節分とは?
節分と聞くと、多くの方が子供の頃にやったり、今も家族総出でやったりする豆まきをイメージする方が多いです。また昨今いい意味でも悪い意味でも注目されがちな恵方巻も連想されます。
このように日本人が幼いころから慣れ親しんでいる節分ですが、その反面で豆まきや恵方巻のことばかり注目されがちで、本来の節分が持つ意味を知っている方は意外と少ないです。節分はどのようにして始められ、またどのような意味を持つ行事なのでしょうか?
節分の由来は?
節分の行事そのものは、8世紀初めごろに中国からもたらされたものが宮中行事として定着し、その後江戸時代になって一般庶民の間でも祝われるようになったことが由来です。
そもそも節分は本来、「それぞれの季節が始まる前の日」を意味していました。日本には四季があるうえに立春や立夏など季節が始まる日が4つあるため、節分も4つあるということになります。
その中でも2月の節分は、昔の暦で正月が2月4日(旧正月で立春の日)に始まるとされていたため、その前日である2月3日に迎えるものでした。1年の大みそかに当たる日であったことから、新しい年の無病息災を願って邪気を払うためにいろいろな行事が行われていました。
節分に豆まきをする意味は?
節分に行う豆まきには、どのような意味があるのでしょうか?
節分といえば、「鬼は外、福は内」の掛け声でおなじみの豆まきです。実はこの豆まきの歴史はとても長く、ルーツは中国にあります。
豆まきの由来
豆まきの由来は中国にあります。節分は中国から伝わったものですが、実は豆まきも節分とともに伝えられたものです。
もともと中国では季節の変わり目に鬼が現れて邪気をもたらすなど悪いことをすると考えられていました。そこで鬼を弓矢で追い払う行事である「追儺(ついな)」が、日本で豆打ちという形になり、さらに時代の移ろいとともに豆まきが一般的になりました。
なお、豆が使われる理由としては、穀物の中でも豆は霊力が強いとされていることや豆が「魔滅(まめ)=魔を滅ぼす」を連想させることが挙げられます。
正しい豆まきのやり方は?地域でやり方が違う?
節分で最も有名な豆まきですが、実は正しいやり方があるのはご存知でしょうか?ここでは豆まきの正しいやり方をご紹介します。
まず炒った豆を用意し、升の中に入れて神棚にお供えします。もし神棚がない場合は南の方にお供えしましょう。そして鬼が活動を始める夜になったら一斉に家の戸を開けて豆まきを始めますが、豆をまくのはその家の家長や年男・年女がよいとされています。大きな声で「鬼は外、福は内」と叫びながら豆をまきましょう。
豆をまき終わったら、鬼が入ってこられないように戸を全部閉めたうえで、数え年(実年齢+1)の数だけ豆を食べます。豆を食べるのは今後1年を病気やけがに見舞われずに無事過ごせるよう祈るためです。
ここまでが正しい豆まきのやり方ですが、地域によっては独特な方法もあります。まず北海道や東北、信越地方では炒り豆の代わりに殻付き落花生をまくのが習わしです。これらの地域は、冬場は雪深いため、雪の中でも見つけやすいようにするという理由があります。
また、岡山県や新潟県佐渡島では、豆占いで今後1年の天候を占う豆占いをするのが一般的です。炉の灰の上に豆を12個並べて月ごとの天候を予測します。
さらに「鬼」とつく神社やお寺、家では「鬼は内」と言って鬼を迎え入れる習わしがあるところも多いです。代表的なところに東京都の鬼子母神(仏立山真源寺)や千葉県の成田山新勝寺があります。
豆まき以外の節分の風習
節分の風習は実のところ豆まきだけではありません。ここでは節分に行われるほかの風習も見ていきましょう。
節分に鰯を食べる
節分の風習の1つとして鰯(いわし)を食べるというものがあります。関西地方など西日本で広く行われているものですが、これは鰯が「魚へんに弱い」と書くようにとてもひ弱である反面、焼くと臭いが強い性質が由来です。そこでひ弱で臭いの強い鰯を節分の日に食べることで体内の邪気を払い、来たる年を健康に過ごせるように願う意味があります。
節分に柊を飾る
節分ではほかにも柊(ひいらぎ)を玄関先に飾る風習があります。柊は葉っぱに多くのとげがありますが、鬼が邪気をもたらそうとしてやってきても柊のとげを見て逃げるようにという意味があるためです。ちなみに柊を飾る場所は家の外側というのがポイントとされています。
なお柊に鰯の頭を刺して飾る「柊鰯(ひいらぎいわし)」も地域によりありますが、こちらは柊のとげに鰯の頭が放つ臭いで鬼を追い払うためのものです。
節分に恵方巻きを食べる
節分で豆まきと並んで有名な風習が恵方巻です。今でこそコンビニの影響で全国的に食されますが、本来は関西の一部地域で行われていた風習でした。
恵方巻は恵方と呼ばれる年神様がいる縁起の良い方向を向いて、無言で一気に食べるのがコツです。これは来る年のご利益を一気にいただくという意味があります。
2020年の恵方は?
節分の恵方巻で欠かせないのが年神様のいる方向である恵方です。毎年変わるために最新の恵方を知っておく必要があります。
来たる2020年の恵方は西南西です。このためオリンピックイヤーである2020年を気持ちよく過ごすためにも、節分の日に西南西を向いて恵方巻をいただくのが効果的です。
節分のまとめ
- 節分は本来各季節が始まる前の日のことだったが、特に2月に迎えるものは旧暦で大晦日という意味で重要だったため現在も祝われている。
- 節分の行事のルーツは中国で、8世紀初めに日本に伝わって宮中行事として定着した後、江戸時代に一般庶民に広まった。
- 節分の豆まきも節分と一緒に伝わったもので、季節の変わり目に現れる鬼を追い払うために行われる。
- 節分の夜に豆まきをした後、数え年の分食べる。なお地域によっては豆まきにまつわる独特な習わしがある。
- 節分では豆まき以外にも、鰯を食べたり柊を飾ったりするといった風習がある。
- 恵方巻は本来関西の風習で、恵方に向かって無言で一気に食べる。なお2020年の恵方は西南西である。
節分の代名詞である豆まき。