「浮き足立つ」とはどんな状態?
時折「浮き足立つ」の表現を見聞きする機会がありますが、「浮き足立つ」と聞いてどのような心理状態を思い浮かべるでしょうか。
「浮き足」の言葉から足が宙に浮いた状態、つまり安定しない状態を想像して、「浮き足立つ」を「そわそわする」や「落ち着かない」といった心理的イメージを持つ人が多いでしょう。「そわそわする」や「落ち着かない」心理は、ポジティブ感情からでもネガティブ感情からでも起こるため、「浮き足立つ」を間違った意味で捉えている人も少なくありません。
「浮き足立つ」の正しい意味や使い方、また間違いやすい言葉とはどのようなものでしょうか?ご紹介していきます。
誤用しやすい「浮き足立つ」
「浮き足立つ」と響きがよく似た言葉に「浮立つ」や「浮つく」「浮かれる」などがありますが、用い方は全く異なっています。
- 「浮き足立つ」:不安や恐れなどネガティブな感情から現れるそわそわとした行動や状態
- 「浮立つ」や「浮つく」「浮かれる」:非常に嬉しいことや「ウキウキ」としたポジティブな心理状態から現れるそわそわとした行動や状態
「浮き足立つ」の正しい意味
「浮き足立つ」の正しい意味は、「不安や恐れを抱いて逃げ腰になる」「不安や恐れを抱いて落ち着きがなくなる」状態です。つまり、ネガティブ心理から現れる行動や状態ですね。
ネガティブな意味の「浮き足立つ」とポジティブな意味の「浮立つ」は、語句の違いを見ると「足」が含まれるか否かだけなので、語句が似ていることも誤用しやすい原因の一つといえるでしょう。そこで、足がついている「浮き足立つ」は足が不安定なため不安なイメージを持ち、「浮立つ」は心がワクワクするイメージを持つと誤用しにくいです。
「浮き足立つ」の語源
「浮き足立つ」が意味する不安や恐怖の心理から現われる「逃げ腰や落ち着きのなさ」は、「浮き足」の身体的状態が語源とされています。
「浮き足」とは、かかとが上がりつま先だけが地面についている形で、つま先で身体全体を支えている状態です。そのため「ふらつき」や「安定しない」状態が起こります。「浮き足」のふらつきは、喜びからくるものではなく不安定な恐怖や心配を呼び起こすでしょう。このことから、「浮き足立つ」はネガティブな心理から現れる「落ち着きのなさ」や「逃げ腰」を意味するようになりました。
「浮き足立つ」の語句は室町時代に登場していますが、「落ち着かない雰囲気」や「逃げ腰」の状態を表すようになったのは江戸時代後半といわれています。
「浮き足立つ」の類語
「浮き足立つ」は不安な気持でそわそわした状態だと前述しましたが、この項目では「浮き足立つ」と同じ意味を持つ言葉をご紹介しましょう。
「浮き足立つ」の類語として比較的頻繁に用いられる語句に「地に足がつかない」があります。「地に足がつかない」はポジティブ状態でもネガティブ状態でもそわそわした状況を表すので、用いやすい語句といえるでしょう。
「浮き足立つ」に近い類語は次の言葉です。
- 逃げ腰
- 尻込み
- 浮き腰
- 及び腰
- 腰が引ける
- 弱腰
- へっぴり腰
- 落ち着かない
- 気が気じゃない
- たじろぐ
- 怖じ気づく
- 弱気になる など
「浮き足立つ」の使い方と例文を紹介
「浮き足立つ」とは前述のように恐怖や不安からくる精神的状態で。「浮き足立つ」理由を前文に持ってくることで、一つの文章として完成させます。
「浮き足立つ」の使い方を例文の中でご紹介しましょう。
- 与党は、国会で野党の厳しい攻撃にあい浮き足立っている。
- 本日会社に査察が入るため、今日は会社全体が浮き足立っている。
- 「今日は朝から変よ。大丈夫?浮き足立っているみたいよ。」
「浮き足立つ」の状態・類語や正しい意味・使い方のまとめ
- 「浮き足立つ」の意味は、不安や恐れからくる「落ち着きのなさ」や「逃げ腰」
- 「浮き足立つ」の語源は、つま先立ちの不安定な状態
- 「浮き足立つ」は、嬉しくてそわそわする状態の「浮立つ」と間違いやすい