マイルドヤンキーの定義について知ろう。地元と仲間が好きな現代ヤンキーの嗜好や特徴について解説

コンビニの前でたむろしている不良たち、日本のどこでも見かけることができるよくある風景ですが、彼らは30歳を過ぎるとどうなるのでしょうか？
都会には昭和の高度経済成長期ほどのチャンスもなく、失われた30年と言われる平成の時代に青春時代を過ごした不良たちは「静かなる首領」や「ミナミの帝王」「サラリーマン金太郎」のような突き抜けたアウトローにあまり憧れないようです。

平成という日本経済の停滞期に青春を過ごした現代のヤンキーたちは、良くも悪くも「ゆとり的」で、中途半端なマイルドヤンキ－として主に地元（地方）でハイエースなどのミニバンに乗り、ドン・キホーテで買い物をするような生活を送っているようです。

昭和の胆の座った不良とは違い、上昇志向に乏しく、なんとなくふわふわした印象を受けますが、マイルドヤンキーの乗る車のダッシュボードにふわふわしたアイテムが多いのは、関係があるのでしょうか？

マイルドヤンキーは、現代の一般的な若者によく見られるような、都会集中型や大手企業志向、また車離れや晩婚とは違った考え・ライフスタイルを持っているのが特徴です。

このマイルドヤンキーという言葉は、博報堂ブランドデザイン若者研究者のリーダーで、マーケティングアナリストの原田曜平さんが著者の「ヤンキー経済　消費の主役・新保守層の正体」で存在を提唱したのが始まりと言われています。

マイルドヤンキーとヤンキーは混同されがちですが、その言葉が意味するイメージは大きく違うようです。いずれも広義な言葉なので厳密な定義は難しいのですが、

・ヤンキーとは、「不良の少年少女」のことで、他人の関心を買うような目立つ行動をすることが特徴です。
昭和の時代では珍しかった金髪のカラーヘアーや、マントのような学生服をはじめとする奇抜なファッションは典型的なヤンキーファッションです。

・マイルドヤンキーとは、地元での生活を好み、都会の人々とは異なる消費スタイル（早めの結婚や出産、低所得・低消費）をもつ人々の総称です。つまり、不良の少年少女でなくても、マイルドヤンキー的な生活スタイルであれば、それはマイルドヤンキーなのです。

マイルドヤンキーの最大の特徴は、強い地元志向です。

経済が上向きの「イケイケドンドン」の時代であれば、若者は一旗揚げるために地元を飛び出し、都会に身を投じ、仕事に命を懸けようという気にもなりますが、プラザ合意や小泉改革によって長く続いたデフレなどが原因で、平成元年には世界の頂点に君臨していた日本企業は、令和元年には見る影もなく、かろうじてトヨタが30～40位に名前が出る程度です。

また、平成の30年日本のGDPや平均年収はほとんど変化しなかったこともあり、経済の停滞期に生きたマイルドヤンキーは、なんとなく今日と同じような日がどこまでも続いていくと思ってしまうのです。

そのため、都会に出てあくせくと働き消耗するよりも、自宅から半径5キロ以内で生息し、趣味や友達との交流を生きがいに生活することを選びがちです。

交友関係に関しても、年齢を重ねても学生時代の友達との交流が主であることが多く、自分の身近な人たちや環境をとにかく大好きなのが、もっともわかりやすいマイルドヤンキーの特徴といえるでしょう。

こういったことから、実家との同居率も高く、家族や両親と仲が良いうえに、早いうちに結婚した場合は子どもや妻とも仲がとても良く幸せな人が多い特徴もあります。
 

ここからはマイルドヤンキーの性格や行動、ファッションなど特徴についてご紹介します。

マイルドヤンキーの性格的な特徴についてですが、まず一番に言えるのが両親を大切にすることです。特に親に対して不満を抱くということもなく、両親を大切にする人が多いです。

また職業にこだわらず、様々な職に就いている人が多いですが、地方での勤務を好む傾向にあるため、職業の選択肢はそこまで多くないのも特徴です。

さらに地元では祖父母が身近に暮らしていることも多く、小さい頃から日常的に祖父母と接する機会が多くあります。そのため、自然と敬老精神が育まれており、当たり前のように年配の人に優しくできる性質を持っているのも特徴です。

マイルドヤンキーの行動に関する特徴ですが、地元愛が強いため、地元を汚されることをとても嫌っています。何をしたら悪いのかを理解しているため、警察にお世話になることもありません。

マイルドヤンキーは、お金の使い方が豪快というのも特徴のひとつです。1日に高額を消費することもあり、お金を豪快に使いたいときに備えて、収入を増やすことを考えて働いているヤンキーも多いのです。きつい仕事をする人も多く、若い頃からお金に関する知識を身に付けている人がいるのも特徴です。

マイルドヤンキーのファッションや音楽の特徴についてですが、男性の場合EXILEメンバーの方々に憧れていたり、女性の場合だと安室奈美恵さんに憧れている人が多い傾向にあります。どちらも見た目はファッションリーダー的な存在ですが、仲間のことを大切に考えているスタンスや、ストイックなライブパフォーマンスといったところに憧れる人が多いのです。

ファッションだと、表参道のような超おしゃれな雰囲気ではありませんが、マイルドヤンキーなりのこだわりがあるため、おしゃれに対して強いこだわりを持っている人が多いです。例えばEXILEメンバーの方々だと、少しダボっとした服装が多いため、そういった服装を着こなせるようになるとヤンキー感が増して見えますよね。

またマイルドヤンキーのあるあるで、ファミリーカーの定番でもあるハイエースに乗っている人も多い傾向にあります。ハイエースに乗ったマイルドヤンキーカップルもよく見かけます。

ここからはマイルドヤンキーの趣味嗜好についてご紹介します。

マイルドヤンキーの趣味嗜好1つ目は、お酒とタバコ好きなところです。慕っていた先輩がタバコを吸っていて、そのまま真似するという人も多いため、女性の喫煙者も多くあちこちでタバコを吸う女性をよく目にします。

また地域に根づいた近所の居酒屋に集まるのが好きでもあります。親しい友人とお酒を飲むことを楽しみにしている人も多くいるのです。

マイルドヤンキーの趣味嗜好2つ目は、車好きでこだわりが強いことです。あまり物欲がない性格で買い物自体もあまりしないのですが、車は別物です。都会だと車なしでも不自由なことはありませんが、地方だと車がないとかなり不便です。

そのため、車に対しては強いこだわりを持ち、たとえ高い金額であっても自分が納得いくものを選ぶ傾向にあります。結婚が早い人のなかには、若いころからファミリーカーを購入する人もいます。

マイルドヤンキーの趣味嗜好3つ目は、おしゃれ好きなところです。しかしこれは都会の今時の若者が好むようなおしゃれとは少し違って、独特のこだわりを持っています。昔のヤンキーのようなリーゼントや特効服といったファッションはしませんが、少しダボっとしたような服装を好む傾向であったり、色が派手目なものが多かったりと、どこかヤンキーのような印象のある服装を好みます。

マイルドヤンキーは、怖いイメージが持たれがちですが、地元愛が強く他人に迷惑をかける行為はしない優しい若者がほとんどです。また両親や年配の人たちに優しい性格でもあるため、一般的なヤンキーとは違うことが分かります。マイルドヤンキーは見た目は派手でも中身はとっても優しい若者なのです。