昔遊びの定番?おはじきとは
おはじきは、漢字で「お弾き」と書くことからも分かるように、指先ではじいて遊ぶ、昔遊びのひとつです。誰でもできる初歩的な動作で、はじくものがあればどこでも遊べることから、人々の生活の中でごく自然に始まった遊びと考えられています。それは、日本だけでなく、世界のさまざまな地域や民族のもとで昔から行われていました。
日本では、小石や木の実、貝殻などが使われていたようで、はじくものの名前を取って「石はじき」「根木(ねっき)はじき」「きしゃご(貝)はじき」などと呼ばれていました。一方、世界各地に伝わるおはじきにも、はじくものに地域の風土や民族の特性が表れています。例えば、遊牧民族であるモンゴルでは羊などの家畜の骨を使っていたという話もありますし、中近東では特産のアンズの種などをおはじきに使っていたようです。
日本の古代の人々は小石や木の実を使って遊んでいましたが、奈良時代になると、海外からいくつかの盤を使った遊びが伝えられました。そのひとつに「弾棊(たぎ・たんぎ)」と呼ばれる中国のおはじき遊びがあります。中国の皇帝も楽しんだという弾棊は、盤を挟んで相対した2人が、盤上に並べた白黒の石を互いにはじいて相手の石を取り合う遊び、と伝えられています。弾棊は平安時代から鎌倉時代の中頃まで、貴族を中心に遊ばれていましたが、徐々に廃れ、姿を消していきました。
江戸時代中期になると、碁石や小石に代わって「芥子面(けしめん)」という指人形のように指先に付けて使うものが登場します。1㎝ほどの大きさの芥子面は、おはじきにも使われるようになり、特に女の子に人気が高かったため「おはじき=女の子の遊び」という認識が定着していったようです。
江戸時代後期になると、貝を使ったおはじきが流行します。「きしゃご」「きさご」とも呼ばれた2~3㎝ぐらいの巻き貝を使うことから「きしゃごはじき」と呼ばれていました。この遊びの人気はことのほか高く、おはじきの代名詞的存在となりました。
明治時代になると、ガラス製のおはじきが作られるようになりました。見た目のきれいさはもちろん、おはじき遊びに最適な作りとなっていたため、このガラス製のおはじきが全てを総称して「おはじき」と呼ばれるようになりました。
今では、プラスチック製のものや、さまざまな形をしたものなどがあり、アクセサリーのパーツや飾りの一部としても使われています。「見ても楽しい、遊んでも楽しい」のがおはじきの魅力といえます。
おはじきの簡単な遊び方/ルールを紹介!
おはじきは、時代や地方ごとにいろいろな遊び方で楽しまれていた昔遊びのひとつです。ここでは、特によく知られている「しきりとおやつ」についてご紹介していきます。
おはじき/準備のやり方
参加者(2~5人くらいがちょうどよい)は、「1人5個ずつ」など、同じ数のおはじきを出し合います。じゃんけんなどで順番を決めたら、1番目の人が全部のおはじきをまとめて、テーブルなどに広げてから始めます。
【おはじきの広げ方①】
- 使うおはじき全部を片手で集めます。手の中のおはじきを左右に1、2回振ります。
- おはじきをすべらすように広げます。
- 使うおはじき全部を片手で握ったら、上からばらまきます。
おはじき/ゲームの始め方
【始め方・遊び方】
- 最初の人はまず、はじくおはじき(A)と、当てようとするおはじき(B)を決め、その間に指で線を引きます。これを「しきり」と言い、AでBをはじく、という合図になります。
- 次に、しきったおはじき同士をはじいて当て、当たったら、もう一度、その間をしきります。おはじきに触らずにしきれたらどちらかのおはじき1個(AかB)がもらえます。
- 他のおはじきに触れたとき、2つ以上に当たったときは「おやつ」と言って次の人に交代します。さらに、手持ちのおはじき全てをばらまかなければなりません。
おはじき/ゲームの終わらせ方
【終わらせ方】
- 最後の1個を取るときは、目をつぶって「この道、まっすぐ、と~おれ♪」と言いながら、おはじきの周りに円を描き、開いた指の間(人差し指と中指)をまっすぐ通します。これができたら最後の1個をもらうことができます。この場合も、おはじきに触ったら交代です。 *「この道、まっすぐ~♪」と言いながら円を描きます。「と~おれ♪」のときに、2本の指の間を通します。
- いちばん多くのおはじきを集めた人が勝ちです。
おはじきとは
- おはじきは、モノを指ではじく遊び
- 世界中で遊ばれ、国によって「はじくモノ」が違う
- 現在は、アクセサリーの一部としても使われている
おはじきとは?