初鰹(はつがつお)とは?
まずは初鰹の意味についての説明します。
初鰹は「はつがつお」という読み方で、3~6月に獲れる鰹のことをいいます。鰹は獲れる時期の違いで呼び名が変わる珍しい魚で、これには鰹の生態が関係しています。
鰹は大型の回遊魚で、太平洋やインド洋などの温かい地域に生息する魚です。日本には、春になると黒潮に乗り九州の方からやってきて、北海道の辺りまで北上、そして秋になるとUターンして九州へ向け南下していきます。初鰹は北上途中に獲れる鰹のことを意味しています。
鰹は鮮魚としてたたきや刺身、加工品として鰹節やツナ缶などになり、私たちの身近な食べ物です。しかしこれは現代に限らず、古くより人々に親しまれていました。
初鰹は江戸の人々に好まれた
初鰹は江戸時代の人々と深い関わりがありました。その証として江戸時代の俳人、山口素堂の俳句「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」をご紹介します。
この俳句には初夏の季語である、青葉・ほととぎす・初鰹が使われており、五感を使って季節を楽しむことの素晴らしさを詠っています。このことから初鰹が俳句にも使われるくらい、江戸の人々に好まれた食べ物であったことが伺えます。
当時は初鰹の価格が10万円以上もした時代で、簡単に手が出せる物ではありませんでした。しかし粋を大切にする風習があった江戸の人々にとって、旬の味覚を味わうことは欠かせないこと。その中でも初鰹が重要な食べ物であることがこの俳句から分かります。
初鰹には長寿の意味も
江戸っ子に好まれていた初鰹は、長寿を意味する縁起物でもあります。
その理由は「初物七十五日」という考え方によるもの。初物とは、その年に初めて収穫されたものを表す言葉です。古くより初物には生気が溢れ、初物を食べると75日長生きできると言われてきました。
初鰹はなすびや鮭と並びその代表と言える食べ物で、さらに初鰹においては750日も長生きするとの言い伝えもあります。
初鰹の旬の時期や鰹で有名な産地
鰹の産地といえば高知が有名ですが、その他太平洋側の地域でも漁獲は盛んに行われています。南から鹿児島・宮崎・三重・静岡・東京・宮城などが有名です。これらの産地では主に3~6月くらいまで初鰹が水揚げされますが、地域によって旬の時期が若干異なります。
- 鹿児島・宮崎・・・2~5月
- 高知・三重・・・3~5月
- 静岡・東京・・・4~6月
- 宮城・・・6~7月
鰹は旬の時期が2回!初鰹と戻り鰹の違い
鰹は1年の中で旬が2回あり、それぞれの時期によって呼び方が異なります。3~6月に獲れる鰹が「初鰹」、8~9月に獲れる鰹が「戻り鰹(もどりがつお)」と言います。呼び方の違いは、単に旬による分け方だけではありません。具体的にどのような違いがあるのかをご説明します。
初鰹の特徴
春から初夏にかけて水揚げされる初鰹は、日本の海に辿り着いたばかりで成長途中です。
これから餌を食べて大きくなるというときなので、比較的細身のものが多くなります。味は脂肪が少なくあさっりとしていて、鮮やかな赤身なのが特徴。また赤身の魚によくある独特の生臭さがないので、臭いが苦手な方も食べやすい魚です。
戻り鰹の特徴
晩夏から初秋にかけて水揚げされる戻り鰹は、餌を十分に食べているので丸々と大きく成長しています。
初鰹よりも脂質が高いため、もちもちとしており脂が乗っている特徴があります。濃厚な味わいでトロのような風味なことからトロ鰹とも呼ばれています。
初鰹の美味しい食べ方
味の違いがある鰹ですが、初鰹を美味しく食べるにはどのような食べ方があるのでしょうか。初鰹はさっぱりとた味で、魚特有の匂いも気になりません。
そこでおすすめの食べ方が、たたきやお刺身にすることです。調理が難しくないので、ご自宅でも素材の味を存分に楽しむことができます。
初鰹は味が美味しいのはもちろんのこと、縁起の良い魚でもあります。ぜひ旬の初鰹を手に入れて味わってみて下さい。
萌え袖ちゃん
自家製、鰹のたたきを作るのにおすすめの動画!捌き方の説明もあるので、ぜひ参考にして下さい。
初鰹の意味や旬の時期と戻り鰹との違いのまとめ
- 初鰹は3~6月に水揚される鰹のこと
- 長寿の縁起物である初鰹は、江戸時代の人々と深い関わりがあった
- 初鰹と戻り鰹は、旬や味覚に違いがある