言質の正しい読み方
「言質」は「げんち」と読みます。慣用読みとしてよく見かける「ことじち」「げんしつ」「げんしち」は、正しくありません。
「正しくない」と表現したのは、間違っているとは言い切れないためです。「慣用読み」とは、誤った読み方が広まって認知されたものを指します。「ことじち」と読んでいる人を見かけても目くじらを立てて指摘する必要はありません。
言質の意味とは?
言質(げんち)は「後の証拠となる言葉」という意味です。政治家の発言や、仕事で交渉をする場など、相手と約束事を取り交わす際に使われます。
主にビジネスシーンで使われる言葉ですが、現在では、ネットや若者の間でも使われるようになってきました。
番長
なんと! 堅苦しいイメージの言葉なのに、一体どんなシチュエーションで使われるんだ?
フィアちゃん
例えば「買ってあげる」とかいわれたときのメールやLINEのスクショ、撮る…。SNSにそのスクショ貼って「言質取れた」って、書き込む……って感じかな。
言質の語源
「言」は「言う」「言葉」を指します。「質」は「約束を履行する担保として預けておくもの」を指します。「質屋」や「人質」と関連付けると覚えやすいでしょう。この2つが合わさり「約束を果たす保障として、言葉を預けるということ」です。
チャーリー
「言葉質(ことばじち)」って言葉を聞いたことがあるけど、これは何?
闇の存在「XXX」
意味は同じだよ。語源も同じ。「言葉を人質に取る」と考えるとわかりやすいね。
言質の使い方・用例
「言質」という慣用句の使い方と用例を見る前に、注意事項をお伝えします。
「言質を取る」と目上の相手に言う場合に「取る」を敬語表現の「いただく」に変換するのはやめましょう。なぜなら、慣用句を敬語表現に変換することは間違いとされているためです。
スケ番
アニメにもなった某小説のメイド服の人気キャラが「言質、頂きました」って言ってたのはいいのかよ?
厨二くん
チェックが甘いね…。原作ではそう言っていたけど、アニメでは「言質、取りました」に変更されているのを知らないなんて…。
証拠を相手から引き出す場合の用例
「言質」を「証拠となる言葉を相手に言わせる」という意味で使うときの用例です。
- 言質を取る
- 言質を得る
- 言質を引き出す
- 言質を取り付ける
不敵くん
今日会う取引先はあまり信用ができないところだ。後で「そんな約束はしていない」と言われることがないように、言質を引き出してこいよ。
若手社員
かしこまりました! 自分、張り切って言質を取ってきます!
証拠を相手に与える場合の用例
「言質」を「証拠を相手に与える」の意味で使う場合の用例です。
- 言質を与える
- 言質を取られる
- 言質を残す
若手社員
相手の言質を取るつもりで商談に挑んだんですが…僕、取引先に言質、取られちゃいましたー!
課長
何をやってるんだ!! 厄介な相手と交渉する時は、言質を残すような発言をするなといつも言っているだろうが!
言質の類語
交渉をする際に「言質を取りました」と相手に言ってしまうと、必要以上にプレッシャーを与えてしまう可能性があります。使用する際には、使う相手に対する配慮をしなければなりません。
言いづらい相手の場合は、類語に言い換えてスマートに伝えるようにしましょう。
- 証言…事実を証明すること、または、その言葉
- 確約…はっきりと約束すること
言質の意味のまとめ
「言質」は主にビジネスや商談などの際に使われる言葉です。相手と意見が食い違ったり、約束が「言った言わない」になってしまったりした時に、あらかじめ言質を取っていると逃げられずにすみます。
メールでやりとりは記録を残しておく、相手の発言は詳細をしっかりと聞き出し復唱するなどして、上手に「言質」を引き出しておくことが肝心でしょう。
- 「言質」は「げんち」と読み、「後の証拠となる言葉」の意味
- 言質を取る・取られると使うが「言質をいただく」というのは間違い
- 相手にプレッシャーを与える表現になる可能性があるため使うときには注意する