「人日」の意味と読み方とは?
「人日」は作業量を表す単位のひとつで、「にんにち」と読みます。1人が1日かけてこなせる作業量を「1人日(いちにんにち)」といいます。
この人日を使って作業の大きさを表現することができます。たとえば、1人で2日間かかる作業量は2人日、半日で終わる作業量は0.5人日(半人日)です。もし、 1人で10日かかる作業の場合であれば、1人×10日間=10人日となります。
また、複数人が数日かけて行う作業量を1人で仕上げたとするのが1人日の単位となり、人数×期間で求められる延べ日数と同じです。つまり、1人日は作業に従事する作業者の延べ日数を表します。
萌え袖ちゃん
辞書の「人日」の項目には「じんじつ」という読み方が載っています。
こちらの人日は五節句のひとつで、古代中国が1月7日を「人の日」として人に関する占いを行ったことに由来します。日本では「人日(じんじつ)の節句」で定着し、七草がゆを食べて無病息災を願う日となりました。
「〇人(にん)で△日(にち)かかる」を意味する人日(にんにち)との読み間違えに注意しましょう。
工数などの見積りで使われる「人日計算」
「人日計算」は、作業に要する人数・時間を元にして作業量を算出する方法のことです。
全体の作業量を数値化できるため、土木・建築業界ではプロジェクトの作業量を見積もる際などに人日計算を用います。ほかに、ソフトウエア業界、イベント運営やコンサルティング業界でも、人日で作成した見積もりをクライアントに提示します。
人日計算で作業量(工数・こうすう)を見積もるには、人日に作業単価を掛けて算出します。1人で7日間に行う工数は7人日、単価が1日1万円の場合、費用は7人日×単価1万円=7万円となります。
見積もりを出すときには1日の作業時間(一般的には8時間)、作業単価などの内訳を明らかにする必要があります。作業者の能力は数値化しにくいため、標準的なスキルが想定されます。
「人日計算」の例
- イベントを企画運営するA社:レストランを会場にしたイベントに備えて担当者10人が20日間で準備作業を実施します。この作業量は10人×20日間=200人日です。
- 繁忙期にバイトを募集したB工場:必要な人数は3人で期間は9月下旬から14日間。3人×14日間=42人日を見込んでいましたが、実際の応募者が6人もいたため、実働期間は42人日÷6人=7日間になりました。
- システム開発を受注したC社:上級者SE(1日当たりの人件費10万円)1人と新人エンジニア(1日当たり3万円)3人が10日間従事するため、見積もり金額は10×10+3×3×10=190万円となります。
人日と人月の違いとは?
人月(man-month)は1人が1カ月をかけてこなせる作業量を表す単位で、「にんげつ」と読みます。
人日(man-day)は1日単位の作業量ですから、人日と人月の違いは作業量の大きさです。作業全体の規模によって人日と人月とを使い分けます。
1人日や1人月を規定する長さは会社によって異なるケースがありますが、1日の作業時間を8時間とするように、1カ月の作業日数の数え方を20日間とするのが一般的です。その場合、1人月は20人日と数えられます。人日を人月に変換する場合は、20で割るという数え方になります。たとえば、12人日は0.6人月です。
日単位の人日、月単位の人月以外にも、時間単位の人時(にんじman-hour)、年単位の人年(にんねんman-year)という表現があります。
女神さま
ソフトウェア開発における人月の概念を扱った名著を紹介します。
「人日」の意味や読み方のまとめ
- 人日は作業量を表す単位。
- 作業量や作業費用の見積もりに使用する人日計算。
- 1人で1日に行える作業量が人日(にんにち)、1カ月に行える作業量は人月(にんげつ)。