リスクヘッジの意味とは?
リスクヘッジは「リスク=危険」「ヘッジ=回避」なので、直訳すると「リスクを回避する」となります。つまり、リスクヘッジの意味は行動を起こす前に予測できる危険を考えて最小限の被害になるよう事前に対策を講じることで、できるだけの安全対策をとる行為です。リスクヘッジは金融関係やビジネスなどでよく登場する言葉ですが、時にはヘッジと呼ばれることもあります。
リスクヘッジの由来
リスクヘッジは、もともと株式や外国為替商品など資産運用分野から生まれた言葉と言われています。投資は大きい収益が望める金融商品ですが、反対に多大な損失を生むなど大きなリスクも伴う世界です。そこで「卵は同じカゴに入れるな」という格言が生まれ、分散投資というリスクを抑える手法が生まれました。
ノーベル経済学賞を受賞しているH・M・マルコビッツは、リスクとリターンの相反する数値を統計的に捉え、投資先を分散することでリスクヘッジができることを数字的に証明しています。
金融業界で使われるリスクヘッジの使い方と用例
近代の資産運用理論は、金利変動や為替変動、信用、国際政治や経済による変動などそれぞれのリスクに対し、それとは反対方向に収益率が変動すると考えられる投資先を組み合わせるリスクヘッジが主流を占めています。具体的にご説明しましょう。
分散投資によるリスクヘッジ
その時点で上がり調子の企業であっても何が原因でいつ下落するのかわからないのが投資の世界です。一つの企業に全額投資をするのはリスクが大きいため、医療関係・食品関係・電力関係など業界の異なる企業数箇所に投資を分散することで、投資リスクを回避します。
先物取引を利用したリスクヘッジ
結果は、下落しているB時点において株価が下がる前のA時点の保有金額と同等となります。つまり、10%下落しているにも関わらず保有株の-10%と先物取引の+10%が相殺されるので、B時点で下落分のリスクが回避されたことになります。
日常で使われるリスクヘッジの使い方と用例
このようにリスクヘッジは金融業界から派生した言葉ですが、今や安全対策としてさまざまなビジネス方面で使われるようになりました。また、日常生活においてもリスクを回避する考え方は浸透しています。どのようなものがあるか具体的にご紹介しましょう。
食品業界のリスクヘッジ
農業や畜産、漁業など食品業界は産地の分散でリスクヘッジを行っています。自然の異常気象や災害は予測がつかず、通年を通して安定した供給を行うためには分散された産地との取引は重要です。今日スーパーなどでは当たり前のように生鮮食料品などが並んでいますが、このことは食品業界のリスクヘッジの努力の賜物と言えるでしょう。
不測の事態に備えた各種保険
会社や個人においてリスク回避の筆頭に上げられるのが各種保険でしょう。各種保険は不測の損害や出費を補填するための対策で、リスクヘッジの一種と言えます。具体的な例として、宝石店ではほとんどの会社が盗難保険をかけています。また、運送会社であれば事故や貨物船の沈没による商品の損害を補てんするため運送保険に入っているでしょう。個人においても同様で、生命保険や自動車保険、火災保険などがリスクヘッジに当たります。
その他のリスクヘッジ
どのような種類でも危機対策は概ねリスクヘッジと捉えることができます。
近年地震災害が日本列島を脅かしていることから、年々地域や個人の災害対策意識が向上しているようです。自治体の避難場所が書かれている災害マップや個人の非常用持ち出しバッグの準備などは、命を守る大事なリスクヘッジの一つと言えるでしょう。
転職活動においても高いリスクが伴います。そのため、リスクを回避する対策を講じて行動を起こさなければなりません。転職活動のリスクヘッジは、在職中の転職活動や在職よりも給与が高いところにエントリーする、在職よりも年収が低くなる場合は給与交渉をするなどがあります。
万が一に備える言葉「リスクヘッジ」の意味を理解しよう
投資など資産運用や企業ではリスクヘッジの考え方は浸透していますが、個人では目の前の現実に気をとられ万が一に備えるリスク対策は苦手な人が多いようです。
私たちは仕事や日常生活の中で自己責任の下、常に取捨選択を行っています。その時々で最悪の事態を想定しリスクを回避する対策をとることは、自分の人生を楽しくより安全に生きるための大事な行為です。リスクヘッジの意味を理解し自ら安心した生活を手に入れましょう。