「ぞっとしない」の意味とは?
「ぞっとしない」とは「興味がない」や「面白くない」「感心しない」という意味を持つ言葉として使われています。私たちがよく使う、怖い話を聞いた時など身の毛がよだつことを表す「ぞっとする」がありますが、これとは違った意味を持っているという事を覚えておきましょう。
「ぞっとする」の否定語ではないことに注意
「ぞっとしないは必ずしも「ぞっとする」の否定語ではないということに注意してください。もちろん「ぞっと」という言葉に対して【する・しない】で否定にも肯定にも使用する事が出来ますが、怖い話を「ぞっとする話」とはいっても、怖くない話を「ぞっとしない話」とはいわないように、怖いや恐ろしいといった意味の否定形ではなく、「つまらない」や「面白くない」といった慣用句の一つとして用いる事が本来の使い方です。
もし、「ぞっとしない話」を使うのであれば「面白くない話」という意味で使う事が正しい使い方となります。
「ぞっとしない」の語源
「ぞっと」の語源は【恐怖や寒さでからだが震え上がるさま】を表す言葉として使われていますが、またその一方で【強い感動がからだの中を通り抜けるさま】を表す言葉としても使われていました。
ちなみに、「ぞっと」が持つ意味は
①恐ろしさで身の毛がよだつまたからだが震えるさま。
②感動で強い感動が身内を走り抜けるさま。
③寒さでからだが震えるさま。
の3つがあげられます。
ここで解説している「ぞっとしない」は②の「強い感動」など感情に対しての否定的な表現であり、「面白くない」や「つまらない」「感心しない」といった意味を持つ言葉として用いられています。
「ぞっとしない」の使い方と用例
ではどのような場面で「ぞっとしない」を使うか。「ぞっとしない」の使い方と用例を会話の中で説明していきましょう。
たとえば、夏休みは遊びに夢中でやらなければいけない事をおろそかにしてしまう事もありますよね。そんな時の会話です。
ボブ
夏休みは家でゲームばかりして家の手伝いや宿題がまったくできないよ。
チャーリー
それはあまりぞっとしないね。宿題は明日一緒にやろう!
ここでの「ぞっとしない」は「感心しない」という意味を表しています。
「ぞっとしない」の類語
「ぞっとしない」と似た意味を持つ言葉としては、
- 好ましくない
- 不愉快
- 気が向かない
- 気乗りがしない
- 興味がない
どの言葉も否定的な意味を持っていることがわかります。これらを並べてみるとどの言葉も馴染みがあり「ぞっとしない」が持つ意味がわかりやすいのではないでしょうか。
面白くないときに使う「ぞっとしない」の意味を正しく理解しよう
面白くないときに使う「ぞっとしない」という言葉は文豪である芥川龍之介の「一夕話」(いっせきわ)という小説の中にも使われているほど昔から使われてきた言葉です。
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藤井は昂然と眉を挙げた。
「あれは先月の幾日だったかな? 何でも月曜か火曜だったがね。久しぶりに和田と顔を合せると、浅草へ行こうというじゃないか? 浅草はあんまりぞっとしないが、親愛なる旧友のいう事だから、僕も素直に賛成してさ。真っ昼間六区へ出かけたんだ。――」
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この小説の一説は「浅草はあまり面白くない」という表現で使われています。現代では認識が薄くなってきている言葉ですが、もう一度その意味を知り正しく理解できるいいきっかけにしてけるといいですね。