「姫始め」とは?
姫始めとは、頒歴の正月に記された歴注の一のことで、読み方は「ひめはじめ」と読みます。
この姫始めの意味や英語表現、そして言葉の由来と言われている事物について下記で解説します。
官能小説によく見る用語としても有名。
<姫納め>
その年の最後の性行為をすること。
その性行為のこと。
<姫始め>
その年の最初の性行為をすること。
その性行為のこと。
「姫始め」の意味
姫始めは、一般的には1年の最初に夫婦などが性行為するという意味です。
1年の最初に何かをするときに「初○○」と表現しますよね。
例えば、初めて電話をしたら「初電話した」と言ったり、初めて料理をしたら「初料理」と言ったりします。
このような表現のように、1年の最初に初めて男女が性行為することを姫始めと表すのです。
始めという言葉が使われていますが、正月にやわらかく炊いたご飯を食べ始める日や、正月に初めて馬に乗る日といった1月2日の行事のことをさす場合もあります。
しかし民間でつくられた仮名歴が初出のため、由来やその内容などは諸説ありはっきりとはしていません。
元の表記は「ひめはじめ」とひらがなであり、漢字表記がよく分かっていませんが、「ひめ」と称される何かを始めるのでは、ということで様々な解釈がされています。
女性の中には男目線な感じがして嫌いだという人もおり、「殿始め」と称して性行為している人もいます。
「姫始め」の英語表現
姫始めの英語は、「eating the first meal of soft rice after the traditional hard rice of New Year」「the first sexual intercourse of the year」です。
日本語ではたった3文字の言葉ではありますが、英語表現にするとこんなに長くなるということに驚きです。
とはいえ、日本語の言葉とほぼ同じ意味を持ちますので、知っておくといざというときに便利かもしれませんね。
諸説ある「姫始め」の由来
姫始めの由来は諸説あるため、本来何をする行事であったのかは分かっていません。
これに対して「殿始め」と女性側からみた初めての男性との契りを行う言葉もあります。
現在では「ひめはじめ」と言うと即座に性行為での姫始めを連想する人がほとんどですが、江戸時代にはそれ以外にも既に諸説あったようです。
そんな姫始めの由来と言われる事柄について、それぞれ解説します。
姫飯(ひめいい)始め
「姫飯始め」は様々な説の中でも一番近いのではないかと言われており、1年の最初に姫飯を食べる日という意味です。この強飯というのは蒸した硬いおこわのことで、姫飯というのはやわらかく炊いた飯、つまり今で言う普通のご飯のことです。
昔は祭りのときに強飯を食べ、この祭りの期間が終わると日常の食事で食べるのが姫飯でした。この普通のご飯(姫飯)の始まりが転じて姫始めになったのでは、という説があります。
現代に置き換えると、正月の元旦は餅や赤飯を食べて、2日は普通のご飯に戻すと言うとイメージしやすいのではないでしょうか。
火水始め
「火水(ひめ)始め」とは、文字通り1年の最初に火や水を使う日のことです。元日は煮炊きもできませんから、これが始まると新たな日常生活が動きだすような、生き生きとした印象の姫初めであると言えます。
飛馬始め
「飛馬(ひめ)始め」は、1年の最初に乗馬する日という意味です。現在の日本では日常的に馬に乗る人はほとんどいないでしょう。しかし競馬の騎手の人からすると、この飛馬始めを使う人も中にはいます。
姫糊始め
「姫糊始め」とは、1年の最初に女性が洗濯や洗い張り(着物を解いて水洗いすること)をすることです。洗濯をした後に糊付けをする家庭もあると思いますが、昔は1年の最初に女性が洗濯することを、姫糊始めとされていました。次第にその言葉が姫に乗り始めるという風に変わっていったのではとも言われています。
女伎始め
「女伎始め」を言い換えると、裁縫始めです。この女伎とは女性の技巧、すなわち裁縫を表す言葉であり、1年の最初に衣類の縫いをすることを表すのが、この言葉なのです。ひめという響きの影響もあって、家事関連の事柄が多く提唱されているという印象があります。
秘め始め
「秘め始め」は1年の最初に性行為する意味を持ちますが、これは多くの人がご存じの姫始めに一番近い意味合いだと言えます。しかし漢字が違うことに気づいた方もいますよね。
どこかの銭湯には、女湯は「姫」、男湯は「殿」と表現されているところもありますから、姫始めとなったのも納得できるのではないでしょうか。
比目始め
「比目始め」は、1474年に白川資益の日記である「資益王記」に記されていたものです。姫始めの由来の一説には、この比目始めが元になったのでは、という説もあります。
日見始め
「日見始め」は1838年に志賀忍が著者の「理斎随筆」に記されてるものです。巻之五・ニ十六にひめはじめの記載がされており、昔の字体ですからはっきりした意味が分かりにくいです。
「姫始め」の対義語「鞘納め」は造語?
年末に催事を納めることを「姫納め」とする説が一番ではありますが、他にも「密事納め」とも言われています。
「秘め始め」を語源と捉えたことからくる言い回しで、多少語呂合わせが悪く感じるものの、豆知識として覚えておきましょう。
また、姫始めの対義語としてネット上では
「姫納め」
「事収め」
「鞘納め」
「槍納め」
などの様々な説もありますが、これは正しい対義語ではなく造語です。
「鞘納め」は性行為の様子から連想された言葉のようです。
「槍納め」は「やりおさめ」と読み、性行為のことを「ヤる」と呼称するところから繋げているようです。
比較的姫始めの対義的な意味としては「姫納め」が近いと言われています。
「姫始め」の意味や由来・対義語のまとめ
- 姫始めは、新しい年になって性行為をすることを意味する。1月2日の行事とかなり詳しく伝える諸説あり。
- 姫始めには、様々な諸説の由来があるが、姫飯始めが一番有力である。
- 姫始めの対義語は正しくは姫納めであるが、ネット上では「鞘納め」「槍納め」という造語もある。