「かねてから」の意味とは?
「かねてから」は、「以前から」と同じ意味で使います。あらかじめ・事前に、という意味合いもあります。
例えば「かねてからお付き合いを」と言った場合、継続的にお付き合いをしていた(過去から現在)を表わしますが、その過去がどれくらい前を指すのかは必ずしも明確にする必要はありません。
しかし一般的には、いつからのことを指しているのかがわかる期間内で使います。
マイルド君
おとうさん、かねてから華さんとお付き合いさせていただいているマイルドです!
課長さん
キミの噂はかねがね・・・。高校時代によく早弁をしていたと華から聞いているよ。
「かねてから」の漢字表記
「かねてから」は漢字にすると「予てから」もしくは「兼ねてから」です。
かねてからの漢字 | 意味 |
---|---|
予てから | 前もって・あらかじめ など |
兼ねてから | ①前もって ②2つ以上のものを合わせる・併せる など |
「兼ねてから」の「兼」の字は、②の意味で使われることも多くあります。
意味の間違いを防ぐために、「かねてから」を漢字で書くときには「予」を使うことが一般的です。
両方とも正しい表記の漢字ですので、どちらを使っても問題ありません。
「かねてから」は正しい日本語ではない?
実は「かねてから」という言葉は誤用とされています。
正しくは「かねて」で、この一語で意味を成すことができます。
「かねて」も「から」も「過去の起点」を示す言葉であることから、「かねてから」は重言(じゅうげん)になるのです。
フロイト先生
重言とは、同じ意味の言葉を重ねて使うことで二重表現や重複表現とも言う。
日本語の修辞技法じゃな。
代表的な表現は「後で後悔する」「日本に来日する」…日本語は面白いのう。
普段の会話で「かねてから」と使うことには、問題ありません。
本来は誤用ですが、昔から日常的にこの形で使われてきました。
また、「かねてより」という表現もありますが、「かねてから」と同じ意味・同じ使い方をします。ただ、「かねてより」のほうが歴史が古くキッチリした印象を与えるため、こちらの言い回しをを好む人もいます。
広辞苑では1998年の第5版から「かねて(から)」と掲載しており、ほかの多くの辞書にも同じ掲載があることから、完全な誤りとは言えない言葉です。
ただ、今でも多くの新聞社では「かねて」と表現することになっています。
「かねてから」の使い方・用例
「かねてから」を使うときは、過去に経験(認識)していることが基準になります。
その時を振り返りつつも現在まで継続しておこなっていること、というニュアンスです。
情熱系社員
課長!かねてから提案していた企画が、クライアントにやっと認められました!
課長さん
長い間、お客様のところへ通いつめた甲斐がありましたね、営業成績全国1位の秘訣はその情熱ですね。
不敵くん
なるほど、秘訣は情熱。
なぜ彼女が全国でトップなのか…かねてから抱いていた疑問がやっと解けたぞ。
このように「かねてから」のあとに続く言葉は「~していた・~だった」などと、過去形になることが多いです。また、「かねてから予定」といった使い方はしません。予定には、計画をあらかじめ立てておくという意味があるため「かねて+から+予定」だと三重表現になってしまうからです。そのため、「かねてからの案」「かねてからの議題」と、前々から行動化されていた言葉を後ろに持ってくるようにしましょう。
ほかにも、よく使われる表現を例文で紹介します。
議員
かねてから交際していましたタレントの○○さんと、この度結婚することになりました。
ツンデレくん
コレ…かねてから約束していた薔薇の花束。二十歳の誕生日に20本・小さいころからの夢だったよな。
上京君
かねてから念願だった東京旅行にやっと来ることができた!ビルがたっかいなぁ~。
「かねてから」の類語
「かねてから」の類語は
- 従来から
- 前々から
- 以前から
過去から現在までずっと続いているという意味の言葉が類語となります。
正しい日本語を使いたいビジネスシーンなどでは、これらの類語や「かねて」と言うことで、誤用・重言といった印象を相手に与える可能性を避けられます。
少しカジュアルな表現として「ずっと前から」も類語です。また、「かねがね」も類語として挙げられるでしょう。こちらは漢字表記で「予予」「兼兼」で、「かねて」と同じく副詞として使います。
「かねてから」の意味のまとめ
「かねてから」は重言だということを知っている人もいますので、ビジネスシーンで「かねてから」と言うと、日本語を正しく使えていない・理解できていないと思われてしまう可能性もあるでしょう。しかし話し言葉は流動的ですので、そのうち違和感を持つことなく使う人も多くなってくるかもしれません。
いずれにせよ、時と場合によって使い分けることも必要ですね。
「かねてから」という言葉
- 正しい日本語ではないが、日常会話として使うには問題のない言葉
- 「かねて」と「から」は両方とも「以前」という意味を持つ言葉で重言になる
- 「予てから」「兼ねてから」どちらも正しい漢字表記だが、一般的に「予てから」が使われる