「えごふく」の意味とは
「えごふく」は、「文句を言う、屁理屈を言う、不平不満を言う、ごねる、絡む」という意味の富山弁です。
「意地を張って自分の主張を通そうとすること」や「片意地」を意味する依怙地(えこじ/いこじ)と、吹聴するという意味の吹(ふ)くが語源と考えられており、「えごふく」「えごふいて」「えごふかない」などと用います。つまり、つまらない意地を張って腹を立て、周囲に当たり散らしている、みっともない状態を表しています。
「えごふく」は富山の方言
富山弁とは、富山地方の方言を指しますが、富山県は新潟県と石川県の間にあって、岐阜県・長野県とも隣接しています。関西圏にも近いため、富山弁は関西弁に近い軽さがあるほか、周囲の県の言葉と混じりあった方言も少なくないようです。
また、富山は昔から日本海航路によって能登や佐渡、そして京都とも交流があったため、これらの地域の方言と共通点がある場合があります。さらに、富山といえば「越中富山の薬売り」が有名ですが、富山弁には薬売りの人たちによって運ばれてきた東北地方の言葉が少なからず混じっているとも考えられています。
「えごふく」も地域によっては、「いごふく」(むくれていろいろ言うことの意)と変化したものが使われています。
「えごふく」以外の富山弁も面白い
富山弁には「えごふく」の他にも、独特な言葉がたくさんあります。ほんの一例を挙げてみましょう。
- 「~せんにゃ」………〜をしなきゃならない。
- 「どうしたがけ?」……どうしたの?
- 「なーん。なんなん」…ううん(否定)。いやいや。
- 「きときと」……………新鮮。いきいき。
以前、テレビの「可愛い方言ランキング」で「富山弁」が第2位になったことがあります。語尾に「〜ちゃ」「〜やちゃ」などを付ける富山弁は、女の子が使うと「マンガ『うる星やつら』のラムちゃんみたいでカワイイ」と評判になりました。ただし、本来の富山弁のイントネーションでは語尾が下がるので、会話はちょっと落ち着いた印象になるのだそうです。
「えごふく」の使い方の例
「えごふく」の意味が分かったところで、ここからは例文を紹介します。
「えごふいて だじゃかんわ!」
お母さん
「えごふいて だじゃかんわ!」
(文句ばかり言ってたらダメだよ!)
「だじゃかんわ」は、「もう、あきれたわ」「駄目だわ」といった、諦めの心境を表現する言葉です。文句や屁理屈ばかり言う子どもに対して「本当に呆れたわ」というお母さんの気持ちを表しています。
「あのっさん また誰かにえごふいてるよ~。」
子供
「いやになる。あのっさん また誰かにえごふいてるよ~。」
(いやになる。あの人 また誰かに屁理屈言ってるよ~。)
酔っぱらうとウダウダ屁理屈や文句ばかり言ってしまう人は気をつけましょう。
「そんなにえごふかないで。」
ゆめかわちゃん
「そんなにえごふかないで。ちょっと一緒に気分転換しない?」
(そんなに文句ばかり言わないで。ちょっと一緒に気分転換しない?」
不満ばかり言う人を、なだめるときの例文です。語感の楽しい「えごふく」を使うと、相手が気を悪くすることもなく角が立たないかもしれません。
「えごふく」はもちろん、面白い方言が盛りだくさんの富山弁に興味を持った人は、富山空港などのお土産屋さんで『富山方言番付』を探してみましょう。富山弁が使用頻度などから格付けされており、富山大学教授が監修、越中方言奉行・簑島良二氏が編集している立派なもの。富山出身者や富山好きには、喜ばれること請け合いのユニークなお土産になります。
- 「えごふく」の意味は、「不平不満を言う」「屁理屈を言う」「ごねる」「絡む」
- 「えごふく」は、富山で使われている方言