北枕は縁起が悪い?
北枕とは、寝る時に頭を北に向ける寝方のことをいいます。よく「北枕は縁起が悪い」として、日々の生活において北枕で寝ることを嫌う人もいますが、なぜ北枕が悪いと言われるようになったのでしょうか。
北枕が良くないとされる理由について詳しくご説明します。
北枕が縁起が悪いと言われる意味について
北枕について「縁起が悪い」と言われる理由には、諸説あります。そのなかでも最も有力だと考えられているものが、お釈迦様が亡くなられた時の寝方が北枕だったというものです。
インドでは故郷がある方角に頭を向けて寝る習慣があり、お釈迦様も故郷がある北の方角に頭を向けて寝ていました。そして80歳の時、クシナガラという村において、この北枕の状態で亡くなったと言い伝えられているのです。
お釈迦様の信者は、その後、人が亡くなった際には人を北枕で寝かせるようにしました。お釈迦様と同じ方角で寝かせることで、亡くなった人がお釈迦様のいる極楽浄土へ行けるようにとの願いを込めたのです。
それが日本に伝わった際には「北枕は人が死んだことを意味する」「北枕は死んだ人が寝る方角だ」という意味だけが大きく伝わってしまいました。そのため日本では「北枕は縁起が悪い」と言われるようになったのだとされています。また、「北枕で寝ると悪夢をみる」という言い伝えも、同じようにここから派生していると考えられます。
北枕の縁起が悪いと言われるのは日本だけ?
さきほど、日本では「北枕は人が死んだことを意味する」「北枕は死んだ人が寝る方角だ」という解釈が広まったことをお伝えしました。しかし、これは日本だけの話であって、日本以外の国では北枕に対してこのような「北枕で寝てはいけない」といった解釈はされていません。実は、世界的には北枕を気にしないどころか、反対に「北枕で寝た方が身体には良い」とさえ言われているのです。
みなさんご存知の通り、地球には磁場が存在しています。そして北枕で寝れば、この地球の磁場に沿ったかたちで寝ることができ、疲労回復効果や血流改善効果などが期待できるうえ、目覚めも良くなると考えられているのです。
ちなみに他の国では、北枕に関してどのような解釈があるのか、ご紹介しておきましょう。
アメリカやヨーロッパにおいては、仏教の考え方は一般的とされていません。そのため、お釈迦様が亡くなった時に寝ていた方角であることも、あまり知れ渡っていないのです。そもそも北枕という考え方そのものがないため、良いか悪いかという議論になりません。
日本と位置的に近いタイにおいては、日本とは逆の南枕がよくないと避けられています。これは、亡くなった人を南向きに寝かせる風習があるためです。また、「頭寒足熱」の考えに基づくのであれば、北半球の人と南半球の人では、寝る方向に違いがでてきます。
このように海外では日本のような「北枕で寝てはいけない」といった考えがありません。そのため、日本に移住した外国人はこの風習を知り、とても驚くということです。特定の方角に頭を向けて寝ることについて縁起の良しあしを持ち出すのは日本特有の慣習だということです。
旅館などで北枕となった時の対策について
「北枕はよくない」という考えは、ただの迷信であるということは上述の通りです。ただ、気になる人は気になってしまうものでしょう。自宅であれば、部屋の模様替えをすることで寝る方角を変えることができますが、旅館などで北枕になっている場合はどうすればいいでしょうか。
対策としてまず考えられることは、自分で布団やベッドの方角を変えるというものです。ただ、布団は簡単に移動ができても、ベッドは難しいかもしれません。そのような場合は、旅館などの宿泊先に相談をして部屋を変えてもらうことも検討してみましょう。
北枕を風水で考えると
風水には「北枕はダメ」といったような考えはありません。それどころか、北枕は金運がアップすると考えられているのです。風水において、北と西は金運がアップする方角です。西はお金を呼ぶ方角だと考えられており、北は貯蓄ができるようになる方角だと考えられています。
また、風水では「北枕は安眠できる」と考えられています。北枕にする方が、気の流れがスムーズになり、体調を整えることができて、気持ちもスッキリするといわれているためです。つまり、風水では金銭面においても健康面においても、北枕がおすすめであるとされているのです。
北枕は縁起が悪いって本当?