ニンフォマニアの意味とは?
ニンフォマニアとは、性欲が異常に高まりコントロールできなくなる病気の名称です。基本的には女性に対して使われます。ニンフォマニアはその症状から、色情症や多淫症と呼ばれることもあります。
聞きなれない名前かもしれませんが、実はニンフォマニアに悩む人は多いといわれており、2013年にはニンフォマニアを題材にした映画「ニンフォマニアック」が公開され、物議を醸しました。
ニンフォマニアは2つのタイプに分類
ニンフォマニアは大きく二つのタイプに分かれます。
好訴妄想型
好訴妄想型とは、ターゲットとなる相手から愛されていると、根拠もなく信じ込んでしまうタイプです。例えば他人が自分に少し親切にしてくれただけで、相手は自分のことが好きなんだと妄想してしまうことがあります。
妄想により性衝動が抑えられなくなり、ストーカー行為に走ってしまう人も少なくないようです。
異常性欲型
異常性欲型は、その名の通り異常なまでの性欲に襲われ、コントロールが効かなくなるタイプです。
恋人とデートをしている時や仕事中、授業中など、時と場所を選ばずに性欲がたかぶります。
また異常性欲型のニンフォマニアは、双極性障害の症状と併発することが多いという特徴もあります。
男性の場合は「サチリアジス」と呼ばれる
ニンフォマニアは主に女性に対して使われる呼び名ですが、ニンフォマニアと同様の症状は男性にもみられます。症状の内容などは同じですが、男性の場合はサチリアジスという呼び名が使われます。サチリアジスはギリシャ神話に登場するサテュルスが語源と言われています。
またサチリアジスに関しては更にカサノヴァ型、ドンファン型の二つに分類されます。
・カサノヴァ型・・・不特定多数の相手との性行為を求める。イタリア人作家、ジャコモ・カサノヴァが語源
・ドンファン型・・・一人の相手との性行為を追究し、追究し尽くしてから他の相手を探す。伝説上の人物、ドン・ファンが語源
ニンフォマニアの由来
ニンフォマニアの語源は、ギリシャ神話に登場する精霊、ニンフとされています。
ニンフは泉や川、木や谷に棲んでおり、若い乙女の姿をしています。実はニンフは恋愛絡みで神話に登場することも多く、他の神々との恋が多いことでも知られています。ニンフは神だけではなく人間の男性に恋することもあり、時に恋した男性をさらってしまうこともありました。
ニンフォマニアとは、ニンフのこのようなエピソードに由来した呼び名なのです。
ニンフォマニアの主な特徴
性欲の強さは人それぞれで、どこからが異常なのかと言われてもなかなか判断は難しいでしょう。しかし性欲の強さゆえに、日常的に悩みを抱えてしまうようなら、ニンフォマニアによる異常な性欲を疑った方が良いかもしれません。
ここからはニンフォマニアの特徴をいくつか紹介していきます。
浮気や不倫を繰り返してしまう
ニンフォマニアは恋人や家族がいても発症します。一般的な浮気や不倫はパートナーとの関係が上手くいっていないことが原因になることが主ですが、ニンフォマニアの場合はパートナーとの関係が順調でも関係なく不倫や浮気をしてしまうのです。
このような場合の不倫・浮気は衝動的で、性行為のみが目的になっています。また不特定多数の相手と行為に及び、その頻度も非常に多いことが特徴です。
知り合いよりも見知らぬ人との性行為を好む
ニンフォマニアの場合、性行為の相手として知人・友人よりも赤の他人を選ぶことが多いという特徴があります。
実はニンフォマニアを患う人は、「性行為は好きだけど、そんな自分は嫌い」という人が少なくないようです。それだけ自分の性欲に戸惑い、悩んでいる証拠と言えます。
自己嫌悪の強さゆえ、性行為の相手に対して罪悪感を覚えやすく、自分との性行為で仲の良い人を傷つけたくないという意識が働きます。そのため気心の知れた相手よりも、その場限りの相手を選びがちになるのです。
その一方で、罪悪感とは関係なく単に非日常感を楽しむためにあえて見知らぬ人を選ぶという人もいます。
自慰行為の回数が多い
性欲がたかぶったからと言っていつでも性行為ができるわけではありません。そのためニンフォマニアは性衝動が押し寄せた時、ひとまずマスターベーションで性衝動を収めようと試みます。しかし体はあくまでも性行為を求めているので、マスターベーションでは満足できません。そのため自然と回数が増えていくのです。
本来マスターベーションは、適切な方法や頻度を越えると危険が伴います。しかしニンフォマニアの場合、回数の限度を軽く超えてしまうこともあるようです。
強いストレスを抱えやすい
ニンフォマニアを患う人が抱えるストレスは、普通の人の想像が及ばないものがあります。
ニンフォマニアに罹ると性的欲求がコントロールできなくなり、四六時中、性衝動に囚われることになります。しかしこのような衝動はそう都合よく解消できるものではありませんし、抑え込まなくてはいけない場面が多々あります。それに普通の性行為では満足できないことも珍しくありません。
なかなか満たされないまま膨らみ続ける性衝動が爆発しないように、平静を装いながら社会生活を送るのは相当なストレスになるでしょう。
ニンフォマニアになる原因は?
ニンフォマニアになる原因はいくつか考えられます。例えば30歳になる前に性関係のトラブルを経験したことや、家庭内でDVや虐待といった深刻なトラブルを経験したことが発症のきっかけになりやすいとされています。
原因が色々考えられるだけに特定するのは簡単ではありません。しかし深い関係にある人とのトラブルなどといったトラウマがニンフォマニアの引き金になると考えられています。
ニンフォマニアは病気なの?
ニンフォマニアは正式に病気として認められており、精神病に分類されています。
正式な定義によればニンフォマニアの症状は、性欲の異常な高まりによる集中力の欠如、または強迫観念や罪悪感とされています。これが異常な頻度の浮気や性行為という形で表れるのです。
治療については投薬などは基本的に行われず、カウンセリングによって少しずつ回復するという方法がとられます。しかしニンフォマニアを専門とする精神科医はまだ多くなく、病院にかかっても満足な治療が受けられないこともあるようです。
ニンフォマニアの診断方法は?
どこからが性的に異常であるか基準にあいまいな点があるものの、ニンフォマニアは自己診断がしやすい部類の病気といえます。自分の性衝動で何らかの悩みを抱えており、先述のようなニンフォマニアの特徴に心当たりがあるなら、病院の受診をおすすめします。
浮気症から診断する
ニンフォマニアかどうか判断する基準として役に立つのが、浮気の頻度です。
「浮気症」はニンフォマニアの代表的な特徴の一つで、一般的な「浮気性」とは一線を画します。「浮気症」の場合、客観的に見て病的なレベルで浮気を繰り返します。浮気の回数や人数が異常に多い人は、単に女癖(男癖)が悪いのではなく、ニンフォマニアから来る浮気症を疑った方が良いかもしれません。
浮気症になる人は寂しさを抱え込んでいたり、精神が不安になっていたりすることが多いのも特徴です。