ブレサリアン(気食主義)とは
ブレサリアンは英語で「breatharian」です。直訳すると「呼吸する人」となるため、ブレサリアンは呼吸だけで生きることができる人という意味になります。そのため、「気食主義」とも呼ばれています。
それでは、ブレサリアンの定義やメカニズムなどに詳しく見ていきましょう。
ブレサリアンの定義
ブレサリアンの定義は、「一切の飲食をせず呼吸からエネルギーを得て生きている人」です。期間が設けられていない断食のようなものだとイメージしていただければわかりやすいのではないでしょうか。
断食が期間限定で水分を摂ることが出来るのに対し、ブレサリアンは無期限で飲食を全くしません。これは食べられないのでなく「食べたいという欲を感じない」だけであって、食べることも可能です。
したがって、食事会のような食事をしなくてはいけない場においては、ブレサリアンだからと頑なに拒むことはなく、皆と一緒に楽しんで食事をすることもあります。
長い期間水分も食事も摂らなければ、栄養分が不足したり餓鬼状態になったりと命が危険な状態になるのが一般的です。ではなぜ、ブレサリアンの人は呼吸だけで生きることができるのでしょうか。
食事を必要としないブレサリアンのメカニズムとは?
では、どのようなメカニズムでブレサリアンの人々が栄養が不足したり体調を崩したりすることなく、健康で穏やかに生きることが出来ているのか解説していきます。
メカニズム①:消費カロリーが少ないので固形物を摂り入れてエネルギーを作らなくても良い
固形物を体に摂り入れなくなると、摂取できるエネルギー量が少なくなります。すると、体内では少ない摂取エネルギーでも健康維持ができるように消費カロリーを減らそうとします。
体の中で消費カロリーを減らす状態に切り替わった省エネモードが、ブレサリアンの状態だと考えられています。消費エネルギーが少ないということは摂取カロリーも少なくて済み、固形物からエネルギーを摂取しなくても健康維持や生命存続が可能になるのとされているのです。
メカニズム②:太陽光を体内に取り入れている
太陽光を体内に取り込むことで、徐々に気持ちが満たされ様々な欲求がなくなってきます。ブレサリアンは、気持ちが満たされた状態になることで空腹を感じなくなり、食べなくても平気でいられるようになると言われているのです。
メカニズム③:プラーナを体内に取り入れている
プラーナとは大気中にあるもので、生きていくために必要な力やエネルギーのことです。イメージしやすい身近なものでいうと、気や量子のようなものということになります。
このプラーナを体に取り込むためには、空気中に存在している粒子を目で見たり感じたりしながら呼吸をすることが大切です。プラーナを体内に取り込むことで、ブレサリアンが生きていくために必要なエネルギーを補うことができるとされています。
メカニズム④:オートファジー
ブレサリアンの人の体では、自食作用と呼ばれているオートファジーというメカニズムが一般的な人よりも活発に働いているとされています。
オートファジーは、人の細胞の中に残っている蛋白質をアミノ酸を始めとする生きていくために必要な栄養分に変化させる作用のことです。この作用は、生まれたばかりの赤ちゃんにも備わっている機能だと言われています。
通常は、固形物から栄養をとりながら不足分をオートファジーによって補っています。ブレサリアンの場合は、固形物を摂取しないのでオートファジーが最大限に力を発揮しているのだと考えられています。
メカニズム⑤:腸内細菌
腸内にいる細菌が上質で理想的な数に達していると、固形物を摂り入れなくても生きていくことができると考えられています。ブレサリアンは腸内環境が良く、クロストリジウムやユーバクテリウムといった細胞が一般の人より多くいることが分かっています。
これらの細菌は、通常なら尿に変換して体外に排出されるアンモニアを再利用し、体に必要な栄養分に作り直しているそうです。このように、腸内細菌が体内の不要とされる物質を必要な栄養分に変換しているので、外から余分に栄養素を摂り入れなくても生きていくことができるとされているのです。
ブレサリアンの生活や寿命は一般人と違うの?
ブレサリアンは食事をしないので、食事から得た栄養を吸収しエネルギーに変えて消費する作業がありません。そのため疲れがたまりにくく、少ない休息時間でも元気一杯に活動でき、睡眠時間も少なくて済むのです。
また、太陽光を体内に取り入れることで、怒りや不安といった負の感情を感じることが少なくなります。精神面や体調面においても良好かつ病気にかからなくなったという人がほとんどです。
ブレサリアンの中には、70年以上気食主義を続けているという人もいます。したがって、ブレサリアンの人も食事をして生きている人も、寿命は変わらないと言えるのではないでしょうか。
ブレサリアンと類似したリキッダリアンも存在
ブレサリアンの定義が固形物や水分を一切摂取しないということに対し、リキッダリアンの定義は水分のような液体は摂取するというもの。ブレサリアンとリキッダリアンの違いは、液体を摂取するかしないかということになります。
日本で有名なリキッダリアンは森美智代さんです。森さんがリキッダリアンになって20年以上経過します。リキッダリアンになったきっかけは、難病を断食療法で克服したことです。その後、自分に合う食事内容と量を模索していき、現在の1日1杯の青汁摂取という形になりました。
ブレサリアンは誰でも成れる?ブレサリアンになる方法
ブレサリアンになるためには、必ず専門家の指導が必要になります。なぜなら、やり方を間違えると死に繋がることがあるからです。現実にブレサリアンの人がいるのも事実ですが、素人判断なやり方で簡単になれるものではないと認識しておいた方がいいでしょう。
ブレサリアンになる方法として一般的なのは、医師と相談しながらブレサリアンになる方法。他には、ワークショップに参加して指導を受けながらブレサリアンになる方法となります。
やり方としては、1日の食事の回数を3回から2回、2回から1回に減らしていきながら、肉や乳製品などの食材を控えるベジタリアンや果物だけの摂取にするフルータリアンに移行していきます。その後、食事を摂らないリキッダリアンというように、徐々にブレサリアンに近づけていく方法となります。
ブレサリアンは本当にいるの?
それでは、実在するブレサリアンの方達を紹介していきます。
世界の有名なブレサリアン
世界には、ブレサリアンとして生きている人が少なからずいます。そこで、世界的に有名なインド在住プララド・ジャニさんとヒラ・ラタン・マネクさんを紹介します。
プララド・ジャニ
最も長い期間ブレサリアンとして生活していることで知られているのが、プララド・ジャニさんです。プララド・ジャニさんは、70年以上もの間、不食生活を続けてきているとのこと。インドの研究施設がプララド・ジャニさんのことを15日間の間、24時間体制で観察しました。ですが、その間少しも飲食せず排泄もなかったそうです。
ヒラ・ラタン・マネク
インド在住のヒラ・ラタン・マネクさんは、インド医療協会やNASAの医師や科学者の前で、何百日もの不食生活を行い成功させています。毎朝、1時間ほどの太陽凝視が主食だそうです。口にするものといえば、コーヒーやお茶の水分をごくたまにとる程度で、他には何も摂取しないという生活を送っているそうです。
日本人の有名なブレサリアン
続いて、日本で有名なブレサリアンの秋山佳胤さんと榎木孝明さんです。
秋山佳胤
秋山佳胤さんは、本職の弁護士をしながら、不食生活をしている方です。秋山さんがブレサリアンになったきっかけは、同じブレサリアンのジャスムヒーンさんのワークショップに参加したことによるものです。ブレサリアンになってからは風邪にもかからないようになったそうで、真冬でも薄着でエネルギッシュに活躍されています。
榎木孝明
榎木孝明さんは、俳優として活躍されているのでご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。榎木孝明さんは完全なブレサリアンではないものの、医師の管理の下で1ヶ月ほど断食をした経験を持っています。この断食を行っている間、空腹感など全くなかったと話しているそうです。
ブレサリアンのまとめ
- ブレサリアンとは、一切の飲食をせず呼吸からエネルギーを得て生きている人のこと
- ブレサリアンのメカニズムとしては、太陽光やプラーナをエネルギー源としており、腸内細菌の種類や数が一般の人とは違うことなどが上げられる
- ブレサリアンになるためには、必ず医師や専門家の指導の下で行う必要がある
- ブレサリアンの人は世界中におり、プララド・ジャニさんやヒラ・ラタン・マネクさん、秋山佳胤さんなどが有名である