御中の読み方・意味とその由来
「御中」とは、会社や団体などへ郵便物を送る際に宛名の下や横に「様」などの敬称の代わりに付ける言葉(脇付け)です。
ここでは、「御中」の読み方や意味、由来について解説していきます。
「御中」の読み方
「御中」は「おんちゅう」と読みます。
「御」には「おん・お・ご」などの読み方があり、他の言葉に付けられて使われる事がほとんどで、敬意を表わしたり丁寧な言い方をしたい時に用いられます。また、名前など親しみを込めた呼び方をする時にも「御」が付けられます。
例えば
・話→御話(おはなし)
・米→御米(おこめ)
・フネ(名前)→御フネちゃん(おフネちゃん)
などとなります。
「御中」の意味
「御中」は、「中の人へ」という意味があります。具体的には、「御中」は団体・会社あるいは部署などに対して使うものですから、個人ではなくその団体・部署の中の人たち宛てであることを指します。「中」という文字に、敬意を表わしたり丁寧な言い方をしたりする時に用いられる「御」を付け、相手に対して敬意を示しているのです。
「御中」の由来
次に、「御中」の由来について見ていきます。
「御中」という言葉は、江戸時代の頃には使われていました。ただ「御中」の二文字ではなく「参人人御中(まいるひとびとおんちゅう)」や「人人御中(ひとびとおんちゅう)」、「侍者御中(じしゃおんちゅう)」などで、これらの前半が省略された形が現在まで残っていると考えられます。
江戸時代といえば、士農工商のような身分制度がある時代です。そのため、身分が高い人と直接話をすることが出来たのは、側近のような立場の人や家族など限られた人のみでした。荷物を届ける際にも、家の奥にいるご主人・旦那様へ「直接でなくても構いません」と謙遜する姿勢を示す意味で「〇〇屋御中」などと書いていたそうです。
手紙も同様で「直接、名指しするのは失礼にあたるので、身分の低い人から順に取り次いでもらって、最終的に高貴な人に手紙が届けば結構です」という謙遜の気持ちから、「参人々御中」や「人々御中」という脇付けが添えられていたのです。
現在も大病院への紹介状を出す時などに使われている「御侍史(おんじし)」という脇付けも、秘書などの侍史宛てとすることで、宛名人(医師)に直接送付するのを避け、謙譲の意を表しています。
御中の正しい使い方について
ここでは、「御中」の正しい使い方を解説、誤用例を通して手紙を書く際に役立つマナーもご紹介します。