実は韓国と日本には時差はない？昔はあって今はない理由とは？

韓国は日本とお隣の国で、日本からも飛行機のほかフェリーでも行き来しやすくなっています。そのうえ移動時間も1時間程度であるため、手軽な海外旅行先としてうってつけです。

海外旅行をする時気になることの1つが時差や「今何時なのか」といった点ですが、実は日本と韓国の間には時差がありません。驚かれる方も多いでしょうが、なぜ日本と韓国には時差がないのかを見ていきます。

日本と韓国には時差がないわけではなく、実際は32分の時差があります。日本では東経135度（兵庫県明石市）の時刻が全国の標準時（国内で適用する際に標準となる時刻）とされていますが、韓国では東経127度5分地点の時刻が国内標準時となっているためです。

両方の経線で生じる差は7.5度で、国際的には15度で1時間としているため、約30分の時差が発生する仕組みになっています。なお、韓国の標準時である東経127度5分地点は、2014年に冬季オリンピックが開かれた平昌（ピョンチャン）です。

時差といえば世界的にはイギリスのロンドンにあるグリニッジ天文台を通る0度線が基準です。この線を基準に世界の多くの国や地域では、それぞれの標準時を15の倍数の経度で設けています。日本でも東経135度が走る兵庫県明石市での時刻を国内で適用している状態です。なお日本で東経135度が標準時に選ばれている理由については、ほかに適切な候補地がなかったからという理由があります。

しかし世界には少数ではあるものの、標準時とする経度を15の倍数としていないケースもあるという点が注意すべきです。代表的な例がインドの場合で、こちらは東経82.5度（アラハバード）が標準時です。なお日本とは5時間半の時差が発生します。

韓国と日本の時差は一時期ながら存在していたことがありました。もともと韓国で標準時が作られたのは1908年の大韓帝国（李氏朝鮮）時代で、日本の保護下で行われた近代化政策の一環でした。しかしその2年後に日本が韓国を併合して植民地としたため、日本と同じ標準時が使われることになって韓国と日本の時差がなくなりました。

韓国と日本の間に再び時差が設けられたのは1954年のことです。1945年に日本が戦争に負けたことで、朝鮮半島では韓国と北朝鮮が独立しましたが、当時の韓国大統領だった李承晩（イ・スンマン）がかつての韓国標準時を復活させました。

韓国と日本の時差は現在では存在しませんが、その理由は1961年に韓国で軍事クーデターが起こったためです。クーデターによって李承晩は失脚、代わりに政権を握った朴正煕（パクチョンヒ：朴槿恵（パククネ）前大統領の父）が日本に接近する政策をとるようになりました。

その一環として彼は李承晩が設けた時差を撤廃して、国際基準に基づいて日本の標準時に合わせるようにし、それ以来両国間では時差がないことになっています。ほかにも北朝鮮が現在日本標準時を採用しており、将来的に南北を統一した際に障害にならないように韓国も合わせているという点も大きいです。いずれにせよソウルや釜山に旅行へ出かける際は、「韓国は今何時なのか」を考えてわざわざ時計の針を調整する必要がありません。