわった以上長生きはできないと言われ、実際に木箱を開けた中国人二人は死んでしまい、かかわった作業員三人も高熱で寝込んでしまった。
DATSUさん
ここまでが両面宿儺の像を発見した時の話だね。
堕天使・リリス
そう、そして怖い話は両面宿儺の正体に関して進んでいくんだよ。
2chに投稿した人物は、木箱の中のリョウメンスクナ様に関して住職に怒鳴られた息子から聞いた話を次のような内容で、続いて掲示しています。
6.木箱に入っていたミイラは大正時代に見世物にされていたシャム双生児のような奇形の人間(両面宿儺)で、岩手の寒村で暮らしていたが生活に困窮して売られてしまった。
7.売られた先は現在でいうカルト教団のような邪教の集団で、教祖は物部天獄(もののべてんごく)という人物。
8.物部天獄は他にも奇形の人間を数名買って、毒虫同士を争わせる蠱毒(こどく)という呪術を人間で実行した。
9.蠱毒では両面宿儺が生き残ったが、それは、物部天獄が他の人間にあらかじめ深い傷を負わせて生き残るように細工をした。
10.しかし、生き残った両面宿儺も再び密室に閉じ込められて、ゆっくりと餓死させられた。
11.呪術によって作り上げた偶像を教団の本尊として、国家への呪いの象徴として祀ることが物部天獄の目的であった。 そして、物部天獄が作り上げた呪術の象徴である両面宿儺は1910年から1920年にかけて数々の災害を全国で巻き起こして、関東大震災の直前に忽然と姿を消してしまいました。
DATSUさん
姿を消した物部天獄と両面宿儺はどうなったのだろう?
堕天使・リリス
物部天獄は自殺したとも言われているんだ。その後、なぜ両面宿儺が岩手の古寺に出現したかは住職も息子には話さなかったみたいだよ。
「リョウメンスクナ(両面宿儺)」の話中の蟲毒について
蟲毒という呪術によって両面宿儺がつくられたとされていますが、いったいどのような呪術なのでしょうか。
蟲毒は殷の甲骨文字からも存在を知ることができる古代中国に伝わる呪いの技法です。
ヘビ、ムカデ、クモ、カエルなどの毒虫を密閉された空間に閉じ込め、ゆっくりと共食いをさせた上で最後に残った蟲を呪いの象徴として崇め祀り、その毒を飲ませれば必ず死に至るという最強の呪術の一つです。
日本では古代に発行された法律である養老律令の中でも禁忌とされ、実際に呪術を行い罰せられた人物の記録なども残っています。
DATSUさん
「犬夜叉」や「ぬらりひょんの孫」などの大ヒットした漫画などにも蟲毒を用いたシーンが登場しています。