偉大なスピリチュアルマスター「エックハルト・トール」とは?
エックハルト・トール(Eckhart Tolle)は、ドイツ生まれのスピリチュアル指導者で、近年はカナダに在住しています。精神世界に関する著作が世界的に知られており、代表作のニューアース(A NEW EARTH)は世界40カ国以上で出版されている大ベストセラーです。
2011年、イギリスのワトキンス・ブックスによる「現存する最も影響力を持つスピリチュアル・マスター100人」において1位を獲得し、翌年の2012年度はダライ・ラマ法王に続いて2位にその名を連ねました。
エックハルト・トールの来歴
エックハルト・トールは1948年、ドイツで生まれました。不仲だった両親は離婚し、学校でも孤立。決して幸せな子供時代ではありませんでした。
19歳でイギリスに移住しますが、常に抑鬱や不安に悩まされおり、人生の答えを求めて哲学・文学・心理学を学ぶことを決意します。22歳の頃ロンドン大学に入学し、卒業後の1977年、奨学金を得てケンブリッジ大学の大学院に入学しました。
同じ1977年、29歳のときに「内なる変革」と呼ばれる覚醒体験をし、精神世界の指導者への道を歩むきっかけとなります。
エックハルト・トールが経験した「内なる変革」
29歳のエックハルト・トールは自殺を考えるほどの酷い鬱状態に悩まされていました。ある晩、深夜に目覚た彼は、「絶望のどん底だ」だという思いに駆られます。すべてのことが無意味に感じ、「この世の全てを呪ってやりたい」と嘆きました。
「こんな苦しみの中で生きていたくない」と悲嘆にくれる中、トールは「自分」と「一緒に生きていきたくないもう1人の自分」の存在に気づきます。すると、頭の中のネガティブな言葉は消え、思考が「無」の状態になりました。そしてエネルギーの渦に吸い込まれていき、その後の記憶をなくします。
翌朝目覚めると、見るものすべてが新鮮で、赤ん坊になったかのような感覚を味わいました。このときのことをトールは以下のように語っています。
私は、もうそれ以上自分自身と生きることが出来なかった。そして、答えのない疑問が生じた。自分と生きることが出来ないこの「私」は、一体誰なんだ? 自分とは何だ? 私は虚空へと吸い込まれるように感じた。
その時は、一体何が起こったのか知らなかったが、満たされない過去と恐ろしい未来との間に生きている、思考が作り出した自我が、その重苦しさ、その抱える問題と共に、崩壊したのだ。
翌朝、目が覚めてみると、すべてが実に穏やかだった。この平安は、自我がそこに無かったために現れたのだ。ただ存在の感覚のみ、あるいは「在ること」、ただ観察し見守っているだけだ。
トールはこの体験からほぼ二年間にわたり、「なにものにも揺らぐことのない、深い平和と幸福に包まれた日々」を送りました。また、「その後、至福感はやわらいだような気がするが、至福感に慣れただけなのかも知れない」と話しています。
スピリチュアル界の指導者へ
エックハルト・トールは「内なる変革」の後、大学院を中退して精神世界の探求に没頭し、カウンセラーやスピリチュアルティーチャーととして活動しました。
1997年、49歳のとき、彼の思想を綴った著書「The Power Of Now」を出版します。初版は3000部とわずかな発行部数でしたが、徐々に売り上げを伸ばし、世界中に翻訳されるベストセラーとなりました。
2005年には名著と名高い「A NEW EARTH」を出版。有名司会者オプラ・ウィンフリーが番組で取り上げたことで、高い販売部数を記録しました。2008年、「A NEW EARTH」を題材にしたウェビナー(インターネット上の講習会)が開催され、世界中の多くの人が参加し、大好評を博します。
同じく2008年、ニューヨーク・タイムズ誌に「アメリカで最も人気のある精神世界分野の著者」と評され、精神世界の指導者として確固たる地位を確立しました。
エックハルト・トールの有名な著書
エックハルト・トールの有名な著書、「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる(The Power of Now)」と「ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる-(A NEW EARTH)」についてご紹介します。
さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる
エックハルト・トール最初の著書で、原題は「The Power of Now(”今”の力)」です。
「『今に在ること』によって、あらゆる苦しみは取り除かれ、真の幸福(=さとり)に至ることができる」という内容が書かれています。対話形式で構成されており、スピリチュアルの知識のない方にも読みやすい仕上がりです。
ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる-
原題は「A NEW EARTH」で、エックハルト・トールの代表的著作です。心の苦しみを生み出す「エゴ」について、エゴから解放される方法、過去の痛み、今在ることに意識を向けること等について書かれており、トールの思想についてまとまった理解を得ることができます。
エックハルト・トールの教えから学ぶ「悟り」
エックハルト・トールの考える「悟り」とはどのようなものなのでしょうか。彼の説く「思考・自我(エゴ)だけが自分自身ではない」、「真の愛は終わりがない」、「過去や未来より現在が大切」という3つの教えについてご紹介します。
思考・自我(エゴ)だけが自分自身ではない
エックハルト・トールによると、エゴとは「同一化を図ろうとする、無意識的な心の働き」であり、同一化の対象となるのは、思考・感情・肉体・社会的役割などです。
例えば自分が医者である場合、誰かが「医者は全く役に立たない」と医者の悪口を言うのを聞けば、いい気はしないでしょう。それは医者というものを自己の概念の中に取り込んでいるため、医者を攻撃されるだけで、自分が損なわれたような気になるからです。
エゴはあらゆるものを自分の延長に捉えて苦しみを生みますが、同一化を取り去った後には本来の自分が立ち現れ、同時に「より大きな存在」との繋がりや一体感のようなものを感じられるようになるとされています。
真の愛は終わりがない
エックハルト・トールは、「真の愛」について以下のように述べています。
「愛」は、特定の人に対する強い愛着を感じることだと思われていますが、感情である「愛」の関係性はあっという間に、その逆の感情「憎しみ」へと変化します。「真の愛」を得るには、他者の中に自分と変わらない同じ本質があることに気づき、他者と自分を深いところで繋げる何かに気づくことが必要です。そうして得た「真の愛」は束の間の感情にとどまらず、終わりなく続いていきます。
女神さま
ここで言う「本質」とは「プレゼンス(presence)」だとされています。プレゼンスは一般的には「存在」という意味です。
過去や未来より現在が大切
エックハルト・トールは過去や未来よりも、「今ここに在る現在」に意識を向けることが大切だと教えています。
未来は思考の中にのみ存在する概念的なものです。思考の中で思い描く未来は、今ここに在る目覚めの空間、意識の光の中に「今」として現れることしかできません。過去も同様に思考の中にのみ存在するもので、過去に意味を持たせ続ける限り、そこからの解放はないと説いています。
エックハルト・トールのメッセージ【動画】
最後に、youtubeで視聴できるエックハルト・トールの動画をご紹介します。彼の思想に触れてみたい方は是非ご覧ください。
女神さま
DVD・ニューアースシリーズの完結編「エンライトメント~人生の目的~」のプロモーションビデオです!
女神さま
こちらは2008年に行われたオペラ・ウィンスリーとのウェビナーの動画です!
エックハルト・トールの教えのまとめ
- エゴとは「同一化を図ろうとする、無意識的な心の働き」であり、あらゆるものを自分の延長に捉えて苦しみを生み出す
- つかの間の感情にとどまらない「真の愛」を得るには、他者の中に自分と変わらない本質があると気づくことが必要である
- 思考の中にのみ存在する過去や未来よりも、今ここにある現在に意識を向けることが大切である