薫陶の読み方や意味は?
薫陶の読み方は「くんとう」で、「人徳などによって他人を感化し、良い方向へ導くこと」がその意味となります。
薫陶は、人に対して直接教育や指導を行うというよりも、ある人物の徳が人に影響を与え、その結果、影響を受けた人の成長が促されて良い変化をもたらすことを意味します。
薫陶の語源
薫陶の文字を見てみましょう。
- 薫・・・香を焚き香りづけすること
- 陶・・・という文字は土をこねて陶器を形作ること
この二文字の意味が語源となっています。そして「薫」と「陶」を合わせた「薫陶」は、香りをじっくりと染み込ませるように、徐々に優れた人格や人徳の影響をうけて、陶器が形作られるかのごとく人が良い方向へ変化していくことを表します。
薫陶の使い方・用例
薫陶は、「薫陶を受ける」というように受け身の表現で使われることが多い言葉です。
さらに相手を敬う表現とする場合は「薫陶を賜る」となります。また、薫陶を受けた人物が、良い変化を遂げた状況を第三者の目線で説明する場合は、「薫陶を授ける」もしくは「薫陶を与える」と表現します。能動的な表現ではあまり使用されません。
それぞれ例文をあげて解説します。
不敵くん
僕は萌え袖ちゃんに薫陶を授けた!
萌え袖ちゃん
ええっ!?自画自賛??
薫陶を受ける・薫陶を賜る
「薫陶を受ける」の使い方は以下のとおりです。
- 教授の薫陶を受けたおかげ今日の私があります。
- 師匠より薫陶を受けたことにより日本画を見る目が養われた。
このように、特定の人物から良い影響を与えられて自分自身が成長できたことを表します。
チャーリー
お祖母ちゃんから薫陶を受けたおかげで日本での今の僕があるんだよ。
相手を敬う、より丁寧な表現とする場合は「薫陶を賜る」となります。
- 支援者の方々のご薫陶とお力添えを賜りましたおかげで、無事任期を全うすることができました。
- 支店長在任期間中に社長より賜りました薫陶に、心より感謝申し上げます。
ビジネスシーンや挨拶文において、また、かしこまった席で支援者や上司などに感謝の意を表す際に使われます。
議員
協力してくれたこと、良い方向に導いてくれたことに感謝していますよ、という意味になるんじゃ。
薫陶を授ける・薫陶を与える
次のように第三者の目線で説明する場合は、「薫陶を授ける」もしくは「薫陶を与える」と表現します。
- 社長が薫陶を授けた多くの社員たちが海外で活躍している。
- 教授は研究室の学生たちに薫陶を与えた。
このように、優れた人格や人徳に影響を受けたある人物が良い変化を遂げた状況を、第三者の目線で説明する場合に使用します。
情熱系社員
社長が薫陶を授けた多くの部下が海外で活躍中よ!
私もその一人!
薫陶の類語と対義語
薫陶の代表的な類語と対義語は下記のようなものがあります。
類語 | 対義語 |
尊敬 感化 啓発 |
修学 修学 無感動 |
それぞれの読み方と意味を解説していきます。
薫陶の類語
薫陶の代表的な類語の読み方と意味は以下になります。
- 尊敬・・・「そんけい」と読みます。その人の人格や行為を素晴らしいものだと認め、敬うという意味です。
- 感化・・・「かんか」と読みます。人や物事に影響されて、考え方や生き方などが変わっていくことを意味します。
- 啓発・・・「けいはつ」と読みます。人に教えを説き、より深い理解や高度な認識を持った状態に導くことです。
フロイト先生
相手を素晴らしい人だという思いが「尊敬」、影響を受けてよい方向へ変わっていくことが「薫陶」じゃ。
また、背中を見せて良い方向へ導いていくのが「薫陶」ならば、「啓発」は理解していないことを直に教える、学ぶという意味が含まれているのだ。
番長
「感化」は、必ずしも良い意味で使われるとは限らないぜ。先輩に「感化」されて俺も喧嘩っ早くなっちまった。
薫陶の対義語
薫陶の代表的な対義語の読み方と意味は以下になります。
- 修学・・・「しゅうがく」と読みます。学習して知識を得ることです。
- 習得・・・「しゅうとく」と読みます。学問や技術など習ったことを身につけるという意味です。
- 無感動・・・「むかんどう」と読みます。心を動かされないこと、感動しないことを表します。
フロイト先生
「修学」「習得」は自ら学びとるというニュアンスがあって、影響を受けた結果、変化していく「薫陶」とはこの点で反対の意味となるのだ。
DATSUさん
良い影響を受けて変化していくのが「薫陶」ならば、「無感動」は心を動かされないことなのでこの点で逆の意味になるわね。
薫陶の意味のまとめ
薫陶は、「人徳などによって他人を感化し、良い方向へ導くこと」という意味です。日常的な話し言葉では使われることは少ないですが、ビジネスシーンやかしこまった席ではたびたび登場する言葉ですので、正しい意味を覚えておくと便利です。偉大な人物の薫陶とはどんなものか体験してみたいと思ったら、こんな本を読んでみるのもよいかも知れません。