ベストエフォートの意味とは?
ベストエフォート(best effort)は直訳すると「最大限の努力」となり、最大の結果を得るためにベストを尽くすという意味になります。結果を「必ず達成する」と保証するというものではありません。
最大・最善の結果を出すことに可能な限りの努力はしますが、「絶対」という約束はできないという意味です。
IT分野でのベストエフォート
ベストエフォートはIT分野でも使われる用語です。インターネット回線業者が「最大通信速度○○」と提示していたら、それを上限とする上で、最大努力の通信速度を提供するという意味です。
例えば、ある回線業者が「最大2Gbps」と通信速度を表示していたとしても、実際に接続した場合に「2Gbps」が常時維持されるわけではありません。回線の混雑状況、使用機器の性能、ソフトの設定などによって通信速度は異なってきます。
ですので、わかりやすくいうと「快適な通信環境では2Gbpsでの速度で接続できますが、何らかの要因があれば速度が低下することもあり得ます」となるでしょう。
ベストエフォートの使い方や用例
ベストエフォートという言葉はどのような使い方ができるでしょうか?ベストエフォートの意味が「最大限の努力」であることは記事の最初の項目で述べましたが、さらに噛み砕くと以下のような意味合いになります。
- 保証はできないけれど、精一杯努力します
- 常に○○であることを目指していきます
- できる限りやります(できなかった場合はご了承ください)
これらの意味合いを理解した上で、以下のベストエフォートを用いた例文をご覧ください。
課長さん
通話時間・利用時間帯・利用人数などには制限を設けず、ベストエフォート型のサービスを提供します。
状況によってはサービス内容の質が変わることを示しています。
議員
ベストエフォート型の通信なので、利用環境によっては同時2回線の通信はできない場合があります。
利用環境によって起こり得るリスクをあらかじめ伝えています。
プロゲーマー君
引っ越ししたらネットの通信速度が遅くなったけれど、ベストエフォート型のサービスだから仕方ないか・・・
通信速度が期待通りにはいかなかったことは「サービスのルールだからあきらめるしかない」という使い方をしています。
ベストエフォートの反対語は?
多くの言葉に反対の意味を示す言葉があるように、ベストエフォートにも反対語が存在します。「最大限の努力」というベストエフォートの反対語はギャランティです。英語だと「guarantee」となり、「請け負うこと」「保証すること」「契約料」「ギャラ」という意味です。
ギャランティという反対語を知ることで、ベストエフォートの意味もさらに理解しやすくなるでしょう。
ベストエフォート型とギャランティ型の違い
ベストエフォート型とギャランティ型の違いについて解説します。IT分野でのベストエフォートについては先に述べましたので、まずはIT分野でのギャランティ型を説明しましょう。
ギャランティの意味は「保証」ですので、それをIT分野に当てはめれば、「一定の通信速度を提供するサービスを保証し、それを大きく下回る状態にはならないことを約束します」となります。
最高ラインを提示して速度低下は保証しないベストエフォート型に対して、一定水準の通信速度を必ず保証するのがギャランティ型です。
また、契約料金で比較してみると、ベストエフォート型よりもギャランティ型の方がほぼ高額になります。その理由は、「一定水準の速度を必ず維持するための専用の設備にコストをかけざるを得ないから」です。
- 保証がない代わりに料金を抑えられるのがベストエフォート型
- 保証がある代わりに料金が高めなのがギャランティ型
ベストエフォートは「努力」であって「保証」ではない
ベストエフォートはあくまで「最大限の努力」であって「保証」ではありません。
よく、通信回線業者のアピール文句で「最大○○の速度を実現!」などと聞いたりすると、とても魅力的に感じることはありませんか?しかしベストエフォート型のサービスであれば、実際に利用してみたときに、その最大速度はどうなるかはわかりません。
インターネット契約をする際などに性能や機能の表示を誤解して捉えないように、ベストエフォートの意味をしっかりと理解しておきましょう。