「てんで」の意味とは
「てんで」とは「物事の打ち消しの意味を持つ否定的な表現」の意味を持つ群馬弁です。
これは標準的な言葉でいうところの「全然〜ない」や「全く〜ない」などといった否定的な表現の度合いを表します。
また「てーんで」など力が入る時は伸ばしたりもします。これは上の標準的な言葉に気持ちを込めた時と同じで、「ぜんっぜん〜ない」という表現です。
「てんで」は群馬の方言
数ある群馬の方言の中で「てんで」もその一つです。
群馬の方言は「群馬弁」とは別に群馬県がかつて上州とも呼ばれていたため「上州弁」ともいわれています。なかなか歴史がありますが、不思議なことに群馬県民の中でも「あまり方言はない」と思っている人もいます。
方言の中で生活していると、日常に溶け込むため自分が話している言葉が方言なのか標準語なのか気づかないところも方言のおもしろさといえます。
また群馬弁には語尾に「〜だんべえ」や「〜なんさ」など「さ」を付けると一気に群馬弁っぽくなります。
この語尾に「さ」がつくところは他県の人たちにあまり知られていないのと、群馬県民の間でも方言だという認識が薄いというところがあります。
「てんで」の使い方の例
一般的に否定的な表現「全く〜ない」といった時に使われる方言ですが、「全然」のようにその一言で意味が成り立つものではなく、動詞や形容詞に対して使用する「副詞」としての役割があります。
では実際にどのような会話で使用されているのか例文で見てみましょう。
「まいった。相手チームが強すぎて、てんで勝ち目がない。」
スケ番
「今日の試合に勝ったらベスト8だね!勝てそうかね?」
(今日の試合に勝ったらベスト8だね!勝てそうかな?)
番長
「まいった。相手が強すぎて、てんで勝ち目がない」
(困った。相手が強すぎて、まるで勝ち目がない。)
大会などで勝ち上がってきても相手が強すぎるとどうやっても勝つことが難しくなります。そんな「勝てる」に対して否定している例です。
「そんなに急いで行っても、てーんで意味ないよ。」
お母さん
「明日は雪が降るって言ってたから早めのバスに乗った方がいいんかね?」
(明日は雪が降るって言ってたから早めのバスに乗った方がいいかな?)
萌え袖ちゃん
「そんなに急いで行っても、てーんで意味ないよ。」
(そんなに急いで行っても、ぜーんぜん意味ないよ。)
お母さん
「そうだいね。」
(そうだよね。)
次は、交通渋滞になる前に目的地などに着けるかという会話です。
車社会も相まって早めに出たところで交通渋滞に巻き込まれるということを強めに否定した会話の例文になります。
- てんでの意味は「全く」、「まるで」
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