浮世(うきよ)の意味とは?由来と「浮世人」「浮世離れ」「浮世離れ」の意味を解説!

浮世(うきよ)の意味とは?由来と「浮世人」「浮世離れ」「浮世離れ」の意味を解説!

浮世の意味や語源である憂き世、浮き世について仏教から由来していることを説明します。その後、「浮世離れ」「浮き世のしがらみ」など浮世を用いた言葉の意味や使用方法を解説し、最後に浮世の英訳に挑戦します。これを読めば、浮世思想から英訳まで完璧に理解できます。

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  1. 1浮世(うきよ)の意味とは?
  2. 1.1別名
  3. 1.2対義語
  4. 2浮世(うきよ)の語源が由来
  5. 2.1仏教的厭世観の意味
  6. 2.2漢語の浮生の意味
  7. 3浮世(うきよ)が使われている言葉の意味
  8. 3.1俗世間、娑婆の意味としての浮き世
  9. 3.2元禄時代の庶民生活の意味としての浮き世
  10. 4浮世(うきよ)を英語で伝えると?
写楽の浮世絵画像

浮世(うきよ)が使われている言葉の意味
 

ここからは浮き世が使われている言葉の意味を具体的に紹介していきます。

浮き世が使われている言葉での浮き世の意味は大別して以下の2つに分けられます。

  • 俗世間、娑婆
  • 元禄時代の庶民生活
順に見ていきましょう。
 

俗世間、娑婆の意味としての浮き世

廃れの知らない人気のお面が並んだ画像

俗世間、娑婆の意味としての浮き世
 

色恋沙汰や俗世間、娑婆が由来となった浮き世を用いた言葉の使い方を見てみましょう。
 

浮世離れ

  • 使い方
「あの人は浮世離れした人だ」、「浮世離れした美人が芸能界に登場」のような使い方があります。
  • 意味
ここでの浮世は俗世間というより一般常識という意味で、浮世離れしたとは一般常識から外れたという意味があります。
浮世離れした人とは、どちらかというとネガティブな変人や奇人など一般常識がない人を指します。これに対し浮世離れした美人の場合、常識から逸脱した絶世の美人となります。
浮世離れしたという枕詞だとネガティブな意味になるのに対し、浮世離れした感性、女優、選手など後にポジティブな単語を繋げると卓越した意味になるのが面白いですね。

浮世小路

  • 使い方
「私は田舎出身で、幼少時代は浮世小路で狭苦しく暮らしていました。」というように使います。
また、原敬が詠んだ俳句に「豆まきや浮世小路のここかしこ」があります。
  • 意味
大金持ちの行動は浮世離れしています。これに対し庶民の生活は俗世間、浮世です。
ショッピングモールなどの大規模小売店やマンションが乱立している現代、小路(こうじ、しょうじ)という言葉はあまり使われなくなった感があります。
昭和までは長屋形式の商店街や住宅街が幅の狭い道路に沿って発達していました。このような幅の狭い道路を小路と呼んでいました。長屋形式の商店街や住宅街は時代ごとの庶民生活を反映したことから、ある時代を感じさせる小路を浮世小路と呼ぶようになりました。
庶民が歩む人生街道はまさに浮世小路であり、ここから世間や世の中浮世小路と喩えられます。原敬の俳句「浮世小路は、庶民が住む街より世間、世の中」の意味で捉えるとより風情があります。
 

浮き世のしがらみ

  • 使い方
「現実逃避以外に浮き世のしがらみから逃れるすべはない」のように使います。
他に流行歌、己龍の花魁譚(おいらんたん)では「捨つるは浮き世のしがらみか」と歌われています。
  • 意味
浮き世のしがらみとは、直面する困難の原因を意味します。浮き世とは辛い世界であり、浮き世から抜け出したいが、柵(しがらみ)のため抜け出せないと言いたいのです。
 

元禄時代の庶民生活の意味としての浮き世

日本舞踊を舞う女性2人のイラスト画像

元禄時代の庶民生活の意味としての浮き世
 

元禄時代の庶民生活が由来となった浮き世の使い方を見てみましょう。
 

浮世人

 

  • 使い方
今では歴史研究者や小説家だけが元禄時代の話をするので、日常生活ではあまり使用されません。
  • 意味
浮世人と書いて「うきよびと」と読みます。
浮世人とは元禄時代の享楽的な人生を歩んだ人を指します。
浮世人(うきよびと)は古文に登場します。「浮世人」の使い方は以下の通りです。
 

かの歌舞伎を見たる浮世人、我先に姿形を真似、その美しきを得たり。
貴賤男女、みな浮世人となりけり。

仮のこの世の借物と、形も姿も捨てぬとは、知らずやあわれ、浮世人

浮世草子

  • 使い方
例えば「浮世草子(うきよぞうし)を研究すると当時の風俗がわかる。」「この話は浮世草子からの引用です。」のように使用されます。
  • 意味
元禄時代に登場した井原西鶴が書いた「好色一代男」以降に登場した短編集を浮世草子(うきよぞうし)と呼びます。浮世には一般社会や色事、好色の意味があり、元禄時代に登場した浮世草子は時代ごとの町人文化が反映されています。特に京都を中心とした関西地方では現実的な描写で描かれた娯楽要素の強い町人文学として人気がありました。
 

浮世絵

  • 使い方
たとえば、「浮世絵の構図はゴッホやモネに影響を及ぼした。」「浮世絵は江戸時代のブロマイドです。」のように使用されます。
  • 意味
浮世絵は江戸時代に発生した絵画の一分野で、木版画によって大量に描かれ販売されました。庶民の生活が描かれ、大和絵がもとになっています。
浮世絵の題材には庶民に人気があった美人画や歌舞伎役者が好んで描かれ、時代ごとの町人文化を現代に伝えています。また、葛飾北斎の『富嶽三十六景』や歌川広重の『東海道五十三次』は有名で、海外の画家にも影響を与えています。

 

浮世(うきよ)を英語で伝えると?

赤ペンで添削を受けた英文レポートの画像

浮世(うきよ)を英語で伝えると?
 

英語にはtransience(一時的な事、無常、はかなさ)という名詞やfleeting(いつか過ぎていく、つかの間の、はかない)という形容詞があります。
これを用いて”transient world、fleeting world”と表現するとより正確に意味が伝わります。
対義語にはenlightment(悟り)やwaking(開眼)がありますが、英語で仏教的な意味を伝えるには概念についての補足説明が必要です。
 

「浮世」の使われ方と英語表現

  • 「浮世」の使われ方として「俗世間や娑婆 」と「元禄時代の庶民生活」の大きく二つに分けられます。
  • 浮世を英語で”transient world、fleeting world”と表現すると正確に伝わります。

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