浮世(うきよ)の意味とは?
古語辞典で浮世(うきよ)を調べると以下の5つの意味があげられています。
1. つらい世の中、悲しい世の中
2. 悩み多い男女の仲
3. 無常の世。現世。俗世間。
4. 享楽的に過ごすこの世
5. 遊里(遊郭のような場所)。また遊里での遊び。
浮世には、大きく分けて苦の世界と俗世界、二つの意味があるのです。
別名
浮世の別名を意味ごとにまとめてみました。
意味 | 別名 |
1. つらい世の中、悲しい世の中 | 娑婆、穢土、此岸、苦境 |
2. 悩み多い男女の仲 | うき身、男女の仲らい、愛欲の境涯 |
3. 無常の世。現世。俗世間。 | 世情、下情、巷、四海、一世 |
4. 享楽的に過ごすこの世 | 汚俗、放蕩 |
5. 遊里。また遊里での遊び。 | 花街、色里、色町 |
浮世には様々な意味があるので別名も多種多様です。
対義語
浮き世の対義語は、欣求浄土(ごんぐじょうど)や極楽浄土など仏教が目指す悟りの世界または俗世間を捨て仏門に下る出世間(しゅっせけん)です。語源・由来を見てみましょう。
浮世(うきよ)の語源が由来
「うきよ」は、もともと「憂き世」と書かれていました。これが「浮世」に変わったのです。
「憂き世」とは辛い世界を示し、仏教的厭世観(えんせいかん:悪や不幸の方が多いと不満に思うこと)が反映され、辛い世、悩み多い男女の仲、俗世間の意味で平安時代から用いられました。
近世になると漢語の浮生(ふせい:はかない人生)の影響で享楽的生活や遊里の意味が加わったと古語辞典に注釈があります。
世の中は辛く、男女の仲ははかないです。享楽的生活、遊里遊びも煩悩の虜、辛い世界と古語辞典では説かれています。
仏教的厭世観の意味
仏教的厭世観とは、世の中は諸行無常、流転する世の中は苦悩に満ちているという世界観です。
苦しいという意味の形容詞「憂し」が、水上を漂うような流転する世と重なり、「浮く」という動詞にかけられ、由来語である「憂き世」から「浮き世」に変わっていきました。
漢語の浮生の意味
浮世の由来には仏教的厭世観以外に漢語の浮生(ふせい)があります。浮生とは定めがない生き方の事を指し、これが転じて定めのない人生を浮世と呼ぶようになりました。
定めがない人生とは色恋沙汰や貴賤(きせん:尊いことと卑しいこと)など俗世間にまみれたものです。
親鸞聖人が「阿弥陀如来の誓願は大海を渡る大きな船」と説いたように、俗世間から抜け出した人は大船に乗ったように安定しています。
浮世の意味、語源、由来について
- 浮世(うきよ)は大きく分けて「苦の世界」と「俗世界」という意味があります。
- 浮世の語源は「憂き世」です。
- 浮世の対義語は、欣求浄土(ごんぐじょうど)や極楽浄土です。
- 仏教では水上を漂い流転する世に動詞「浮く」がかけられて「浮き世」となったせつ、漢語の浮生(ふせい:はかない人生)の影響で享楽的生活や遊里の意味が加わり「浮き世」と変わった説があります。
浮き世(うきよ)の意味とは?