簾(すだれ)と葦簀(よしず)の違いとは?両者の違いを分かりやすく解説!

簾(すだれ)と葦簀(よしず)の違いとは?両者の違いを分かりやすく解説!

簾(すだれ)と葦簀(よしず)は、どちらも日本の高温多湿を避けるために作られたもので、現在でも活用されています。知っているようで知らない簾と葦簀の違いをはじめ、両者の長所や短所、素材や作り方の違い、歴史などにも焦点を当て、詳しく解説していきます。

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  1. 1簾と葦簀の違いについて
  2. 2簾とは
  3. 2.1用途
  4. 2.2素材
  5. 2.3長所と短所
  6. 2.4歴史
  7. 3葦簀
  8. 3.1用途
  9. 3.2素材
  10. 3.3長所と短所
  11. 3.4歴史
  12. 3.5よしず張りとは

簾と葦簀の違いについて

山に囲まれた古民家
フリー写真素材ぱくたそ

簾と葦簀の違いとは?

(すだれ)と葦簀(よしず)の違いは、「吊り下げ式」か「立て掛け式」か、ということにあります。吊り下げ式を「簾(すだれ)」といい、立て掛け式を「葦簀(よしず)」といいます。両者とも主に夏場に使われ、涼を得る道具として活用されています。
今では別物として扱われていますが、もともとの語源は「簀垂(すだれ)」です。「簀(す)」とは「隙間(すきま)」から出た言葉で、元は敷物のことをいいます。竹や葦(あし)などを材料として、隙間をあけて並べて編んだ莚(むしろ)を垂らして遮へいする、という意味から来ています。室内では「御簾(みす)」、戸外では「葦簀(よしず)」という美化語で使うことが多かったようです。

簾とは

すだれ
フリー写真素材ぱくたそ

簾とは?

簾(すだれ)とは、家の中で使用する、日よけと間仕切りを兼ねた道具です。戸口や軒先など、外部に面した所に掛けて使うこともあります。簾は室内で使うものなので「飾りひも」が付いており、開けておきたいときに下から丸めてひっかけておく「かぎ」が付いています。簾の高級なものを「御簾(みす)」といい、四周に縁(へり)が付いていることが特徴です。神社などでも見かけることができます。

用途

簾の前に赤い花が咲いている

簾の用途

簾(すだれ)の用途には、次のようなことがあります。

  • 家の中の風通しを良くする。
  • 日よけとして。
  • 外から室内を見えにくくする。
  • 部屋の仕切りとして。
昔の家は開放的な作りをしていたため、ふすまや障子で部屋を仕切っていました。夏場になると涼を得るため、ふすまや障子を取り外して簾を掛けていました。実用さだけでなく、夏のしつらえとして、季節を感じるもののひとつでもあります。

素材

太さの違う竹が並べてある
Photo byclarabsp

簾に使う素材

簾(すだれ)の素材には、主に竹や篠(しの:竹の細いもの)が使われています。作り方は、竹や篠を一間(約1.8m)または半間幅でそろえ、糸で細かく編んでいきます。無地のものが一般的ですが、竹の節をブドウやひょうたんなどの伝統的な模様に並べて、浮かび出させる作り方もあります。室内の調度品としての要素もあることから、繊細な作業がなされていました。

長所と短所

昔ながらの家が並んでいる

簾の長所と短所

次に、簾(すだれ)の長所と短所を見ていきましょう。
長所は、熱を逃がす機能はもちろん、巻き上げてくくったり、好みの長さに垂らしたりすることができる点です。見た目にも涼しく、清涼感が感じられます。
短所は、編んだ隙間から風雨や寒気が入ってきてしまう点です。また、編み目が細かいため湿気やすく、カビが生えやすい難点もあります。特に片付けるときには、しっかりとほこりや汚れを取り除き、新聞紙を中に入れて巻き、乾燥した場所で保管する必要があります。

歴史

軒下につるされている簾
フリー写真素材ぱくたそ

簾の歴史

簾(すだれ)はいつごろから活用されているのでしょうか。簾の歴史を追ってみましょう。
簀(す:古くは敷物の意)の遺物は縄文時代からあり、すでに簀編みが行われていたと考えられています。また、『万葉集』にも簾を詠んだ歌がいくつかあることが確認されており、平安時代の貴族の住宅では、部屋の仕切りとして御簾が使われていました。これらのことから、相当古くから使われてきたことが分かりますし、貴族の間での使い方が徐々に庶民にも伝わっていった、と考えることができます。

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南京玉すだれとは?意味や作り方・技の種類をご紹介! | セレスティア358
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葦簀

葦簀

葦簀とは?

葦簀(よしず)とは、屋外で立て掛けて使う、日陰を作るための覆いです。民家のほか、商店などでも使われます。地面から軒先まで、すっぽりと覆ってしまうほどの大きさで、日陰が必要なときは広げ、日が暮れて涼しくなると丸めておけばよいため、手間も場所も取らない便利なものとして活用されています。

用途

壁に這う植物の蔓
Photo byartzhangqingfeng

葦簀の用途

葦簀(よしず)の用途には、次のようなことがあります。

  • 風通しを良くする。
  • 強い日差しをさえぎる。
  • 寒さや雪除けとして(北海道などの寒冷地)。
窓の外やビルの外壁で植物を育てる緑のカーテンは、葦簀で日差しを和らげる方法を応用したものといえます。

素材

ヨシの草
Photo bykaboompics

葦簀に使う素材

葦簀(よしず)の素材には、葦(あし)などの植物が使われます。作り方は、葦の茎を縄で荒く編んで作ります。編み縄には、シュロや麻などの植物を使います。見た目の美しさはありませんが、丈夫なので、外で使う葦簀作りには適した素材です。この「葦」という植物は、イネ科の多年草です。茎の高さは2m以上にもなりますが、中が管のようになっているので軽く、持ち運びが楽だったため、昔から重宝されてきました。本来は「あし」と読みますが、「悪し」に通じることから「よし」とも呼ばれています。

長所と短所

部屋につるされている風鈴
フリー写真素材ぱくたそ

葦簀の長所と短所

では、葦簀(よしず)の長所と短所を見ていきましょう。
長所は、熱を逃がすほか、大きな面で日よけができるので、より涼しさを得られる点にあります。水を掛けて使うと気化熱が発生するため、より効果的です。また、高さが3m近くありますが、素材が軽いので簡単に持ち運ぶことができます。
短所は、風に弱く、突風が吹くと倒れてしまう点です。風が強いときには丸めておくなど、倒れて怪我をしないような対応が必要です。

歴史

だんご屋の前に置かれた赤い傘
フリー写真素材ぱくたそ

葦簀の歴史

葦簀(よしず)の歴史はいつごろから始まったのでしょうか。
葦簀の起源は明らかではありませんが、江戸時代以前から葦は屋根や天井に使われていたようです。また、「江戸いろはかるた」には、「葦(よし)の髄から天井を見る(ものの見方、考え方が非常にせまいことのたとえ)」ということわざがあります。ことわざになるほど、葦は一般的に使われていたものと考えられます。これらのことから、江戸時代には葦簀としての使い方がなされていたのではないかと推測できます。時代劇でも茶屋に葦簀が立てかけてある場面が、しばしば見受けられます。

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よしず張りとは

浜辺にある小屋から見た夕日に照らされた海
Photo byPexels

よしず張りとは?

よしず張りとは、葦簀を壁と屋根にした、簡単な建物のことをいいます。今でも、海水浴場の海の家や縁日の屋台などでよく使われています。

簾と葦簀の違い

  • 簾(すだれ)と葦簀(よしず)の違いは、吊り下げて使うか、立てかけて使うか、ということです。
  • 簾は日よけと間仕切りを兼ねた道具で、葦簀は日陰を作るための覆いです。
  • 簾も葦簀も、暑くて湿気の多い日本の夏を快適に過ごすための方法として、活用されています。

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