「年賀状」の由来・起源
日本の年賀状の起源は古く、1000年以上前の平安時代にその記録が残されています。
平安時代の貴族、藤原明衛がまとめた当時の手紙の文例集である、模範文例集「雲州消息(明衡往来)」の中に年始の挨拶の文例があり、これが確認できる最も古い年始の挨拶状になります。この頃から年始回りと言う習慣が広まっていったようです。
しかし、挨拶に手紙を出すのは一部の貴族の間だけでした。江戸時代に入ると、「お年賀」と呼ばれる手土産をもって年始回りを行っていました。さらに今の郵便の祖である「飛脚」が発展していき、庶民の間でも挨拶を手紙ですませることが増えていったようです。
現在のようなハガキという年賀状で新年の挨拶をするようになったのは、明治20年頃からです。そしてこの頃に、年賀郵便の特別受付が始まりました。「年始回り」と、年始回りの手土産「お年賀」が合わさったものが「年賀状」ということです。
よしえママ
ちなみに海外でも、日本の年賀状に似た習慣を持つ国はありますよ。でも、それぞれの国の宗教観と文化があります。日本と同じ感覚で送ると、とんちんかんなことになりかねないので、海外に送るときには十分に注意して送るようにしましょうね。
年賀状に書かれている賀詞の意味
年賀状だけでなく、行事で使われるお祝いの言葉を、賀詞(がし)、または祝詞(しゅくし)と言います。
とはいえ、年賀状でしか見ない言葉もたくさんあります。年賀状の賀詞はどの言葉を使うのが最適なのか悩んでしまうことも多いでしょう。
言葉の意味を理解すると、自ずとどの言葉を使うべきなのかが見えてきます。
謹賀新年
意味:「謹んで新年のお祝いを申し上げます」という意味で、これは、目上の人に使う賀詞です。
賀詞は基本的に四文字で成り立っています。「謹(つつしんで。相手を尊ぶ意)」「恭(うやうやしく。礼儀正しく丁寧な意)」など、相手への敬意と丁寧さをあらわす語が入ることが大切です。
謹賀新年、恭賀新春など四文字の賀詞は目上の人への礼儀に適った挨拶となります。
よしえママ
文章で記すならば「謹んで初春のお慶びを申し上げます」といった表現になるわね。
賀正
意味:「正月を祝う」
正と言う字は正月を表し、賀という文字は、相手に対するお祝いの心を表しています。シンプルでいいのですが、「おめでたいね」と言っているだけなので、相手に対する敬意や礼儀にいささかかける表現でもあります。
目上の人には使わないほうが無難でしょう。
よしえママ
友達や家族、気さくな関係の人にはコレでも十分よ。おめでたさが伝わるのが大切よ。
迎春
意味:「新春を迎えました」
こちらも「賀正」とともにシンプルで、やはり相手に対する敬意は込められてはいませんので目上の人には使わないほうが良いでしょう。
春という漢字は新年を表します。昔は立春のころが元旦であったことや、日本の昔からの季節の指針である二十四節気の始まりが立春であるといったことから、春は新しい年の象徴でした。それゆえ、同じようなニュアンスとして「頌春」「寿春」などの祝詞もあります。
よしえママ
迎春や賀正のような短い賀詞を使うと、つい、新年あけましておめでとう、と続けたくなるわよね。
でも賀詞の中に「新年」や「おめでとう」という意味の語があるときは注意よ。
子供
意味がカブっちゃうから?
よしえママ
その通りよ! 年賀状を書くときは慎重に言葉を選ぶのが大事よ。
年賀状に書かれている縁起物の意味
年賀状には縁起物が描かれていることがよくあります。なんとなく可愛いからといった理由で選ぶ縁起物も、実はそれぞれ意味や由来があるのです。
代表的なものをご紹介しましょう。
富士山
おめでたいもののシンボル的な存在である「富士山」は、日本では山岳信仰として信仰の対象でもあります。
姿かたちが美しく、末広がりで縁起が良く、さらに富士山の富士は「不死」に通じ、不老長寿を表す、または「無事」と通じ、無病息災・家内安全を表し、これもまた縁起がいいとされています。
初夢(新年の最初に見る夢)でも「縁起のいいもの、一富士、二鷹、三茄子」といわれ、富士山がでてくると大変縁起がいいと言われています。
松竹梅
松竹梅は、「長寿・繁栄・風雅さ」を象徴している縁起物です。松はその常緑性と長寿が、竹は旺盛な生命力が「あやかりたいもの」として尊ばれています。そして梅の美しさが風雅さを添えているのです。
中国では昔、厳しい寒さの中でも美しい葉や花を見せてくれる植物を描いた図案「歳寒三友」というものがありました。そのなかで、松竹梅は特に好んで描かれているテーマとなっています。中国では梅は必ずと言っていい程描かれていたモチーフでした。そして松と竹は厳しい寒さの中でも青々とした逞しい姿が好まれ、定着したのではないかと言われています。
よしえママ
正月飾りの門松も「松竹梅」を表しているわね。
ちなみに、門松は「歳神様」が迷わないで家に入ってこられるように、目印として飾られているのよ。幸運を運んでくる年神様をお招きするための重要な縁起物だから、飾ることをおすすめするわ。今はコンパクトな門松もあって種類が豊富よ。
まとめ
もともとは「年始回り」から始まったとされる年賀状には、日ごろの感謝や相手の幸福祈願を記すツールです。
今は気軽にオリジナルのハガキもつくることがきますし、お店に行っても様々な種類の年賀状があるので好きなデザインを選ぶこともできます。
SNSやメールで新年の挨拶を済ます人も多いでしょうが、今年は年賀ハガキを出して近況を知らせてみるのはいかがでしょうか。
着物ちゃん
最後まで読んでいただきありがとうございました。
年賀状には、1年の感謝の気持ちや新年の挨拶、相手への近況報告の意味があります。
また、相手に対する気持ちをより伝えたいのであれば、手書きで一言添えて送るのもおすすめですよ。
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