「ぎゃん」の意味とは
「ぎゃん」には、「とても」や「すごく」「非常に」という意味があります。「ぎゃん泣き」や「ぎゃんかわ」というような使い方がされ、「かわいい」や「泣いている様子」などの言葉を強調するために用いられる方言です。また、こそあど言葉と一緒になり「こぎゃん」「そぎゃん」「あぎゃん」「どぎゃん」とすることで、先ほどの言葉を強調する意味とは別の意味で使われるようになります。
「ぎゃん」に「こ・そ・あ・ど」がついた方言
意味 | |
こぎゃん | こう・このように・こんなふうに・こうする |
そぎゃん | そう・そのように・そんなふうに・そうする |
あぎゃん | あぁ・あのように・あんなふうに・あぁする |
どぎゃん | どう・どのように・どんなふうに・どうする |
そのほか「ずーと」や「がーっと」のように物事を調子よく勢いづけるときにも、「ぎゃん」という方言が使われます。例えば、「ぎゃん行ってぎゃん曲がって」のような使い方です。この場合の意味は、「ずーっと行ってがっと曲がって」や「そう行って、こう曲がって」というような意味になり、真っ直ぐや左折、右折なども全て「ぎゃん」という言葉で表現しているのです。
もともとは、「そぎゃん行って、こぎゃん曲がって」というような使い方がされていたのが、「ぎゃん」の前についていた言葉が省略され「ぎゃん」だけになったことで、テンポ良く勢いづけるような意味合いで使われるようになったとされています。
このように「ぎゃん」という言葉は、状況や使い方によって意味が異なる面白い方言です。
「ぎゃん」は熊本や福岡で使われている方言
様々なシチュエーションで使われる「ぎゃん」は、熊本県や福岡県で使われている方言となります。福岡県といっても、県全域で使われている福岡弁ではなく、熊本県に隣接している福岡県南部地域の大牟田市などで使われている方言です。
熊本弁や福岡県の南部地方で使われている福岡弁は、語尾が「~たい」や「~ばい」となるのが特徴です。また、無アクセントという発音の仕方をします。無アクセントとは、言葉や文章を発音したときに、意味が違う同じ言葉を同じイントネーションで発音したり、棒読みのような読み方になったりすることをいいます。
また、「とても」や「ものすごく」という意味で使われる熊本弁は、「ぎゃん」以外にも「まご」や「だご」、「ぎゃー」などがあります。
「ぎゃん」の使い方の例
「ぎゃん」という方言は、複数の意味があるように使い方も様々です。どのような状況の時に「ぎゃん」を使うか、使い方を例文と共に紹介します。
「このお店のクレープはぎゃん食べるたい。食べやすくておすすめだよ。」
例文の1つ目は、「とても」や「ものすごく」といった言葉を強調するときに使われる方言です。今回の場合、クレープが食べやすくて自分もよく食べているから、心からおすすめしたいという気持ちがよく伝わる会話です。
スケ番
このお店のクレープはぎゃん食べるたい。食べやすくておすすめだよ。
(このお店のクレープはものすごく食べるよ。食べやすくておすすめだよ)
萌え袖ちゃん
それなら、うちも食べてみるたい。本当や。たいぎゃ、うまか。
(それなら、私も食べてみるよ。本当だ。ものすごくおいしいね。)
「この道をぎゃん行って、赤い看板の所をぎゃん行って、突き当たりをぎゃん曲がるたい。
2つ目は、道を説明するときに「ぎゃん」を使う例文です。「ぎゃん」という言葉を用いることで道案内に勢いがつき、曲がる方向が右なのか左なのかをはっきりと伝えていないにもかかわらず、なんとなく行けるような気にさせてしまう興味深い使い方となります。
ボブ
熊本城へ行くには、どぎゃん行ったら良かと?
(熊本城へ行くには、どうしたら良いですか?)
チャーリー
この道をぎゃん行って、赤い看板の所をぎゃん行って、突き当たりをぎゃん曲がるたい。
(この道をこう行って、赤い看板の所をばぁーっと行って、突き当たりをがっと曲がるんだよ)
ボブ
ありがとう。道に迷うて困っとたけん、助かったばい。
(ありがとう。道に迷って困っていたから、助かりました。)
- ぎゃんの意味は「こう」、「このように」、「こんなふうに」
- 熊本や福岡で使われている方言