時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは、会話の始めや手紙の書き出しに使われる、その時の季節や天候に合った挨拶のことです。手紙・ビジネスレターは必ずと言っていいほど時候の挨拶から始まります。
季節を表わす言葉や季語を使う
日常の会話では「梅雨に入りましたね。」など、天気や季節を話のきっかけにする事がよくあります。手紙も本題に入る前置きとして、時候の挨拶を添えるのが一般的です。
時候の挨拶には季節感のある言葉が欠かせません。俳句の季語には日本人の季節感を表す洗練された表現があるので、時候の挨拶にもよく使われます。
俳句で使われる6月の季語
俳句では必ず1つ、その季節に合った季語を使います。俳句で使われる6月の季語は300以上ありますがを、時候の挨拶に使える代表的なものには次のような言葉があります。
6月と言えばおなじみなのが「梅雨」ですが、「梅雨」以外にも「入梅」「梅雨寒」「梅雨空」など何種類か、梅雨に関する季語があります。
また、6月は雨が多いだけではなく、日照時間が最も長くなる月でもあり、梅雨の合間の晴れ間は爽やかな青空が広がりますね。「夏至」「初夏」や「五月晴」「若葉」も6月の季語としてよく俳句に登場します。
その他、6月の時期ならではの行事に関する季語では「田植」、6月を代表する花である「紫陽花」「クチナシ」、6月の半ばくらいから飛び始める「蛍」山の雪が溶けて水嵩が増す現象から「井水増す」などの季語があります。
6月の季語の中でも、とくに時候の季語とされているものに次のような言葉があります
- 仲夏
- 皐月
- 芒種
- 田植時
- 入梅
- 梅雨寒
- 夏至
- 白夜
- 半夏生
季語と枕詞の違いは?
短歌や長歌を集めた日本最初の歌集である万葉集には「枕詞」というものがたくさん使われています。枕詞は季節には関係なく、時候の挨拶に使われることもありません。
「青丹よし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」
誰もが知っているこの短歌の「青丹よし(あおによし)」が枕詞で、奈良という言葉を引出す役目をしています。
有名な枕詞には次のようなものがあります。「たらちねの」→母にかかる、「くさまくら」→旅にかかる、「あしひきの」→山にかかる。
6月の手紙で書き出しに使える季語や文例
では、手紙の書き出しにはどのような季語や文例が適しているでしょうか。親しい人向けの文例からビジネス向けの文例まで、6月の季語を使った書き出しの例を挙げてみます。
6月の上旬・中旬・下旬ごとでの最適な書き出しと、全般で使える書き出しについても紹介していきます。
6月の季語を使った書き出し文例
・「梅雨」「初夏」「紫陽花」「クチナシ」
・うっとうしい梅雨の季節となりましたが
・すがすがしい初夏の季節となりました
・雨に映える紫陽花の花も美しく
・クチナシの香りが漂う季節となりました
・「蛍」「衣替え」「若葉」「梅雨寒」
・そろそろ蛍が飛び交うころ
・若葉の息吹も一段と悩ましい折から
・衣替えの季節になりました
・梅雨寒の毎日ですが、皆様お健やかにお過ごしでいらっしゃいますか。